東映娯楽版3(『少年三国志』他2本) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

東映娯楽版は当時若手スターだった北大路欣也・中村嘉葎雄・里見浩太朗などの主演デビューとしても利用されました。内容は当時の少年たちに馴染みのある講談のヒーロー。史実とかけ離れたチャンバラ時代劇が中心です。

『少年三国志(二部作)』(1958年・東映/監督:内出好吉)

尼子家を滅ぼした毛利曹左衛門(月形龍之介)によって処刑されそうになっていた尼子家の遺児・照姫(花園ひろみ)と孫四郎(山本順大)を、尼子家の遺臣・山中鹿之介(北大路欣也)が救出。照姫と孫四郎を護って故郷の桃畑村へ向かう途中、鹿之介は大内家の遺臣・関羽大蔵(里見浩太朗)と大蔵の弟分・戸張飛太郎(南郷京之助)と知りあいます。彼らの助太刀で毛利の追手をかわし、鹿之介たちは桃畑村に無事到着。桃の木の下で大蔵・飛太郎と義兄弟を誓います。毛利と内通している裏切者によって、鹿之介が桃畑村から誘き出された隙に毛利の刺客団が桃畑村を襲撃。鹿之介の母(三浦光子)は、照姫と孫四郎を護って死にます。

照姫と孫四郎は飛太郎と京都へ逃れ、鹿之介と大蔵は味方を集めながら京都へ。錦小路光朝の娘を、無礼を働く松永弾正の家来から救い、光朝から資金援助を受けます。鹿之介は三顧の礼で、比叡山の奥に隠遁している軍学者・諸明源太兵衛(伏見扇太郎)を軍師に迎え、尼子家再興を準備。光朝が親しくしている織田信長の後ろ盾を得た鹿之介は、照姫と孫四郎を擁して、かつて尼子家の居城だった月山城を目指して進撃を開始します。

実在した山中鹿之介をモデルに、曹左衛門=曹操相手に、鹿之介が関羽大蔵=関羽、戸張飛太郎=張飛と義兄弟の契りを結び、諸明=諸葛孔明を軍師にして戦うという三国志の構図。北大路欣也の初主演作品で当時15歳、まさに少年三国志です。童子のイメージが消え、伏見扇太郎はこの頃から脇に回るようになります。

 

『少年猿飛佐助(三部作)』(1958年/監督:河野寿一)

姉のおマア(丘さとみ)とさすらいの旅を続ける少年・佐助(植木基晴)は、戸隠山で術者・山中山城守(薄田研二)に見出されて忍術の修行をします。山城守も舌を巻くほどの術者となった佐助(中村嘉葎雄)は、ひょんなことから真田幸村(里見浩太朗)と知りあい、上田の城へ。幸村の妹・百合姫(松島トモ子)と仲良くなります。沼田城を北条に返すように言ってきた徳川家康の要請を断ったために、上田城は徳川軍に包囲されますが、佐助の活躍で徳川軍は撤退。

それから3年後、百合姫(山東昭子)とおマアがおぎん婆(金剛麗子)にさらわれ、徳川家の榊原玄馬(永田靖)に売り飛ばされます。幸村と佐助は二人を追う途中で裏切者の山賀弾正(富田仲次郎)を成敗し、駿府へ。術者・夜霧の源助(吉田義夫)の岩牢に閉じ込められていた百合姫とおマア救出して駿府城で大暴れ。

幸村に命じられて倉島主水(徳大寺伸)が新型大砲を製作しますが、使者が襲われて連絡がとれない状態となります。佐助が使者として製作所に行き、工事場で働くお絹(丸山英子)を間者と見破り、榊原玄馬に命じられた夜霧の源助と山賊・熊坂甚内(須藤健)が大砲を狙っていることを察知。大砲が完成して悪党一味が襲ってきますが……

低予算の東映娯楽版には珍しく総天然色・東映スコープで製作されており、中村嘉葎雄売り出しが目的ですね。徳川軍を大水で襲ったり、落雷で駿府城を破壊したりと、特撮も大掛りなものになっています。カラフルな忍術合戦も愉しいですよ。華やかな錦之助に比べて嘉葎雄は地味で、この手の映画の主役には向いていませんでした。演技の幅では、錦之助より嘉葎雄の方が上なんですけどねェ。

 

『忍術真田城&忍術大阪城』(1961年・第二東映/監督:小野登)

徳川家康(北龍二)によって滅ぼされようとしている豊臣秀頼(中村竜三郎)は真田幸村(坂東好太郎)の出馬を要請するために木村重成(林彰太郎)を九度山に向かわせます。家康は代官・岩堂(青柳竜太郎)に命じて九度山を固めさせ、妖術師・幻魔斎(鈴木金哉)に重成暗殺を指示。幸村の息子・大助(花房錦一)は恋人・明美(三原有美子)に逢いに行って岩堂に捕まりますが、霧隠才蔵(山城新伍)が徳川の忍者・赤雲斎(市川百々之助)を倒して救出。幻魔斎は重成を襲いますが、猿飛佐助(里見浩太朗)が現れて失敗。佐助と才蔵は幸村に命じられて、徳川の新兵器・甲一号を探るために駿府に乗り込みます。しかし才蔵は天海僧正(瀬川路三郎)に忍術を封じられ、佐助は幻魔斎と桔梗の精(霧島八千代)の妖術の前に危機におちいり……(ここまでが、『忍術真田城』)

危機を脱した佐助と才蔵は、駿府城内に潜入して苦難の末に強力大砲の甲一号を破壊。その頃、大阪城では幻魔斎と桔梗の精の妖術により大混乱。大阪城に駆けつけた佐助と才蔵は、幻魔斎と桔梗の精を相手に忍術大合戦を繰り広げます。

少年向け東映娯楽版は1961年で幕を閉じるのですが、いくら少年向けといっても、ドロンドロンと姿が消え、稲光や落雷といった忍術は古すぎますな。テレビがどんどん普及し、『矢車剣之助』『白馬童子』『琴姫七変化』といった人気時代劇が放送されており、少年たちは映画よりもテレビを楽しむようになっていました。山城新伍が里見浩太朗と並んで主演しているのも『白馬童子』の人気によるものでしょう。才蔵の恋人役で光美智子が出演しているのも、『風小僧』で共演した関係と思われます。『笛吹童子』で全国の少年たちの心をつかんだ東映でしたが、メインだった団塊の世代の成長とともに役目を終えた感じで~す。