陽気なデン助さん | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

かつて浅草松竹演芸場を拠点に活躍したコメディアンに大宮敏充がいます。芸名よりも役名のデン助で憶えている人が多いのじゃないですかね。1946年に「デン助劇団」を結成し、73年に劇団を解散するまでデン助は浅草の人気者で、58年から59年にかけて主演映画が5本(東映2本、松竹1本、東宝2本)作られ、テレビではNET(現:テレビ朝日)系列で、『デン助劇場』として1960年から10年にわたって放送されました。

私がデン助を知ったのは『お笑い三人組』にゲスト出演した時じゃないかなァ。ぐるっとした大きな目玉、青い口ヒゲという顔のメイキャップに印象づけられました。『デン助劇場』も何回か観たことがあり、番組の最後の頭がユラユラ揺れる“デン助人形”がプレゼントされていましたね。言問三平のペンネームで自ら脚本を書いていますが、どんな話だったか憶えていません。映画は東映作品がCATVで放映された時に観ているので紹介します。

『デン助の陽気な靴みがき』(1958年/監督:伊賀山正光)

浅草の貧乏長屋に住むデン助は、一緒に暮らすチビ(松島トモ子)と毎日靴みがきに行きます。デン助の心配事は、同じ長屋に住む花売り娘・小夜子(佐久間良子)のこと。病気の母親を抱えて苦労しており、デン助は稼いだ金をコッソリ小夜子の家に放りこみます。そんな小夜子が誰かに恋していることがわかり……

♪~おいらデン助、江戸っ子だい。できないことでも話を聞けば、嫌とはいえぬお人好しなのさ。困った時には、デンと任せろ~の主題歌通り、やさしく気のいい主人公です。スタイルはいつも同じ。メリヤスのシャツに腹巻をして、直接背広を着て、草履履き。頭をユラユラ揺らしながら歩いてきます。今から考えると、あのスタイルは“寅さん”の先駆けですな。安請負いしたり、若い男女の恋の橋渡しをしたりと、『男はつらいよ』に影響を与えていますよ。ドリフの加藤茶のハゲ親父の扮装も、どこかデン助に似ています。

『デン助の陽気な拳闘王』(1958年/監督:伊賀山正光)

ペンキ塗りしていたデン助とチビは、突風でペンキ缶を落としてしまい、仕事を頼んでいた町の顔役の服を汚してしまい、仕事はキャンセル。顔役はデパートガールの小夜子に横恋慕しており、小夜子の恋人・佐山(波島進)に嫌がらせをします。佐山の母親が病気になり、佐山はボクシングで賞金を稼ごうと顔役が興行する試合に応募。しかし、顔役の手下にケガをさせられて、デン助が代わりに試合に出場しますが……

松島トモ子、佐久間良子、波島進がレギュラー出演。♪~おいらデン助、江戸っ子だい。でっかい目玉をギョロリとさせて、朝から晩まで笑いをとばす。笑いのことなら、デンと任せろ~の主題歌通り、サイレント時代から使われている拳闘お笑いネタです。デン助の持ち味は体芸ではないので、ボクシングのように動きを要求されるギャグにはむいていませんね。全然、面白くありませ~ん。