傾斜敷地と地盤を考える 2 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

5月23日土曜日。東京は薄曇り。
昨日岡山まででかけておりまして途中下車で真っ白になった姫路城でもながめたいと思ったが時間がなく新幹線から撮影を試みた・・・

傾斜したマンションの後方にわずかに白いお城が見えた。・・・以前はもっと近くに見えた憶えだが・残念。めげずに岡山城をめざす時間はわずか

路面電車で駆けつけた岡山城はお見事。軍師黒田官兵衛では陣内孝則演じた宇喜多直家の城だ。

快晴の絶好の観光日よりだがこの一枚で講習にむかう。

今週も講習三昧。

月曜日は逆日影天空率講座

火曜日は、プランニング講座。天空率、建具付きパースまで一気に解説。

そして木曜日も日影規制、天空率講座を行った。1時半から7時まで・・・。皆さん頑張る。

 そして昨日は、岡山で不動産鑑定士の大塚さんへの講座。マンツーマンで建物想定、天空率を実物件でこなした。3方向道路で狭い道路が間にはさまった132条3項の区域の処理に往生したが久々の再会で楽しく講習。

1時から6時半頃までの講座終了後でさすがに疲労かな。とんぼ返りで東京に戻る。

今週の報告おしまい。講座のネタは新幹線の中で充分時間があった為すでに仕込み済みだ。


天空率講座開始!

前回は、傾斜敷地における地表面(地面)と地盤の違いを解説した。
今週から実践解説を開始したい。
本日の例題は


傾斜地における道路天空率の効率的な解析法を解説したい。

まずは土地情報から



今回は、日影規制の影響を排除する為に北側に商業地域を設定した。
傾斜した地表面の情報を詳細に立体表示すると


敷地の南西に面した位置にBMがあり敷地の傾斜はBMからの高低差を示す。道路面は0m~から1,2m傾斜し道路境界線を越えた位置から1.2m低い状態でフラットになる。



さて、問題はこの事例をどの部分から開始するかだ・・・・・。

TP-PLANNERユーザーの皆さんの為に、コンター情報から傾斜した地表面を作成する手法も含めて全ての入力解析の手順を解説したい。

地表面からコンタを生成する機能はTP-LAND内にある為、TP-LANDから開始する。

①緯度、真北入力を行う

②敷地入力では道路境界の中心高はBM基準で入力する。


傾斜した道路境界線の情報は「始点」0m、「終点」-1.2mを入力する。
③用途地域を入力する。


④コンターを入力する。(「入力」「共通拡張データ」)

「位置指定」ダイアログボックス内の「原点からの高さ」の項にBMからの高さを入力後、連続線でクリックし入力するか、インポートしたコンタ線を直接ファイル読み込みし設定する。

⑤コンターから地表面を生成する。(「計算モード」「地表面生成」

「発生距離」を、1m以内に設定するとなめらかな地表面が生成される。その他「水平面合成」をチェックすると水平面を三角メッシュで作成しない。

⑥作成した地表面を確認する

敷地上側2.5mのフラットな地表面に道路側から傾斜した地表面が作成される。

⑦BMと設計GLの差を入力し建物入力の基準位置を確定する。

「入力」「逆斜線拡張データ」「地盤:設計GL」の項で行う

今回は設計GLは、、BMから0.5m 上側にあると設定する。

*BMと設計GLの差は敷地入力直後に確認設定ダイアログで入力します。

⑧建物を設計GL基準とした高さで入力する

ここまでが入力情報だ。これらの情報から「地盤面」この場合、3m以内の傾斜敷地より日影の平均地盤面と同一になる。


地盤面は他で解析してあれば⑦の地盤面で直接入力しても良いが今回はコンタから生成された地表面と建物外周高から自動算出する事とする。

⑨計算モードで「平均地盤面計算」を行う


この解析で日影計算地盤面と地盤平均高がもとまる。この場合は3m以内の傾斜ゆえ同一高となる。平均地盤の計算は「平均地盤高計算領域」の項で外周高を直接入力する事でも求まる。

結果は⑦のダイアログ内に地盤平均高が直接書き込まれる。


0.933mが平均地盤面の高さ、この場合、同一だが日影の平均GLは「入力」「レベル日影平均地盤高の項目に直接書き込みされている。

平均地盤面の展開図は「図法」「平均地盤面展開図」で作図される。

高さの表示基準はBM、と設計GLを「表示」「高さ基準」の項目で切り替え表示が可能だ。

さてこれで準備万端。まずは斜線断面で道路斜線をチェックしてみる。

断面図では、参考に地表面も表示しているが、地表面の役目は、地盤面が算出されたこの時点で終了。地表面は地盤面さらにそれ以下の部分が地盤となり天空率計算に適用される。

(天空率)
 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)/(As)
この式において、Rs、As及びAbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章において「想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投影面の水平投影面積

さてこれから、高さ制限適合建築物と魚眼レンズを配置する算定位置基準線を発生させるが本例の場合、道路右下部分が当該敷地境界線と接していない。

その情報を「天空率敷地」で設定する。その部分は屈曲した隣地越えの部分となりその道路境界線の反対側から適用距離の範囲内には適合建築物を配置しなければならない。

境界点を屈曲道路なりに追加し反対側の道路境界情報を適用する。

そして「天空率算定領域」で道路天空率の項で「全境界」ボタンをクリックすると

適合建築物と算定基準線が発生する。適合建築物に面した位置には算定基準線が発生する。

解析すると

どうやらNGの様だ。この場合の適合建築物と算定位置の関係をアイソメ図で確認すると


茶色で表示された部分が地盤だ。断面図で確認すると


P6の部分の断面図だが地盤面からの高低差が1mを越える為、(h-1)/2のに算定位置が発生し、適合建築物の発生基準位置もその位置を起点とする。

(法第56条第7項第1号の政令で定める位置)
第135条の9 法第56条第7項第1号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。

・・・・
4 当該建築物の敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1メートル以上高い場合においては、第1項に規定する前面道路の路面の中心は、当該高低差から1メートルを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなす。

 この場合、上記令第135条の9  4項に記述される様にみなさなければならない。緩和ではないその位置になければならないと記述されている。

 本日のポイントは、地表面が建物外周と接する平均の高さが地盤面でそれ以下が地盤となる事。算定位置はその地盤面を基準として令第135条の9が適用される。


今回も長くなったが次回は、その令第135条の9  4項を無視し最も低い位置に算定位置を設定する設計者がときおりみられるが、この事が危険側である事を今回の結果と比較検証したい。次回までお元気で



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