ナポレオン・ソロ(劇場版) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

007シリーズのヒットにより、ジェームズ・ボンドを追って数多くのスパイ・アクションが作られます。MGMが送り出したのがナポレオン・ソロ。フォックスの電撃フリント、コロムビアのマット・ヘルム(“サイレンサー”シリーズ)など各社のスパイ群雄を抜いて、テレビでの人気もあって8本が劇場公開されます。

『罠を張れ!』(1964年/監督:ドン・メドフォード)

ニューヨークに本部を持つ特殊組織UNCLEは、“蜂”という秘密結社を追っています。メリーランドにあるグローバル化学の社長ヴァルカン(フリッツ・ウィーバー)がその幹部ということがわかり、諜報員ランサー(ミグエル・ラング)が潜入。しかし、上司のアリソン(ウィル・カルヴァ)に「西ナツンバの首相の暗殺を」と連絡した直後、射殺されます。七年のゲリラ戦ののち独立を戦いとった西ナツンバの首相(ウィリアム・マーシャル)が、経済相と国防相を帯同してアメリカを訪問。彼らは自国にグローバル化学と同じような工場を建てたいと、メリーランドを訪れることになります。そのエスコートの任務についたのがナポレオン・ソロ(ロバート・ヴォーン)で、ヴァルカン社長の学生時代の恋人エレイン(パトリシア・クローリー)に協力を依頼。二人は首相歓迎のヴァルカン主催のパーティーに出席しますが、ヴァルカンにソロの素性が見破られ……

首相は“蜂”の一員で、彼の計画に邪魔になる経済相と国防相の暗殺が目的の訪米旅行だったんです。この作品はテレビシリーズのパイロット版で、軽妙な洒落たタッチがまだ出ていません。お色気を添えるのは、パトリシア・クローリーとルチアナ・パルッツィ。

 

『消された顔』(1965年/監督:ジョン・ニューランド)

世界を支配できる恐るべき化合物が発明され、宇宙から地球が攻撃された際にのみ使用することを国際化学者グループが決議。スイス・アルプスの地下金庫に貯蔵されることになり、その輸送の任務がウエイバリー部長(レオ・G・キャロル)からソロとイリヤ・クリヤキン(デビッド・マッカラム)に命じられます。敵はスラッシュ(つぐみ)という組織で、美しいセレナ(センタバーガー)を派遣して、色じかけでソロを捕え、アルプス山中の天文台に監禁。化学物輸送には、そっくりの顔を持つ偽者のソロ(ロバート・ヴォーンの二役)が送り込まれ……

第1作は不出来でしたが、本作はスリルとサスペンスとお色気に洒落ッ気までそなえて本領発揮。敵もスラッシュで定着。前作ではクレジット7番目だったデビッド・マッカラムが本作では3番目にあがり、人気を絶対的なものにしました。そして、ウエイバリー部長のレオ・G・キャロルも本作から参加。ロバート・ヴォーンは偽者のセリフは高めの音調で言っており、芸の細かいところを見せています。

 

『地獄へ道づれ』(1965年/監督:ジョゼフ・サージェント)

米軍化学研究所から、嗅ぐと戦意をなくすという毒ガスが盗まれます。敵は世界征服をもくろむアレキサンダー(リップ・トーン)で、ソロとイリヤが毒ガス奪還の活動開始。ソロは別居中のアレキサンダーの妻トレイシー(ドロシー・プロバイン)に近づき、イリヤは現場に残された石片を手がかりに考古学者に近づきます。二人はギリシャ沖のミノス島で落ちあいますが……

デビッド・マッカラムがクレジット2番目となり、イリヤがソロと同等の扱いとなりました。ジョゼフ・サージェントの演出は、いろいろ工夫しているもののパンチがなく、終盤はガタガタ。ドロシー・プロバインもテレビシリーズ『マンハッタン・スキャンダル』で見せたような魅力がありません。

『マンハッタン・スキャンダル』についてはココヘ⇒マンハッタン・スキャンダル | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

『消えた相棒』(1966年/監督:E・ダリル・ホーレンベック)

夜のロンドンで猫が次々にいなくなり、生理医学におけるノーベル賞教授ランサーが行方不明。イリヤはロンドンの裏街で猫を追い、ソロは教授の娘を捜して高級衣裳店のマダム(ベラ・マイルズ)を訪ねます。マダムを育てた政界の大物ノーマン卿は90歳になる老齢で、ランサー教授の研究で若返ることを計画。スラッシュのジョーディン(バーナード・フォックス)も若返り法を奪取して世界征服に役立てようとしており……

