Rhinoceros とTP-PLANNER連動:逆日影と天空率を駆使して作成する高層建物 2 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

6月3日東京は快晴。

そろそろ梅雨の季節だが待ちかねていたかの様にガクアジサイの花が咲き始めた。

 

 

カワラナデシコも先週あたりから咲き始めた今年もよろしく・・この花のシーズンは長く、楽しませてくれる。

 

 さて今週は先週の講座続きで疲れがたまったところでクーラーにあたりながら寝てしまい、のど痛から風邪をこじらせてしまった。久々病院で処方してもらった薬でこの2日程熟睡でき本日からなんとか回復。来週からまた講座に飲み会、ラッパ合戦と続くのでなんとか本日中に完全にしておきたいところだ。

 

 このところTP-PLANNERユーザーでRhinocerosとの連動利用が多い。自由に3Dデータが作成できるので大手組織事務所中心に利用がすすんでいる様だ。

 

 今回は当方コミュニケーションシステムのホームページでも紹介しているがRhinocerosとTP-PLANNERの連動を紹介したい。

 

 

 事例はRhinocerosのサンプルデータだがこれから東京オリンピックにむけてこの様なスタジアムの連動利用も多くなると思われる。先んじて紹介しておきたい。

 

 

 

TP-PLANNERは3Dフェイスでの読み込みが可能ゆえこの様なパイプを含む自由な3D形状をとりこむ事が可能だ。(これで145,555ポリゴンのデータ)

 

  

 

これは当方TP-PLANNER3Dビュワーで目の位置を外壁の内側に移動し内部を眺めている様子。

 

 

 

 日影規制の倍率、方位と連動した3Dビュワーでの時間ごとの連続レンダリング機能で上図の時間ごとの日影図作成。

 

 

 

時刻日影の重なりはヒートマップによる表現で

 

 

作成される。

 

 申請図として利用可能な時刻日影図

 

 

 

そして等時間日影が作成される。

 

 

 

下面が斜に抜けた部分が等時間日影に適正に表現されている。

 

 サンプルでは様々な形状があるようだ。これからも紹介したい。

 

 さて若干早めだが天空率講座を始めよう。

 

先週から3方向道路の変形敷地で容積率400%をクリアーする為の計画で

 

逆日影チャートをガイドに、発散規制ラインで逆日影計算を行った

その結果基準階で470㎡が利用可能な高層建物が可能である事がわかった。

 

プラン入れを行った結果

日影規制をクリアーした15階の共同住宅が可能である事がわかった。容積率も99%消化する事ができた。

 


 

 道路および隣地の高さ制限を確認すると

道路、隣地ともに大きく高さ制限を超えたNGとなった。

 

 そこで今回は天空率により通風採光を確保し道路および隣地高さ制限を撤廃したい。

 

 まずは道路天空率からはじめよう。

配置図を再度確認すると

 

 

最大幅員11mの後退距離が10.015mで後退距離を考慮すると最大幅員側は、高さ制限適用距離を超える為、比較の必要なし。適合建築物が敷地内に存在しない為。

 

一般的に申請時には、屋根伏せ図に後退距離と道路幅員で適用距離が敷地内に至らない事を説明する図を添付する。

 

 早速適合建築物と算定基準線(算定位置が配置される線分)を「新天空率で自動発生する。

 

 

 

 

「自動発生」「道路境界」をクリックするとこの場合、左右8.5m道路と6m道路側に発生した最大幅員11m道路が回りこんだ令132条1項の区域とそれを超えた2項道路中心10mの区域が区分されたようだ。

 

 ところが6m道路のクランク部の算定基準線が延長されている。これは敷地入力における境界線の「始点」「終点」の「道路幅」入力を一律6mで入力した為に道路の反対側の境界線の位置が適確に判断できない為だ。この様な場合は現況の道路の反対側を「算定領域」「新天空率」をクリックし道路反対側を適時作図入力する事が可能になる。新天空率ボタンをクリックすると

 

「基礎情報」の項で「発生」ボタンをクリックすると自動発生した道路の反対側の幅員が作図される。屈曲した道路の場合、敷地情報の道路幅入力では十分にカバーする事が不可能な屈曲道路は多い。この事例でも円弧の部分が道路の反対側の位置と一致してない。修正しよう。

 

 

修正は敷地側の境界線、道路中心線、行き止まり境界線など敷地境界条件で入力し自動発生した線分を修正する。円弧でしめす現況の道路反対側境界線とのずれをドラッグし修正する。

 

 今回はこの程度で修正終了。この修正部の内容が令132条に適確に反映される。区域の発生は

 

 

高さ制限種類「道路」を選択し「発生」ボタンをクリックすると屈曲した道路の反対側および後退距離を考慮した適合建築物が発生する。

 

 「出力」ボタンで

 

SKY「新天空率算定領域」に基準線とともに発生する。どうやら問題ないようだ。早速解析し結果と区域を検証しよう。

 

 これだけの空地があれば道路高さ制限をはるかに超えた今回の事例でも

 

問題ない事がわかる。天空率で建築物の高さ方向の可能性がドラスティックに広がった。・・・施行から早14年経過した。

 

さて区域毎に検証してみるかまずは道路天空率。

西側屈曲した8.3m道路。道路中心線の角度が120度を超える場合、隣り合う道路境界は同一区間道路として自動認識される。その際の道路幅員は指定がない場合、道路幅の最も狭い8.3mが適用される。

道路の反対側の境界線までの距離を道路幅で入力する。

8m道路側に回り込んだ最大幅員11mが適用される区域は

 

区域の根拠を確認してみよう。

 

北側の斜の最大幅員道路の境界線から2倍までは最大幅員11mが適用される。後退距離が1.118mゆえ11m+1.18mの位置を起点とし適用距離20mまでが西側8m道路側に回り込んだ11m道路幅員が適用される区域。

 

 同様に東側6m道路側は

距離計測し確認すると

 

最大幅員11m道路側から2倍22mまでが最大幅員11mが適用される。後退距離が704が11mに加算された位置を起点とし適用距離20mまでが適用されている。役90度に屈曲した道路に面する部分では円弧部が近接する為円弧状に適用距離で区分される。

 

 この場合、西側8.3m道路の2倍16mは道路中心10mまで延長されない事より令132条2項は存在しない事になる。

 東側6m道路中心10mの区域を検証しよう。

 

15階規模の階段部ゆえ大きく道路高さ制限を超えている事がわかる。円弧部の角状の区分の根拠そして最南端の算定位置が差分3.207%から0.417%に低下したのも気になる。

 

 検証しよう。

角部は90度に屈曲する6m道路中心10mから区分されている事がわかる。納得。では最南端部の極端な差分の低下は

まず差分が3%以上ある直前の算定位置からの天空図重ね表示は

まずは手前のP21差分が3.203%で十分な差分は

 

高さ制限を超えた面積(赤)41.34に対して敷地内空地(緑)105.7で約2.5倍。角状に南方向に突き出た敷地形状が正面に見える事になりその分差分が大きい。

 

 では差分が極端に低下したP20の場合は

 

高さ制限を超えた面積(赤)41.827に対して敷地内空地(緑)は50.185で約1.2倍。角状の敷地の幅狭部より南側で正面には地盤面する為である事がわかる。天空率は建築物から遠くになればなるほど厳しくなることが解る。

 

8m側の道路中心10mには計画建築物が無い為、解説は今回やめておこう。

 

本日も長くなった隣地天空率は次回にしよう。

 

 

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