三船の柔道映画(黒帯三国志他1本) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

三船敏郎の出演作品は観ていなくても題名だけはたいてい知っているのですが、私が最近まで全く知らなかった柔道映画があります。

『黒帯三国志』(1956年・東宝/監督;谷口千吉)

時代は明治末期、列車の中で拳闘クラブの小鉄(藤木悠)から嫌がらせをされていた紀久子(岡田茉莉子)を救った柔道家の小関(三船敏郎)は、紀久子に惚れられますが恩師である道場主・天路(佐分利信)の娘・静江(香川京子)が小関の意中の女性。小鉄の兄貴分・伊庭(佐伯秀男)が小関を呼び出して柔道対ボクシングの決闘となり、小関が伊庭を倒します。小関が海外留学希望を育てられた義理から言い出せないのを知っていた天路は私闘を理由に小関を破門し、東京へ行かせます。小関は海外留学試験に落ち、人買いの山猫譲次(田中春男)に騙されて北海道のタコ部屋で重労働。しかし、売店で働くお葉(久慈あさみ)や殺人犯の人買い譲次を追ってきた刑事(小堀明男)を助けてタコ部屋を爆破します。東京に帰ってきた小関は勉学に励み、海外留学試験に合格。恩師の天路への挨拶に故郷に帰った小関は、紀久子から天路が伊庭の弟で空手家の俊介(平田昭彦)に攻撃されて失明したことを知らされます。俊介は小関が帰ってきたことを知って……

三船敏郎が悪党たちをポンポン投げ飛ばすだけの作品。三船さん、出てきただけで負ける気がしませんね。人の好さそうな田中春男が、メイキャップによって悪党顔にしていたのが可笑しかったのですが、ある意味で名傍役の本領発揮というところでしょうか。平田昭彦は知性が垣間見えて不気味な空手家のイメージがありません。ミフネの柔道アクションが好評だったのか、監督・谷口千吉、三船・香川のコンビで翌年に『嵐の中の男』という柔道アクション映画が作られます。

 

『嵐の中の男』(1957年/監督:谷口千吉)

明治38年、下田警察の武術師範を要請された渡三郎(三船敏郎)は、赴任途中の船中で清水秋子(香川京子)と知り合います。秋子の父・悠山(柳永二郎)は柔術家で三郎の前任者。警察署長が、これからは柔術より柔道ということで講道館に依頼したんです。悠山と会った三郎は、互いに好意を感じます。悠山の弟子に辻堂庫次(小堀明男)というのがいて、腕は立つのですが傲慢で、お紺(根岸明美)という愛人がいながら秋子に横恋慕。三郎は辻堂にたきつけられた乱暴者の水兵たちに襲われ、乱闘を目撃した憲兵に逮捕されます。責任を感じた三郎は、後任に悠山を推して帰京。秋子も愛する三郎を追って東京へ。辻堂もお紺の兄で琉球空手の達人・運平(田崎潤)と三郎を追って東京へ。人力車夫をしていた三郎は、外交政策に不満を持つ過激派壮士(平田昭彦)たちに襲われている外務大臣・小村寿太郎の娘・圭子(磯村みどり)を救いますが手傷を負い、小村邸で治療を受けます。小村邸では、秋子が小間使いで働いており、一方、辻堂と運平は過激派壮士の仲間に加わり……

人物設定は『姿三四郎』の焼き直しのような感じです。この手の作品はライバルが強くないと面白くないんですが、小堀明男と田崎潤では二人がかりでも三船にはかないません。おまけに二人は仲間割れして、何じゃコリャというラストです。柔道アクションは掴んで投げないといけないので、どうしてもスピード感にかけ、現在では、格闘アクション映画にマッチしなくなりましたねェ。