ゴジラ | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

1954年3月1日、太平洋・ビキニ環礁での水爆実験でマグロ漁船・第五福竜丸が被災。広島・長崎に続く核被害に、“死の灰”“放射能マグロ”などと世情は騒然とします。そんな社会背景の中で公開されたのが『ゴジラ』(1954年・東宝/監督:本多猪四郎)でした。

船舶が次々に原因不明で沈没し、新聞記者の萩原(堺左千夫)は遭難地点に近い大戸島で取材します。奇跡的に生き残った漁師の政治は、海から出た巨大な怪物に火を吐きかけられたと証言。

昔から怪物がいるという長老(高堂国典)がくさの言い伝え通り、嵐の夜に怪物は島を襲い、人家を破壊。政治とその母も一瞬にして踏み潰されます。

国会が大戸島の被害と、原因を確かめる調査団を派遣。古生物学者の山根博士(志村喬)を先頭に、その娘で助手の恵美子(河内桃子)、彼女の恋人であるサルベージ会社の尾形(宝田明)、原子物理学者の田辺博士(村上冬樹)、それに萩原と政治の弟・新吉が加わります。調査団の一行は、伝説の怪物がゆうゆうと巨大な姿を見せ、海中に消えていくのを目撃。

山根博士は、二百万年前の生物ゴジラがたびたびの水爆実験で蘇り、生活環境を破壊されて移動中で、水爆の放射能を体内に蓄積して火を吐くと説明。フリゲート艦が爆雷を投下したが効果なく、東京に上陸。品川駅を押し倒し、列車を引きちぎり、鉄橋を壊して海中へ去ります。

対策本部では五万ボルトの鉄条網をはり、都民は疎開を開始。そしてゴジラは再び上陸し、鉄条網を寸断し、戦車や重砲の攻撃を物ともせず、議事堂やテレビ塔を破壊し、一夜にして東京は壊滅状態。

山根博士の弟子・芹沢(平田昭彦)は恵美子に恋していましたが、戦争で傷を負って醜い顔になったのを恥じ、実験室にこもっていました。恵美子は芹沢の秘密の研究を尾形に話し、二人はゴジラ対策のため、芹沢に発明品オキシジェンデストロイヤーの使用を説得。兵器として悪用されることを恐れていた芹沢でしたが、自分の心のたった一つのよりどころであった恵美子がすでに尾形のものであったことを知ると、オキシジェンデストロイヤーの使用を決意。研究資料を全て焼きすて、たった一つの完成品を抱いてゴジラが眠る海へ潜っていきます。ゴジラの断末魔とともに芹沢も密かな恋を捨てて死にます。

父親とリアルタイムで観たのですが、とにかく怖かったです。ミニチュアセットの東京でゴジラが暴れまわるシーンは、特撮とは思えない迫力で画面に釘付けになりましたよ。父親の腕をしっかり掴んでね。伊福部昭の音楽も耳に残りました。知識人にはゲテモノ映画と評価されましたが、大衆は支持し、国内で九百万人以上を動員。海外用に編集されて、アメリカのメジャー系の配給に乗った初の日本映画となりました。ゴジラはアメリカでも認知され、その後もゴジラ映画が公開され続けて国際スターとなったので~す。

『ゴジラ』の大ヒットにより『ゴジラの逆襲』(1955年・東宝/監督:小田基義)が作られます。『ゴジラ』のラストで山根博士が、「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。人類が水爆実験を続ける限り、第二・第三のゴジラが出現するだろう」とつぶやいた通り、二匹目のゴジラと新怪獣アンギラスが登場。

漁業会社のパイロット・月岡(小泉博)は、岩戸島に不時着した同僚の小林(千秋実)を救助に行って、ゴジラとアンギラスが格闘しているのを目撃。二匹の怪獣は海中に没し、ゴジラは大阪湾へ。ゴジラの大阪上陸を防ぐために灯火管制がしかれますが、脱獄した囚人が火災を起こします。火に誘われたゴジラは大阪上陸。ゴジラを追ってアンギラスも現れ、大阪城で激突。アンギラスを焼き殺したゴジラは海中に消えます。月岡と小林は北方の孤島でゴジラを発見しますが……

主人公の月岡は太平洋戦争の空の勇士だったという設定。ラストでは自衛隊の戦闘機隊に加わってゴジラを攻撃。ゴジラを殺す手段はなく、氷山を崩して生き埋めにするだけね。水爆と怪獣の関係はあいまいで、怪獣バトルを売りにした単純な娯楽作品。前作と違ってゴジラの怖さが薄れ、大阪の破壊を私は面白がって観ていました。製作に1ヶ月も要したという大阪城のミニチュアは頑丈で、ゴジラが暴れても壊すことができず、スタッフがワイヤーで引っ張って壊したとのこと。

公開時に、宣伝用に「ゴジラさん」というレコードが発売されています。18年前に友人からもらった『ゴジラ主題歌大全集』というLPに収録されていて、私はその時初めて聴いたのですが、メチャ可笑しいコミックソング。♪~ゴジラさん、ゴジラさん、どうせやるなら、でっかいことおやり、地球けっとばせ、天こがせ~

B面の「うちのアンギラス」はデュエットソングで、一緒に聴いていたカミさんが大笑い。女房がゴジラで亭主がアンギラス。ゴジラが強いわけです。こんなレコードで、宣伝になったのかなァ。