脚本も監督も、ひどく粗雑で話の展開がよくわかりません。テレビの面白さを期待して、私が劇場で最初に観た“ナポレオン・ソロ”でしたがガッカリした記憶が残っており、一度も再見していません。

 

『0011ナポレオン・ソロ対シカゴ・ギャング』(1967年/監督:ジョゼフ・サージェント)

スラッシュのストラーゴ(ジャック・パランス)は、元ナチスの科学者を使って、大西洋を北上する暖流を氷のグリーンランドに導き、そこをスラッシュの楽園にしようと計画。暖流の流れが変わると新旧大陸は氷原化することがわかり、ソロとイリヤはストラーゴの別荘があるシチリアに探りに行きます。ところが、ソロはマフィアの娘に惚れられて結婚を迫られ、アメリカに帰ると娘の叔父にあたる元シカゴ・ギャングの3兄弟に狙われる破目になるんです。一方、イリヤはストラーゴがはなった女殺し屋(ジャネット・リー)に執拗につきまとわれ……

敵がジャック・パランスとジャネット・リーという大物俳優になり、A級スパイ・アクションの様相をていしてきました。内容も笑いとスリルがスピーディーに展開され、上出来アクションといえます。

 

『ミニコプター作戦』(バリー・シアー)

スラッシュのランドルフ(ハーバート・ロム)は、海水から金を抽出することに成功した化学者から製法を手に入れようとして化学者夫人(ジョーン・クロフォード)に罠にかけますが、化学者も夫人も殺してしまいます。ソロとイリヤは化学者の末娘サンディ(キム・ダービー)を保護。サンディから姉妹4人が持っている写真が揃わないと製法がわからないことを知らされます。サンディを案内に二人はローマにいる姉(ダイアン・マクベイン)を訪問。性格異常の夫(テリー・サバラス)の監禁から救出。次のロンドンに行って、踊り子になっている姉(ジル・アイアランド)を裁判騒ぎから助け出します。パリにいる姉(ダニエル・ドメ)は愛人(クルト・ユルゲンス)とアルプスの山荘で休暇中。行く先々でスラッシュの暗殺団が待ち構えており、4枚の写真の暗号をランドルフに奪われます。製法を記した秘密書類は日本にあり……

顔ぶれがすこぶる賑やかで楽しめます。日本の場面は、黒装束の空手の殺し屋が現れたりする変なニッポンですが、バカバカしくて怒る気にはなりません。もともとお遊び気分の作品ですからねェ。

 

『スラッシュの要塞』(1967年/監督:ボリス・セーガル)

超高度の熱を放射するプリズムを奪うため、ソロとイリヤは開発者のカルムージ博士(ジョン・デナー)を訪問。プリズムは複雑な電子装置が施された金庫に保管されており、金庫を開けることができるのは博士と金庫破りのルーサー(ブラッドフォード・ディルマン)だけ。ルーサーは白髪の行者(ジョン・キャラダイン)が率いる奇怪な宗教集団を使って世界制覇の野心に燃えており……

5作目を頂点にどんどんレベルダウン。キャロル・リンレイがトボけた役でアクションに参加していますが、可笑しさがありません。

 

『地球を盗む男』(1968年/監督:サットン・ローリー)

ソロとイリヤはスラッシュの幹部を捕えますが、アンクル捜査員キングスリー(バリー・サリバン)によって逃がされ、キングスリーも行方不明になります。その頃、人間を無抵抗にしてしまうガスを発明した博士が蒸発。ハーモン将軍と護衛兵、電子学の権威、遺伝学者などが次々に行方不明。犯人はスラッシュから資金援助を受けたキングスリーで、無抵抗ガスを使って世界を思いのままに動かそうと計画しています。ソロとイリヤはキングスリーの妻(エリノア・パーカー)を追って、キングスリーの基地に潜入しますが……

ソロとイリヤの動きが平凡で、サスペンスが盛りあがりません。この作品で当時007シリーズより作品数において追い抜いたのですが、作ればいいというものではなく、この作品にて打切りは納得、納得で~す。

 

ちなみに、テレビのナポレオン・ソロについてはココヘ⇒ナポレオン・ソロ | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

電撃フリントについてはココヘ⇒電撃フリント | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

マット・ヘルムについてはココヘ⇒“サイレンサー”シリーズ | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)