敷地内高低差有り道路天空率解析手順 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 20208月1日

いつのまにやら7月も終わり8月に突入。

梅雨もあけたかな?という東京だが・・・午後になりまた一雨ふりそうな感じになってきた。雨の前にでかけたいところだが・・・・

 ごまつぶのように小さなムラサキツユクサ。

人間界のコロナ騒動をよそに可憐に咲いている。しばしなごむ。

 

 午後3時現在だが早くも感染者速報ではこれまでの最多を記録。

 

 今週から新人研修が再開した。ソーシャルディスタンスにZOOM併用で密接なし。

 おまけに先週作成したYouTubeプレ講座で事前学習をしていただいたおかげでいつになくスムーズ。

 まずは基準法56条の2:日影規制、56条:高さ制限をじっくり

TP-PLANNERの用地情報の入力と合わせの講座。

次回は、この知識をベースにプランニング実践・・・楽しみだ!

 

 本日は、天空率講座のネタ作りで午前中つぶしてしまった。

早速開始しよう。天空率講座開始!

 

 前回は、下図のように道路反対側の境界線が屈曲しさらに道路中心高が異なる場合でおまけに道路幅員が12.55m。

法56条3項により道路高さ制限勾配が1.25と1.5勾配に区分される。

 これらの条件の設定法および天空率解析とNGの際の解決手順を解説した。

 

 

 今回のテーマは

下図のように敷地内で前回の条件に加えて地表面が傾斜している

事がわかりその条件を考慮するとどうなるか!

検証したい。

北東側断面図で表示すると

敷地の2/3程がBM0mから3.5mに傾斜しており建物が建ってない北側は、3.5mのフラットな地表面となっている。

 この様な事案が発生した際の天空率計算までの手順を解説したい。

尚以下の解説の①から③の設定は、日影平均GLも同時計算する為にTP-LANDで処理する。

 

①傾斜地盤を設定する。

TP-PLANNERでは敷地内で高低差を考慮した入力および解析を行う場合、以下の手順で行う。

①-1傾斜地関連のライセンス利用を指定する。

 設定から「オプションライセンス設定」のダイアログボックスを開き

「平均地盤オプション」「傾斜地オプション」を指定し利用可能にする。

①-2 地表面入力を選択する。

地表面を設定し敷地の地盤面(斜線規制):平均GL(日影用)計算を自動計算する為には、地表面をコンターラインから作成する方法と直接「地表面」で作成する方法がある。

コンタラインから地表面を作成する方法は

傾斜敷地と地盤を考える 2の回を参照していただくとして今回は

道路境界線側か0mから3.5mの一様な勾配面ゆえ「地表面」を直接作成する方法を解説したい。

①-3  傾斜面の設定を行う

ここでの入力法は「建物」入力と同様に行う事が可能だ。

Z座標でBMからの高さを入力後、「連続線入力」、「4角形入力」で平面形状を作成する。傾斜地は訂正モードで傾斜するポイント高を設定後傾斜面を構成する3点を選択した状態で「斜面設定」ボタンを押す事で傾斜面が作成される。この例では、0mから3.5mの傾斜面がと3.5mフラット面で構成される。

 

*属性設定が可能になっており今回は「敷地」に設定している。この利用は、日影規制等で近隣の平均地表面を設定したい場合など傾斜面を区分する事が目的。

 *建物入力からコピー&ペーストしても可、他の3次元CADから読み込み設定する事も可。

 

②斜線計算高計算領域を作成する。

この項は、敷地の地盤面計算を行う外形上の生成と外形に高低差を入力する事が可能になる。

 

「入力」「斜線平均地盤高計算領域」で「他の入力データ変換」(貼り付け状アイコン)をクリックする事で建物外形状が平均地盤計算を行う外形状として設定される。空堀等で外形上が変わる場合は、訂正モードで変形する。

 

③「日影地盤高計算領域」を作成する

この事例では、地表面の高低差が3m以内ゆえ日影の平均GLと同じ値になるその場合日影の平均GL計算を行う領域を②と同様に作成する。

*もしくはコピーペーストでも可

*②,③項で設定した外形上の高低差が機知の場合、境界線をクリックしBMから建物外形上の高さを直接入力し平均計算を行うが今回は、①で設定した地表面との交差位置を自動算出し高低差を自動算出したい。

 

④「平均地盤面算定領域」で平均地盤計算を行う。

 

