モンローの七年目の浮気他2本 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

マリリン・モンローといえばセクシー女優として有名ですが、彼女の映画を観れば単純なセクシー女優でないことがわかります。モンローの魅力は、セクシーなだけでなく、男にとって抱えてやらずにいられないような、もろさやいじらしさ見せるところ。そんな作品が、『七年目の浮気』『バス停留所』『王子と踊子』です。

『七年目の浮気』(1955年/監督:ビリー・ワイルダー)は、浮気願望の男がブロンド美女に恋するラブコメディ。

出版社に勤めるリチャード(トム・イーウェル)は、妻子を避暑に送り出したあと、結婚七年目ということもあり、浮気の虫がムズムズ。折しも同じアパートの階上にはブロンド美女(マリリン・モンロー)がいて、絶好のチャンス到来。ところが、リチャードは恐妻家のうえに気が弱いんですな。それでも何とか突撃しますが、予期せぬ邪魔がはいり、結局は何事もおこりません。

映画ファンなら常識の、モンローの伝説的シーン(地下鉄の通風孔から風がきてスカートがまくれあがるシーン)や、伝説的セリフ(下着を冷蔵庫にいれておくの。はくとき冷たくていいの)がある作品。この映画のモンローは最高。素直で天衣無縫で、バツグンに可愛いんです。それも色っぽさが同居した可愛らしさ。植木鉢を落とされても、笑って許しちゃう。彼女にニッコリ笑いかけられたら、主人公のトム・イーウェルじゃないですが、ムラーっときますね。

モンローのイメージは、真っ赤なドレスで、長いシガレットホルダーでタバコをくわえ、モンローウォークで歩くといった劇中でイーウェルが想像したようなセクシーな感じが強いのですが、この映画では可愛らしさを強調した演出。だけど、逆にエロチズムをよけいに感じさせてくれました。そこがワイルダーの巧さなんでしょう。

 

『バス停留所』(1956年/監督:ジョシュア・ローガン)は、世間知らずのカウボーイと酒場の歌手の恋物語。

モンタナの牧場で生まれ育った青年ボー(ドン・マレー)はロデオ大会に参加するために、付き添いのヴァージル(アーサー・オコンネル)とフェニックスにやってきます。バスの中でヴァージルから女に恋するように薦められ、酒場の歌手シェリー(マリリン・モンロー)に一目惚れ。シェリーを連れ出して強引にキス。彼女が拒まなかったものだから、強引に結婚を決めてしまいます。驚くヴァージルをよそ目に、翌日ロデオに出場。各種目に優勝していき、観客席にいるシェリーを見つけ、競技の合間に牧師まで連れてきます。全く耳を貸さない傍若無人なボーを恐れて、慌てて逃げ出したシェリーは、ヴァージルから金を貰ってバス停留所へ。しかし、ロサンゼルス行きのバスに乗ろうとしたところをボーに投げ縄で捕えられ、無理やりモンタナ行きのバスに乗せられます。バスの行く手が雪で埋もれ、乗客は停留所であるグレース(ベティ・フィールド)の食堂で過ごすことになり……

元は、モンタナ行きのバスが着いて、当惑して疲れ果てたシェリーがバスから降りくるところから始まるグレースの食堂で繰り広げられる舞台劇ですが、映画ではモンタナ州の片田舎からバスでフェニックスに向かうという時間的にも空間的にも拡大した構成になっています。小市民的な人生ドラマでなく、血気の若者と少し抜けたところのある女のロマンスコメディにしたのが成功。マレーとモンローの出会いのシーンやロデオでのシーンなどで見せるローガンの演出はすこぶる快調。マレーも若さにまかせた世間知らずぶりを発揮して、ローガンの演出に見事応えていますね。モンローは当時30歳。グレースの食堂でマレーに言う「あたし、あなたにはふさわしくない女なの」「こんなやさしい言葉、あたし、生まれてはじめてよ」のセリフは情感があってグッドで~す。

 

『王子と踊子』(1957年/監督:ローレンス・オリヴィエ)は、摂政大公とショーガールの恋模様を描いたラブコメディ。

ロンドンにやってきたカルパチア王国のチャールズ大公(ローレンス・オリヴィエ)はミュージカルに招待され、端役女優のエルシー(マリリン・モンロー)に出会い、その可愛らしさに一目惚れ。エルシーはカルパチア大使館に招待されます。大公の下心を見抜いて逃げ出そうとしますが、高齢の皇太后(シビル・ソーンダイク)に気に入られ、結局大使館に滞在。大公は無邪気でセクシーなエルシーに翻弄されながらも愛し始め、エルシーも大公に惹かれ始めますが……

モンローが自ら独立プロを設立し、ローレンス・オリヴィエを製作・監督・主演に起用して撮った作品。その自主的な企画の意気込みが画面いっぱいに現れていて、モンローは溌剌とした美しさに輝いています。唇に微笑みを浮かべ、プラチナブロンドと白い体を揺らしながら、ちょこちょこと動き回るモンローはとにかく可愛いんで~す。