若山富三郎の子連れ狼(2) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

若山富三郎のヒットシリーズとなった“子連れ狼”は全6作あり、『子連れ狼・親の心子の心』(1972年・東宝/監督:斎藤武市)は、シリーズ4作目。

かつて拝一刀(若山富三郎)に敗れた柳生軍兵衛(林与一)は、偶然出会った大五郎(富川晶宏)の後をつけ、再び一刀と立ちあいますが敗れます。追手の尾張藩士を次々に殺害する別色女・お雪(東三千)の暗殺を、藩士の家族から依頼を受けた一刀はお雪の出身地・乞胸村へ。村の長・仁太夫(山村聰)からお雪の居所をそれとなく知らされます。お雪は自分を凌辱した剣術指南役・孤塚円鬼(岸田森)への怨みをはらすべく身体に刺青をし、円鬼と対決。円鬼を倒したお雪は、自ら一刀の刃に討たれます。柳生烈堂(遠藤辰夫)は尾張藩主(小池朝雄)に一刀暗殺を要請し……

三隅研次が監督した『眠狂四郎・炎情剣』に出てきた“まさぐり金時”の刺青をお雪がしているのは、三隅作品へのオマージュかな。斎藤武市は三隅演出を踏襲していますが、構図やアングルに今イチ工夫がありません。ワカトミの殺陣が全てですな。トンボを切ってサッと立ち、すぐ刀を使える体勢になっているのはワカトミならではです。

 

『子連れ狼・冥府魔道』(1973年・東宝/監督:三隅研次)

拝一刀は、黒田藩家老・脇田将監(岡田英次)から黒田藩存亡にかかわる密書を、慈恵和上(大滝秀治)を殺して取り戻す依頼を受けます。黒鍬衆が守る中、一刀は慈恵和上を殺し、密書を奪還。黒田藩の忍者・不知火(安田道代)からさらなる依頼を受けた一刀は、柳生烈堂(大木実)の追撃をかわし、密書を持って黒田城へ乗り込み……

柳生烈堂が第1作の伊藤雄之助から前作では遠藤辰夫に代わり、本作では大木実です。ヒットしたことから粗製乱造の感は否めません。脚本にまとまりがありませんな。三隅の演出にも際立ったところがなく、凡作です。

 

『子連れ狼・地獄へ行くぞ!大五郎』(1974年・東宝/監督:黒田義之)

最後の切り札であった柳生香織(瞳順子)が拝一刀(若山富三郎)に敗れ、柳生烈堂(大木実)は妾腹の息子・土蜘蛛兵衛(木村功)を頼ります。兵衛は配下の無常(草野大悟)・無我(宮口二郎)・無門(石橋蓮司)の三戦士を差し向け、一刀を待ち伏せ。三戦士の術によって一刀は危機に陥りますが、兵衛の誇りに巧みにつけ入り、1対1の決闘に持ち込んで兵衛を倒します。雪山を行く一刀に、烈堂は柳生・黒鍬・土蜘蛛の一党を率いて決戦を挑みますが……

柳生香織のお手玉剣法は正統派時代劇ファンにはふんぷんものですが、劇画としての面白さがありましたね。土蜘蛛三戦士は奇をてらいすぎ。見せ場は、雪中でのスキーとソリを使った一刀と烈堂軍団の大立ち回りです。

週刊『漫画アクション』に連載中の原作に追いつき、ネタ切れとなった為、これが最終作となりました。連載の最終回まで続けたら大五郎(富川晶宏)は8歳になっちゃうもんね。ワカトミは、劇画の拝一刀とイメージが違うのですが、殺陣の迫力で見せてくれましたな。