七つの誓い | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

北村寿夫原作のラジオ人気ドラマ“新諸国物語”シリーズは、『白鳥の騎士』から始まり、2作目の『笛吹童子』と3作目の『紅孔雀』は東映で映画化され、東映隆盛のきっかけとなった大ヒット作。『七つの誓い』はシリーズ4作目で、これも東映で三部作として製作(監督:佐々木康)されました。よく知られている前2作と比べて、印象の薄いものになっていますが、私にとってはリアルタイムで観た想い出深い作品です。

第1部:黒水仙の巻(1956年12月26日公開)

7年前に別れた父トルハン(加賀邦男)を捜してヒマラヤ山麓を旅する五郎(中村錦之助)の前に、砂漠の鬼と恐れられる盗賊のオンゴ(吉田義夫)が現れ、滅亡したカラコジア王国の財宝の在処をしめす指輪を渡せとせまります。トルハンがカラコジアの勇士だったのね。しかし、五郎が所持していないとわかると、五郎を城塞造りの奴隷にします。トルハンもペダンネ村でオンゴに捕まり、二人は再会。二人はオンゴにさらわれて奴隷になっていた少女サラ(丘さとみ)の手助けで脱走に成功。途中で妹サラを捜していたゲンジ(波島進)に助けられ、ゲンジの家でトルハンはカラコジアの財宝の秘密を話します。それは、カラコジアの七人の忠臣が所持していた黒水仙の浮彫りのある十字架と、日本に亡命している桜子姫(千原しのぶ)が所持している王位継承の指輪により財宝の謎が解けるというもの。十字架を所持しているのは、飛騨の国で桜子姫を護っている高山伊織(坂東蓑助)、夕月丸(大川橋蔵)、杢助の3人と、日本に使いに行っているカピ(伏見扇太郎)、それにトルハン、そして話を聞いて自分も所有者のひとりと名乗ったゲンジ。残る一つは不明のままです。トルハンのもとに使いにやってきた杢助が途中でオンゴに捕えられ、財宝の秘密を知ったオンゴは密貿易の仲間である一文字入道(山形勲)に協力を要請。足利幕府を倒して天下を取ろうとしている加賀爪丹波(月形龍之介)の悪だくみに加担している入道は、財宝を軍資金にするため高山伊織の屋敷を襲撃。桜子姫は、あわやというところを黒頭巾(東千代之介)に救われます。一方、オンゴはゲンジの家を見つけ襲撃。乱戦のさなか、サラは絶命し、五郎たちはオンゴに捕えられ……

第2部:奴隷船の巻(1957年1月3日公開)

捕えられた五郎たちは、日本に向かうオンゴの奴隷船に乗せられて、入道が支配する日本の最南端はぐれ島に閉じ込められます。その島は鉄砲製造の秘密基地。一方、夕月丸たちは、丹波の目を逃れながら桜子姫の行方を捜しまわります。丹波の屋敷に腰元として潜入していた夕月丸の妹・楓(三笠博子)は将軍暗殺の計画を知り、夕月丸へ連絡。鞍馬の火祭り見物をする将軍にそのことを知らせようとする夕月丸たちは丹波の家来に襲われますが、黒頭巾が将軍を狙う殺し屋・梟丸(徳大寺伸)を遮ります。はぐれ島に囚われている五郎たちの前に、オンゴの手下だったトカチ(片岡栄二郎)が七人目の同志として現れ、五郎たちを救出。火薬庫を爆破して島から脱出しますが……

第3部:凱旋歌の巻(1957年1月9日公開)

日本にたどりついた五郎たちは夕月丸たちと出会い、七人が勢ぞろいします。虚無僧姿の桜子姫とも再会。しかし、楓の正体を知った入道が彼らの隠れ家を包囲します。桜子姫とトルハンが捕まり、丹波によって処刑されようとした時、突如斬りこむ七人の同志。そこに出現した黒覆面、実は丹波の悪事を調べていた将軍の弟・足利信行。全ての悪事が露見し、入道やオンゴは七人の同志に成敗され、丹波は切腹します。王家の財宝の謎は解け、桜子姫と七人の同志はヒマラヤ山麓へ帰っていくのです。

全体を通してバツグンに面白いのは第1部。日本に舞台を移してからはハチャメチャさがなくなり、普通のお子様向けチャンバラ映画ね。第1部は、書割り特撮が素晴らしく、異国情緒たっぷりです。ジプシーの踊りなんか、大人でも嬉しくなりますね。

月形龍之介・山形勲・吉田義夫と顔を揃え、悪役の魅力がいっぱい。特に吉田義夫のオンゴは、悪い奴というだけでなく、顔からして子供心に怖かったですよ。私にとって、あの頃の悪役ランキングでは、吉田義夫がダントツの1位で~す。