逆日影と天空率を駆使して作成する高層建物 3:母逝く | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

年6月10日土曜日

 

これは、沖縄の実家の庭に咲くテイキンザクラ。

 

 今週火曜日夜、母の様態が急変したとの連絡を受け沖縄に急遽かけつけたが間に合わず逝かれてしまった。4月に会った時から食事がとれなくなり最後の時を迎えている事はわかっていたのだが・・。

 92歳の大往生で多分、本人家族ともに悔いの残る事のない大往生。今頃、大好きだった親父に迎えてもらって持ち前の笑顔を振りまいている頃かと・・。

 

 戸籍には南洋群島サイパン島で生まれるとある。

 

 20歳の頃、太平洋戦争で艦砲射撃をうけ姉、妹を吹き飛ばされ失い、自分もお尻に大きな傷跡が残った。

 

 戦後、沖縄に引き上げ、当時米軍政府下の郷土の教育に頑張る親父と出会ったのが我が家の始まり。安月給(タバコ2ボール分といわれている。)の父の給与では家族(姉3、妹2.4番目の1男が比嘉)を養えない。洋裁の技術で米兵相手のスーベニヤグッズ:ペナントなどを作り(現在でも横須賀あたりである様な)売った。売れたらしい、なにしろ最初の瓦屋根の家を建てたのは母の稼ぎのみ。米軍演習があれば演習場の近くでブロークンイングリッシュでアイスコーヒーを販売するなどたくましい。

 その稼ぎを元手に養鶏で卵屋さん、保険の外交、サトイモづくり。サトイモは殆どお金にならず1回の収穫ですぐに見切りをつけるなど判断も早かった。

 けして商売上手なわけではないが周りも同じような環境の中、訳隔てない笑顔で皆を明るくする「花ちゃん」と呼ばれた地域の人気物。

 

 比嘉自慢の偉大な母でした。

 さて・・いつもの比嘉ブログに戻る事としたい。

 

今週、火曜日は天空率講座で10人定員参加でゼネコン、設計、不動産鑑定、教育分野までバラエティーに富んだメンバーの参加で天空率基礎から実践事案を例に屈曲道路、行き止まり3方向道路、隣地天空率(敷地区分:一隣地)から審査の際の要求される資料の事などお話しさせて頂いた。

 

 今回もいつものように記念写真は添付させていただく

 

またお会いしましょう。

 

 天空率講座は事前にネタを仕込んでいたのでそのまま掲載したい。

 

今回は前回の事例からの続きで今回は隣地天空率を解説したい。

 

隣地天空率をチェックする前にまずは隣地斜線断面を確認して隣地高さ制限を超える箇所を確認しておきたい。

 

 逆斜線鳥かご図(隣地斜線のみ適用)とプランを合成すると一目瞭然。

 

 

南東側に面した階段部、および専有部がNGでる事がわかる。尚このパースはTP-PERSで合成処理した。プレゼンに利用していただきたい。

 

 厳しい箇所を断面図で確認するとまずは専有部に近接した隣地境界線

 

 

3層分NGになる。次に階段部

 

 

 

いずれも隣地高さ制限を3層分超えているが南側が有効採光距離4m分の空地が存在する事より天空率でも有効に機能する。なぜならいずれも目的が採光の確保。

 

 まずは敷地区分方式から

 

 敷地区分方式は、敷地境界点間で区域を区分する方式だ。隣地境界数11区域分発生する。区分法は出隅部は垂直、入隅部は入隅角の半分まで当該隣地境界とともに区分される。

 

 解析しよう。結果は

 

赤表示区間が1区域ある。その区域を拡大し確認しよう。

 

 

 隣地境界点間が狭く算定位置から左側が出隅で隣地境界線に垂直、右側が若干の入隅でその角度の半分までで区分されている。

 比嘉ブログで毎度指摘してきた事だが、敷地区分方式が天空率の処理法として合理的に機能しないのがこの様なケース。

 

 右上のアイソメ図でわかるように、従来の高さ制限と変わらず敷地内空地分を高さ制限を超えた部分に充当する本来の天空率の考え方には基づかない事になる。

 

  敷地区分はこの様に不合理な結果になる事が多い。

これを逆天空率で天空率差分がおさまるべく建物をカットすると

 

建物の下側専有部とバルコニー部を含む部分をカットしなければならない。

赤表示で示したスリットの入った建物は構造的に不可だと思われるのでカットしなければならず土地の有効活用がままならない。高さをカットした場合は隣地高さ制限とほぼ同じとなり天空率利用が意味をなさない。

 

 このような不合理な結果になる場合、JCBAでは「一の隣地方式」をそのサイトで解説している。

「一の隣地方式」で解析を進めよう。

 

 

 「一の隣地」ボタンをクリックすると隣地境界線から外側にこの場合近隣商業地域ゆえ12.4mの位置に算定位置が配置される算定基準線が発生する。

 算定基準線は端部が道路に面する場合、一般的に道路内は不要とされる為、「切断」コマンドで道路境界線をクリックする事によりその延長上にある基準線が切断される。

 

 西側端のように端部が入隅に面している場合、基準線最終端は不要になるべく区分されている。

 それらを選択し削除する。(自動で削除しないのは審査サイドの指導で延長される場合も考えられる為)このように隣地境界線が屈曲している場合は、審査サイドと協議する必要がある。

 基準線の延長に関しては、隣地境界線に面する部分に基準線がある事が要求される。

 この場合右端は道路境界線まで。西側は地境界線が入隅状の場合でえ面する部分が道路内まで及んだ為念の為その位置まで延長した。右端同様に道路境界線までの延長する事で可とされるケースも多いと思われる。

 

 解析してみよう

結果はすべて余裕のクリアーとなった。

西端部の算定位置が近接点になったが差分2.699%でクリアー。敷地区分でNGだった東端部では3.8%差分で余裕をもってクリアーしている事がわかる。

 

 「敷地区分方式」でNGだった算定位置に近い東側道路に近接した位置P11で重ね表示で確認すると

 

 

 

 高さ制限を超えた部分の面積(赤部)1.03に対して敷地内空地部分(緑部)の面積が77.56ありクリアーする事は当然だ。

 

 ところで緑の適合建築物で角状の部分が気になるがそれは

角状に伸びた敷地空地でパースで高さ制限適合建築物と計画建築物を算定位置のあたりから眺めると

 

 

赤丸で示す角状の敷地がそのまま隣地高さ制限適合建築物となり

 

算定位置近くでは

 

この様に角状に投影される事が確認できた。

 

 

今回はここまでとしよう。次回はこのところその存在価値が改めて見直されている感のある逆日影計算の実践的な利用法を解説したい。

 

 次回までお元気!

 

 

 

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