紅孔雀 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

子どもの頃、正月は家族で映画を観に行っていたのですが、その最初が『紅孔雀(五部作)』です。1954年の12月27日に第1部「那智の小天狗」が公開され、年が明けて1月3日に第2部「呪の魔笛」、1月9日に第3部「月の白骨城」、1月15日に第4部「剣盲浮寝丸」、1月21日に完結編「廃墟の秘宝」と公開され、クリフハンガー方式で続きとなるものだから、毎週観に行かざるを得ませんでした。親の目当ては、添え物の『紅孔雀』でなく併映作品にあったのですが、途中から『紅孔雀』に興味が移っていました。“大人が見ても面白い、子供が見れば大喜び!”の作品だったんですよ。

白鳥党の流れをくむ南紀州の代官・那智の嘉門(有馬宏冶)は、ローマの聖者から授けられた紅孔雀の宝庫の鍵を所持。それを知るされこうべ党の元海賊・網の長者(吉田義夫)は、妖術使い・信夫一角(三条雅也)と手を組んで紅孔雀の鍵を狙っています。長者の娘・久美(高千穂ひずる)と嘉門の息子・小四郎(中村錦之助)は恋仲ですが、一角が久美に横恋慕。網の長者率いるされこうべ党が嘉門を捕らえ、一角が妖術を使って紅孔雀の鍵を奪います。

小四郎は姉・幾重(西条鮎子)や下僕と嘉門の救助に向かいが、長者や一角が罠をはりめぐらせ、危難の連続。そんな小四郎を謎の浪人・五升酒の猩々(大友柳太朗)や怪童・風小僧(山手宏)が助けます。一方、久美は一角から紅孔雀の鍵を奪って逃走。しかし、宝の地図を所持している海賊船どくろ丸の軍太夫(青柳竜太郎)にさらわれ、風小僧が久美を助けますが、浮寝島に漂着。二人は島の娘・麻耶(星美智子)に匿われますが、麻耶はされこうべ党の一味で、久美を盲目の美剣士・浮寝丸(東千代之介)の館に連れていきます。浮寝丸は妖婆・黒刀自(毛利菊枝)が使う呪いによって操られたされこうべ党の首領。しかし、久美の純真な心に正気が目覚めはじめます。久美は黒刀自の毒草によって邪悪な心を持つ娘に変身。

五升酒の猩々が兄の主水であることを知らされた小四郎は、主水と一緒に嘉門が捕らえられている一角の山塞・白骨城に向かいますが一角一味の鉄砲に撃たれて捕まります。そんな中、妖術に操られた久美が白骨城にやって来て、小四郎を殺そうとしますが正気が戻り、呪いの落雷によって二人は気絶。

小四郎は戸隠れ老人(市川百々之助)に助け出され、自分が白鳥党の首領として生まれてきたことを教えられ、されこうべ党の本拠地・浮寝島に向かいます。久美は風小僧に助け出され、呪いを消す白鳥草が咲くという花の島へ。主水は白骨城を襲いますが、一角は嘉門を連れ出して花の島へ逃亡。主水は一角を求めて、浮寝島へ。小四郎は、黒刀自の雷鳴の呪いで悪鬼となった浮寝丸と対決。

主水が駆けつけ、主水の声で我に返った浮寝丸は、笛を吹き奏でて黒刀自の呪いを破ります。黒刀自は、浮寝丸は白鳥党の一族・姉小路大納言の子で、大納言は網の長者のギヤマン屋敷に幽閉していることを告白。両目が開いた浮寝丸は父を救うためにギヤマン屋敷へ。小四郎と主水は嘉門を救うために花の島へ。一方、花の島では、宝の地図を持つ軍太夫と、紅孔雀の鍵を持つ一角が手を結び、秘宝の在処を求めて出発。そのことを、軍太夫の手下・鬼鮫(団徳磨)から知らされた網の長者は一角を追って花の島へ。父・大納言を救い出した浮寝丸も花の島へ。主水は嘉門を救い出し、小四郎は白鳥草で正気に戻った久美と抱きあい、一角たちを追います。小四郎たちが、宝の隠し場所に着いた時、財宝を独り占めにしようとして、一角・軍太夫・網の長者は仲間割れ。小四郎たち白鳥党の正義の剣の前に、されこうべ党の悪党たちは滅びるのです。

『紅孔雀』で一番印象に残ったのが浮寝丸役の東千代之介。謎を秘めた盲目の美剣士は、本当にキレイです。現在では見当たらないタイプの美男スターですね。逆に本来なら一番印象に残らなきゃならない大敵役・信夫一角なんですが、三条雅也にはオーラがありません。演技で見せるタイプじゃないのに、悪役としての毒々しさがないんですよ。三条雅也は名前を小柴寛治と変えた後年においても、映画やテレビに数多く出演していますが、やっぱりこの作品が代表作になるんでしょうな。

久美とイチャイチャする小四郎役の中村錦之助より、私が好きだったのが頼れるオジサン・五升酒の猩々役の大友柳太朗です。『笛吹童子』の霧の小次郎役で強く印象づけられ、この作品で私は大友柳太朗の大ファン(小学生時代だけですが)になりました。個人的思い入れで大友柳太朗のHPを作ったことがありま~す