高田浩吉の伝七捕物帖(2) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

高田浩吉は1960年に松竹から東映に移り、松竹での人気シリーズであった“伝七捕物帖”を2本(影のない男と女狐小判)撮ります。新東宝から東映に移った若山富三郎が新東宝時代の人気シリーズだった“人形佐七捕物帖”を東映でも撮ったのと同じパターン。

若山富三郎の“人形佐七”はココヘ⇒若山富三郎の人形佐七(1) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

『伝七捕物帖・影のない男』(1962年/監督:深田金之助)

美人年増のお島が殺され、伝七(高田浩吉)の恋女房・お俊(筑波久子)の弟・健太(山波新太郎)が現場にいたことから早縄の五平(阿部九洲男)に捕まります。伝七は身内が容疑者というので与力の神崎(沢村訥升)に十手を返上し、殺しの現場で独自に調査開始。麻薬王の梵字屋徳兵衛を追って江戸に来ていた天満与力・小河内又十郎(品川隆二)も殺しの現場にきており、お島が徳兵衛の情婦らしいということを知ります。お島の関係者が次々に殺され、それが徳兵衛の手下だったことから犯人は徳兵衛と思われますが正体は不明。健太はお島の死に際の言葉から小指のない男を追って……

意外な俳優による意外な犯人というのがミソ。といっても、物語半ばで予想がつきますけどね。健太役の山波新太郎が準主役扱いですが、演技はド下手。知らない役者だったので気になって調べてみると、千葉真一・亀石征一郎・倉丘伸太郎たちと同じ第6期(1959年)東映ニューフェースでした。マルベル堂でブロマイドも発売されており、それなりに期待されていた俳優だったようですが、あの演技じゃねェ。後年、山波宏の芸名でテレビ時代劇『戦国群盗伝』に出ています。監督および出演しているスターランクからわかるように併映用のB級作品で〜す。

 

『伝七捕物帖・女狐小判』(1963年/監督:大西秀明)

伝七(高田浩吉)のところへ、百姓の若後家お直(千原しのぶ)が行方不明になった娘おみよ(桜町弘子)の捜索依頼にきます。おみよは札差・備前屋(香川良介)の女中で、恋人の伊之吉(山城新伍)の姉の家に匿われていましたが、浪人組に襲われ、何者かがおみよと間違って伊之吉の姉を殺害。浪人組が落とした偽小判から、偽小判を見つけた刀屋が殺された事件と関連があると伝七は推理します。旗本・郷原伊織(品川隆二)を訪ねた帰りに備前屋は殺され、現場にいた伊之吉が早縄の五平(吉田義夫)に捕まりますが、備前屋に鋳物師の過去があることや、郷原の屋敷に浪人がたむろしていることから、伝七は郷原を犯人とにらみますが……

証拠を求めて町方が入ることができない旗本屋敷にあの手この手を使って忍び込むのがミソ。かなり御都合主義的展開ですけどね。間抜けな岡っ引き・早縄の五平が前作から替わっただけでなく、伝七の子分・獅子鼻の竹は星十郎から堺駿二に、恋女房お俊は筑波久子から八代万智子になっています。おざなりのキャスティングですな。やっつけ仕事的内容で褒められた作品じゃありません。“昔の名前”だけではヒットしませんよ。

私は未見なのですが、高田浩吉はこの後、テレビでも伝七を演じています。TBS(大阪・朝日放送製作)系列で1968年3月9日~7月6日に放送された『伝七捕物帳(全18話)』です。娘の高田美和との共演で話題になったようですが、日本テレビで73年から160話も放送された中村梅之助の伝七が圧倒的な人気で、現在では忘れられた存在といっていいでしょう。