「平均地盤面算定領域」に移動し平均地盤計算を行う。

結果は②③で設定した項目に自動算入される。

各境界線に地表面と建築物の交点上の高さが代入され

「平均値」1.74mで算出されている事がわかる。

 解析結果は「図法」「平均地盤面展開図」で詳細が確認できる。

敷地の地盤面の高さが設定された。以下天空率解析を行う為にTP-SKYで操作を行う。

 

⑤「地盤:設計GL」項で地盤面高が設定されている事を確認する。

②で解析した敷地の地盤面高さが設定されている事を確認する。

*地盤面が既知の場合は、この項で直接 地盤面高を入力する。

 

 さて地盤面が確定した今回、3m以内の地表面ゆえ日影の平均GLと同一になる。

 

 敷地内の高低差がある場合は、この「地盤:設計GL」を設定する事で「敷地」の境界条件で入力されたBM基準の高低差が平均GLを起点とした高低差に自動換算され適合建築物が作成される。

 

 今回は、前回より平均GL面1.74mが設定された事により道路面の高低差がさらに広がり1m以上の高低差となり(h-1)/2の高低差緩和が適用された道路高さ制限適合建築物が自動作成される。

 6 建築物の敷地が2以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める

 

第135条の2 道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合
 建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。

 

この(h-1)/2の緩和が適用される。

 

➅適合建築物をT-SPACEで発生する。

この場合、前回で入力した条件との違いは、⑤「地盤:設計GL」項で設定した設計GLが異なるだけゆえ前回設定保存したデータを読み込み適合建築物を発生させる。

*後退距離などデータ保存時と変更がある場合は、「外壁後退」の欄に直接入力する。

 

 その後道路高さ制限適合建築物の「発生」ボタンをクリックするのみ

 

 前回の基本条件を保存する事で平均GLを変更した場合も適合建築物および算定位置はほどなく自動発生する事が可能となる。

結果を確認しよう。

 

 前回、天空率差分が近接した1.25勾配の区分のみを表示したが問題なくクリアーしている様だ。

 アイソメ図で確認すると

傾斜した地表面の為、平均GL面(敷地の地盤面)が1.74mと高い位置に設定された為、地盤面以下の「地盤」部がより厚く設定されている事がわかる。

 前回の地表面無しの場合は

地盤の厚みが違うのが一目瞭然だ。(NGは、前回逆天空率でクリアーした。)

 

 ところで天空率差分を確認すると地盤面が1.74mと高くなった今回の事例の方がより天空率差分が開き設計有利となった。

 比較してみると

青表示が敷地の地盤面が1.74mの今回の天空率差分

P10(差0.470%,斜84.537%,計85.007% BM+239.75) 天空率近接点)

 

黒が地盤面高0mの場合で約2倍安全差分が確認された。

P10(差0.227%計84.814% BM-260.49) 天空率近接点)

 

 BMからの高さの変化は

地盤面がBM+1740ゆえ 道路面高がBM基準では260.49ゆえ

地盤面からの高低差は1740+260.49=200.49 

1000mm以上の高低差で(h-1)/2分上側に高さ制限起点が上側に設定される。

  (2000.49-1000)/2=500.245

BM基準では-260.49ゆえ  500.245-260.49=239.75

これが地盤面1740が設定された際の高さ制限の起点および算定位置高がBMから上側に239.49の位置に変わった。

 断面図で表現すると地盤面1.74mでは

 適合建築物の場合、起点と算定位置位置が同一ゆえ天空率の差分は、地盤が厚くなった分天空率が

地盤面0mの斜84.587%,に比較し地盤面1.74mの斜84.537%でわずかに低下しただけだが計画建築物は、算定位置が上昇した分 低く見え天空率が計84.814%⇒計85.007%  上昇した。その分安全差分が広がった。

地盤面0mの場合


 

 天空率比較図で両者を比較すると

地盤面1.74mが0mに比較し建物の見え係りが低くなった分適合建築物を超えた赤部分が小さくなり39⇒33に面積が小さくなった分安全差分が大きくなった事がわかる。

 

すると地表面を考慮した為、前回後退距離を500mm上側に移動したが戻していけるかもしれない!・・・。

長くなった来週の回のお楽しみとしよう。

 

 次回までお元気で!

くれぐれも新型コロナにはお気をつけ下さい。 hi

 

 

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