9月8日土曜日
毎週のように自然災害に見舞われている。関西での地震、台風21号上陸から北海道での震度7大地震・・・過去に例がないのでは・・・。
ただ、30年以内にM7程度の首都直下型地震が起きる確率は内閣府によると70%。
公園でみつけた赤花・・・八重のムクゲのようだ。沖縄の赤花とルーツは同一らしい。
昨日は、大阪でグラフィソフトさんの新製品発表会に参加してきた。
BIM6社連合の仲間と隣あったブースで楽しく展示解説をしてきた。
トモデータサービスさんとソフトウエアセンターの皆さんとパチリ。
秋口恒例のこの発表会には、毎年のように参加しているが、この場所で毎年のように再会する仲間もいたりで楽しみな会だ。
今週は、講座も多くこなした。
火曜日の天空率講座は、設計事務所、ゼネコン、コンサルの皆さんが参加され熱心にお聴きいただいた。
ちなみに毎回、延長講座になる為、次回から1時半から5時半まで1時間、時間延長する事を決定。
水曜日は、導入まもないデべさんの設計の皆さん。やはり台風の影響で九州からの帰京が遅れた都合1時間延長。初日は日影規制から次回は天空率頑張ろう。
木曜日は、不動産鑑定士の皆さんの3回講習の最終回。
無事、土地情報の入力から逆日影、建物想定、面積表まで作成。お疲れ様でした。またお会いしましょう。
さて本日は、沖縄の仲間との呑み会がある。
早めに天空率講座を始めたい。
敷地区分方式とその問題点の指摘と題して、検証を開始した。
前回は、敷地区分方式の不合理な事例として「平成14年建築基準法改正の解説」で敷地区分方式の設定法の根拠とされるこの挿絵で
この事例を使って敷地区分方式の手法を検証した。この事例の場合、隣地境界線のみが出隅ゆえ垂直切断される。
隣地境界線に垂直方向に切断区分する敷地区分法ではA側の建築物は隣地適合建築物の対象にならない事になる。
法文に照らすと
基準法56条
二 当該部分から隣地境界線までの水平距離に**が一.二五とされている建築物で高さが二十メートルを超える部分を有するもの又は*数値が二.五とされている建築物**で高さが三十一メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたもの
(建築物の)それぞれの部分から隣地境界線までの水平距離は、全ての建築物は隣地境界線からの高さ制限が適用される。もちろんA部分も対象となる。
Aの建築物の部分が無視された事も有り、この事例では、隣地天空率比較は、クリアーした。
A側部も円弧状に作成した隣地高さ制限適合建築物(一隣地方式)で作成するとA側の空地の有無が適正に評価され
NGとなる。
敷地区分方式の不合理な事例は、実事案では多く存在する。
今回はかつて比嘉ブログでも解説したこの事例
赤破線枠で囲まれた隣地境界線の部分を対象に検証する。
隣地天空率検証の前に住居系においても東京では400%指定の都市計画がある事の確認から。
東京都では「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」で
Ⅰ 「東京の新しい都市づくりビジョン」を踏まえた土地利用の方針
「東京の新しい都市づくりビジョン」(以下、「都市づくりビジョン」という。)では、社会経済の大きな変化と首都機能を担う東京圏が国内外で果たすべき役割を踏まえ、東京圏全体を視野に入れた、集積のメリットを生かす多機能集約型の都市構造である、環状メガロポリス構造の構築をめざすこととしている。
住宅地の都市計画は以下の基本方針で策定される様だ
(1) 住宅地 都心居住の推進・・・道路の沿道において自動車関連施設などの立地を誘導し、これと調和した住環境の保護を図る区域は準住居地域を指定する
・・・・・
特に、ゾーンの特性に応じためざすべき市街地像に誘導するため、・・特に、良好な環境の形成を誘導する区域においては環境形成型地区計画等を定め、一定の環境水準が確保される場合には、これに応じた容積率を設定する。・・・
(2) 高層住居誘導地区おおむねセンター・コア再生ゾーン内で、居住機能の適正な配置を図るため、高層住宅の立地を誘導すべき区域において、住宅と非住宅の混在を前提とした用途地域(第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域及び準工業地域)で 400%の容積率が指定された区域について、別に定める基準に基づき指定する。
2.容積率(1) おおむね環状7号線の外側の区域は200%以下とし、高度利用を図る区域は300%とする。(2) おおむね環状7号線の内側の区域は300%とし、高度利用を図る区域は400%とする。ただし、センター・コア再生ゾーン内で、都心居住を推進するため高度利用を図ることが必要な区域は400%又は500%とすることができる。
環状7号線の内側では300%以上が可能の様だ。
今回は400%で1.25勾配で隣地高さ制限のみを検証したい。
本物件は容積率400%を確保すると14階が必須となる。14階の隣地高さ制限をチェックすると
9階から高さ制限の対象となり都市計画400%が達成されない。都市計画に準じた土地の有効活用を考えると天空率利用が不可欠となる。
敷地区分方式で天空率計算を行うと
道路側の端部がNGとなった。
NGの原因は下図の様に敷地区分された隣地高さ制限適合建築物が敷地内空地のA,B部が含まれない事にある。その分空地不足となり通風採光が確保できないとするがA,B部は現に存在する。
