伊賀の影丸(マンガ) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『伊賀の影丸』は、週刊『少年サンダー』にて1961年から66年まで連載された横山光輝の人気マンガです。連載順でいくと、「若葉城の巻」→「由比正雪の巻」→「闇一族の巻」→「七つの影法師の巻」→「半蔵暗殺帳の巻」→「地獄谷金山の巻」→「邪鬼秘帳の巻」→「土蜘蛛五人衆の巻」→「影丸旅日記の巻」となるんですが、1995年に発刊された秋田文庫(全11巻)では順番が違っていて、1巻「半蔵暗殺帳の巻」、2~3巻「若葉城の巻」、4巻「影丸旅日記の巻」、5~6巻「由比正雪の巻」、7巻「七つの影法師の巻」、8巻「邪鬼秘帳の巻」、9巻「闇一族の巻」、10巻「土蜘蛛五人衆の巻」、11巻「地獄谷金山の巻」となっています。連載順に紹介すると……

「若葉城の巻」は、来訪する将軍を吊天井で暗殺しようとする若葉城主に雇われた甲賀七人衆と影丸たち公儀隠密との戦い。影丸のライバル人気キャラとなった不死身の阿魔野邪鬼が登場するシリーズ第1作。甲賀七人衆は甲賀・姫宮村出身の忍者で、特異体質が特長。影丸が邪鬼の秘密を探りに姫宮村へ行って、親しくなる与作が私のお気に入り。ゴムマリのように弾む体質の持ち主で、どんな高い所から飛び降りても平気で復帰。与作の最期は悲しかったなァ。

「由比正雪の巻」は、死んだ由比正雪は影武者とわかり、幕府は由比正雪の捜索と暗殺を公儀隠密に命じます。由比正雪は大阪で決起しようとしており、陰流の忍者に護られて東海道を西進。影丸たち公儀隠密と陰流の忍者の戦いが開始します。正雪は陰流の忍者の首領という設定。前作で影丸に敗れた阿魔野邪鬼が現れ、影丸と再び戦って敗れ自分の敗北を認めます。

「闇一族の巻」は、一揆を煽動するかつて北条氏につかえた闇一族との戦い。闇一族の背後には尾張藩の存在。影丸と一緒に戦う仲間は村雨五兄弟ね。村雨兄弟は『鉄人28号』にも登場するし、横山光輝にとって愛着のあるキャラのようです。前2作では生き残ったのは、影丸だけでしたが本作では、村雨兄弟の次男と五男が生き残ります。

「七つの影法師の巻」は、薩摩藩に雇われた影法師7人が公儀隠密に挑戦。服部半蔵は幕府の威信をかけて影丸たち7人の精鋭を選んで挑戦に応じます。敵方に首領はおらず、チーム対抗の忍法合戦です。正義対悪という構図はなく、スポーツ感覚ね。でもって、生き残ったのは影丸だけ。ラストのメッセージは、“それから数ヵ月、薩摩藩では、七つの影法師が伊賀の七人衆に対してやぶれたとはいえ、互角の勝負をしたことに気をよくし、隠密組織を作ったのである。それ以後、薩摩藩にしのびこんだ幕府の隠密は、ひとりとして生きて帰れたものはなかった。徳川幕府がたおされる運命は、この時きまったのかもしれない……”で~す。

「半蔵暗殺帳の巻」は、幕府の命令で大名取り潰しを記した巻物“半蔵暗殺帳”の半分が寒月斎率いる10人の飛騨忍者に奪われます。服部半蔵は全国に散っていた影丸たち10人の伊賀の精鋭を呼び戻し、巻物争奪戦開始。影丸を含む4人が生き残るのはこれまでの最多。

「地獄谷金山の巻」は、隠し金山の調査にきた影丸たち5人と、隠し金山を使って豊臣家再興の軍資金を蓄えようとしていた円月斎率いる飛騨忍群との戦い。くノ一が初めて敵方として登場。飛騨忍群最後の生き残りになりますが、円月斎からは戦うことを許されず、円月斎の最期を看取ります。公儀隠密で生き残ったのは影丸だけ。

「邪鬼秘帳の巻」は、秋月藩に潜入している隠密から連絡が途絶え、影丸と弥兵衛が秋月藩に派遣されます。秋月藩では家老が凄腕の浪人を使って敵対勢力を辻斬りに見せかけて暗殺し、藩の乗っ取りを計画。しかし、浪人たちが強請ってきたので家老は弦斎坊率いる忍者・土蜘蛛党を雇って浪人たちの暗殺を依頼。影丸・浪人・土蜘蛛党の三つ巴の戦いが開始。阿魔野邪鬼が浪人一味の中にいて、影丸を助ける存在。弥兵衛は円月斎が呼び寄せた勘助に殺されます。特殊な忍法は極めて少ない物語になっています。

「土蜘蛛五人衆の巻」は、勘助たち土蜘蛛党の生き残り5人が影丸への復讐のため江戸に出現。「闇一族の巻」で生き残った村雨兄弟の二人を含む6人の精鋭が影丸を護って戦います。これといった忍法もなく、アイデアが出尽くした感じ。

「影丸旅日記の巻」は、葉山藩に潜入していた公儀隠密から連絡が途絶え、影丸が葉山藩に向かいます。葉山藩では財政再建のために阿片の密売をしており、影丸は葉山藩に仕える忍者と対決。

私がリアルタイムで『少年サンデー』の連載を読んでいたのは、「七つの影法師の巻」までで、それ以降のものは文庫本になって読んだもの。後になるほど焼き直しのような忍法ばかりで、面白味がなくなっていますな。