おやじ太鼓と二人の世界 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

TBS系列で1964年10月27日から73年9月25日まで毎週火曜夜9時からの30分枠で放送されていたドラマに木下惠介アワー(67年4月11日までは木下惠介劇場)があります。母親がよく見ていた記憶がありますが、私は興味がなくて殆ど記憶がありません。だけど、その中で『おやじ太鼓』だけは印象に残っています。

『おやじ太鼓』は、第1部が1968年1月16日~10月8日、第2部が69年4月22日~10月14日に放送。4男3女にカミナリを落とすのが日課の頑固オヤジ・亀次郎を主人公にしたホームドラマ。1949年に木下惠介が監督(脚本も小林正樹と共同執筆)した『破れ太鼓』が原案。

鶴亀次郎(進藤英太郎)は、一代で財を成した建設会社の社長。鶴家の家族構成は、良妻賢母の愛子(風見章子)、亀次郎の会社で秘書をしている長男・武男(園井啓介)、足が悪く家で絵本を書いたりピアノを弾いたりしている次男・洋二(西川宏)、雑誌社に勤める長女・秋子(香山良子)、2浪して大学に入った三男・三郎(津坂匡章=秋野太作)、兄より学年が上の大学生の次女・幸子(高梨木聖)、大学受験間近の高校生の四男・敬四郎(あおい輝彦)、高校受験間近の中学生の三女・かおる(沢田雅美)、それに住み込みの家政婦のお敏(菅井きん)と初子(新田勝江)がいます。

かおるは高校へ進学しますが、敬四郎は受験に失敗し浪人生活。高円寺でアパート経営している亀次郎の死んだ兄の妻・正子(小夜福子)が秋子の縁談を持ってきますが、秋子にはテレビ局に勤める恋人・神尾(竹脇無我)がいます。神尾はしっかり者の祖母(東山千栄子)に育てられ、祖母が結婚に反対する亀次郎と談判。東山千栄子の貫録に進藤英太郎もタジタジ。

初子が結婚して鶴家を去った後、お敏の母親(岸輝子)が嫌いな亭主から逃げてきて、お敏と一緒に家政婦として暫く働くことになります。老け顔の菅井きんの方が年上に見えたりしますな。老け顔といえば、かおるの同級生役で鷲尾いさ子と木之内みどりが出ていたのですが、女子高生には見えず笑ってしまいました。

武男は近所に住む片桐(堀井永子)という女性を好きになりますが、彼女がお金目当てとわかって別れます。洋二は絵本を出版。洋二は、幸子の友人で学生運動をしている水原(西尾三枝子)と互いに惹かれあいます。幸子はかおるの英語教諭・西川(山口崇)に一目惚れ。そして、秋子は神尾と婚約成立したところで第1部が終了。最初はモノクロでしたが第12回からカラーになります。

第2部は、武男が見合いから3ヶ月で待子(春川ますみ)と結婚し、タイへ新婚旅行に行ったところから開始。神尾がテレビ俳優としてスカウトされたため、秋子と神尾の仲にトラブル発生。洋二は水原から生活環境の違いを指摘され、家を出てスナックのピアニストになります。幸子と西川の仲は、西川に恋している女性が現れてトラブル発生。三郎も劇団の活動にうちこむために家を出たため、黒田(小坂一也)という住み込みの運転手を雇います。大学受験に落ち2浪となっていた敬四郎は、料理人になることを決意。亀次郎は子どもたちのやる事なす事が頼りなくて怒鳴ってばかりいますが、根は人の好いオヤジ。最終回は関係者が一同に会して、ハッピー、ハッピーでエンドです。

時代に逆行するようなオヤジ像を演じた進藤英太郎ですが、視聴者からは愛される存在となりました。主演の進藤は当時、映画界きっての大声の持ち主といわれ、演技力とともに、その声量も買われたとのこと。竹脇無我の神尾がテレビドラマに出ることになるのですが、相手役というのが栗原小巻。ポスターに出ているだけですが、この後の木下惠介アワーの『三人家族』や『二人の世界』でコンビとなるので、先取り楽屋落ちといえますな。

 

ついでに、『二人の世界』ですが、1970年12月1日~71年5月25日に放送。

竹脇無我と栗原小巻が知りあって、アッという間に結婚。脱サラして夫婦でスナックを開店。スナックといっても喫茶店のようなもので、最後は三島雅夫に伝授されたカレーで大繁盛。小巻の弟・あおい輝彦は、片想いしていた年上の女性・水原英子をキッパリあきらめます。小巻の妊娠がわかり、生きがいを求めていた三島雅夫が店を手伝うことになり、無我と小巻の夢はスナックからレストランへ。

木下惠介アワーの前作『三人家族』で竹脇無我と栗原小巻のコンビは人気となり、同じコンビでヒット。脚本は山田太一ですが、はっきり言って心地よいだけの微温湯的ドラマです。

画像は、あおい輝彦が歌った主題歌レコード。♪~つめたい風の中で、ぼくは君と会った……二人の世界があるから、だから明日にかけるんだ~