今回は、空地A、Bの評価をしない事の不合理を、上図の元敷地を変形した3事例を通じて検証していきたい。
①南側の隣地に屈曲した境界点が無い場合
東側の屈曲した隣地境界線が無い事、出隅ゆえ敷地区分法では、隣地境界線に垂直区分する。
解析すると
クリアーした。
南側の敷地が広くなったわけではない、むしろ直線化された分A部分の空地が狭くなった。
その分通風採光は低下するはずだが、境界線が直線になり長くなった結果、赤線からした側の空地が広がりクリアーした。
敷地内空地が減少したのに、通風採光が上昇するという現実的にはあり得ない。(天空率の基本的な考え方と異なる:空地の分だけ高さ制限を越えられるのが基本の考え方。)
ところが「敷地区分方式」ではありうると判断される。
赤表示した分が元の敷地に比較し8.483㎡少ない。敷地内の空地が少ない方がクリアーする不合理。
この場合、対処として1m程度の屈曲度なら直線化しまとめる等を可とする指導があったりするが、法文に基づかない付け焼刃的対処では不合理を助長するだけだ。
赤部分が1m以上の屈曲度の場合、空地が大きい事になるが1mを超えるという判断で天空率計算上無視される。
ではその赤表示の空地がさらに広い場合の不合理が次。
②屈曲部が十分広い場合でタワーパーキングを設置した事例
今度は、赤円弧でしめした部分が158㎡、30mのタワーパーキングを設置した。
タワーパーキングゆえ天空率比較の対象となる。
①の例の敷地と比較しタワーパーキングが設置された分通風採光に加えて開放性も悪くなる。
敷地区分方式でもNGになるだろうと思い解析をしてみると
クリアーした。
原因は屈曲境界点が元事例と比較し下側に移動した事。
その分、南側空地部分を広く天空率対象としているが「敷地区分方式」では入隅角の半分、出隅は垂直切断し区分する為、タワーパーキングがまったく天空率解析の対象外となっている。
これはその境界点間のみがクリアーかと思いきや
すべての隣地境界線で問題なし。
30mのタワーパーキングの影響まるでなしとなる。
この場合、Aの敷地境界点間(隣地境界点間)の算定位置が隣地ではなく当該敷地内しかも建築物の下側に配置される。
算定位置には通風採光の測定比較をする魚眼レンズいわば環境測定器を配置するイメージだ。
ところが当該敷地内にある建築物の床下に配置して隣地の環境がわかるのか?・・・敷地区分方式の場合、算定位置もこの様に不合理が発生する。
天空率をまじめに検証してきた方には、ばかばかしくてやってられないかもしれない・・・・今一度気を取り直して「一の隣地方式」で解析すると
元の事例でクリアーした「一の隣地方式」は、空地に建築物が配置されると今度は通風採光を阻害する要因となりNGとなる。
当然だ、空地が高層のタワーパーキングでほぼ空地がない状態ゆえその右側の隣地境界の環境は低下すると考えるのが合理的だ。
JCBAが「一の隣地方式」を最も安全側とするのはこの事を意味する。
さらにこれが大事だが「算定基準線がすべての隣地境界線から16m外側にある。」敷地区分方式ではこの事が屈曲隣地では実現できない。
最後にもう一例
③微小な入隅状の屈曲部を有する敷地
微小な入隅状の屈曲部を有するとはなんだろうと思うだろうまずは敷地形状から
おや?これは元敷地と同一じゃないかい?と思う方の為に元敷地での天空率計算は
敷地区分方式ではNGとなる。
タイトルの「微小な屈曲部を有する」という事がポイントだが解析すると
見事にクリアーしてしまう。もうお気づきだろうが空地Bの大きさが元敷地より広がっている。
しつこい様だが元敷地は
B側階段室の上部で道路に面した空地の大きさがちがう。なぜだ?
境界点7が追加され赤線で示す元敷地の境界線より内側に100mm程欠け込む。その追加された端部7は出隅から入隅へかわり「敷地区分方式」では入隅の場合はその角度の半分の位置で区分された分道路面した側の空地が広がったその為クリアーした事になる。
これって有りですか?といわれてもこれが「敷地区分方式」の区分法。
この敷地を「一の隣地」で解析すると当然クリアーする。
元の敷地(欠け込み無し)がP5(差1.340%,斜89.681%,計91.021% )が欠け込みありがP5(差1.279%,斜89.742%,計91.021% )で欠け込んだ分空地が少なくなり適合建築物の天空率(斜)が0.061%低下している事がわかる。空地が少なくなれば通風採光は低下するきわめて合理的な結果だ。
この様に敷地区分方式では敷地境界点の有無のみで天空率の結果がドラスティックに変化する。
つまり隣地境界点のわずかな変更で隣地天空率の結果が異なる事。
この事を脱法的い利用されかねない。
JCBAでは適用事例集で道路の場合脱法的行為の警告として
隣地越え部L2に関して「形式的な脱法的行為を防ぐ為、道路と隣地の間の空地が同一敷地である道路斜線制限を適用するのが妥当と考えられる」と記述されている。
道路天空率においても境界点間で区分すると「他の敷地」を超えた部分の適用距離で区分される部分がチェックされない事になる。その「他の敷地」部分が意図的に設置したりしなかったりで結果が異なる事があってはいけない事が記述されている。
天空率を正しく理解する事は土地有効活用するうえで重要だ。
JCBAでは、今回のこれらの敷地区分方式における不合理な状態を解決する手法として「一隣地方式」を提唱している。
次回は一隣地方式の考え方を解説したい。
次回までお元気で!