逆日影と天空率を駆使して作成する高層建物 1 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

5月27日土曜日

いつのまにやら5月最終土曜日となり残り半年。

これは誰が名付けたのかドクダミの花。wikipeによると毒を抑える意らしいがそれにしても毒は可哀そうになるほど可愛い花。

 

先週近所を散策していたら

調子の良いお囃子とともに南京玉すだれ・・・。いい季節になってきた。

 

 早速だが今週の活動報告から始めたい。

今週も講習三昧の一週間で、本日土曜日も明海大学不動産研究センターの8名の皆さんと日影規制講座から都内実物件の建物想定検証。

10時開始の講座は先ほど7時で終了。

 

持ち込んだ事案が日影規制制限が厳しく逆日影を駆使し建物想定を行い容積率300%確保。最後は皆さん納得エンディング・・皆さんよく頑張りました。またお会いしましょう。

 

 水曜日は、大阪でTP-PLANNER勉強会。

 TP-PLANNERの全機能をボリューム算出からパース作成までおこなった。例題は今週から始まる講座の内容で高層建築物を若手の方に実践操作してもらい構造連携から建具付きパースBIMデータ作成までおこなった。また近々お会いしましょう。

 

 火曜日の定期講習「日影規制基礎講座」は定員10人いっぱいで手計算で逆日影計算から日影図申請図の作成まで解説。デべ、不動産鑑定、ゼネコン、設計事務所の異なるジャンルの皆さん頑張っていただいた。講座終了後も個人質問が続きシャッターチャンスを逸してしまった。天空率、プランニングと連続して参加したいと言っていただいた。再会を楽しみにしてます。

 

 本日はもうくたくただが早速比嘉ブログ講座を開始したい。

 

 

今回のお題は「逆日影規制と天空率を駆使して作成する高層建物」。

 まずは土地情報の確認から

 

屈曲した高低差有りの屈曲道路と南側隣地境界線も細かく屈曲している。近隣商業地域で容積率400%、日影規制有りで容積率400%を利用するには「逆日影計算」で高層幅を算出する事から始める。

 

 幅を限定する事で日影規制をかわし高層建物を可能にし容積率400%を確保する作成だ。当然斜線規制を超えるので天空率も駆使する。

 

 まずは、逆日影計算で「1棟構想」で高層幅が可能範囲を逆日影チャートをドラッグしサーチする。

 

 

 

「1棟高層」ボタンをクリックすると逆日影チャートが表示されるので赤丸で示した高層ポイントをドラッグしながら可能幅を探る。

 

 北側に11m道路がある為敷地北寄せでどの程度の幅が確保されるかをみるが南に移動した方が十分な建物幅が確保できそうだ。

 

 

「計算開始」ボタンをクリックし計算開始。結果は一瞬だ。確認しよう。

まず階数階高設定を行い等高線で15回45m高が可能な範囲を確認すると

 

建物イメージのブロック図で確認すると

 

 高層部の床面積が400㎡強と算出された。

このブロックを建物変換し日影の制度チェックを行いたい「入力」「建物」の項に移動し

 

「他の入力データを変換」ボタンをクリックすると逆日影ブロックが建物化される。

 

 時刻:等時間日影計算を行うと

 

この事案の場合、西側の3時間線は道路内の規制ラインで収まっているようだ。発散規制ラインだと可能範囲がさらに広がる可能性がある。確認してみよう。

 

「発散規制ライン」を作図すると

 

道路内に書かれたグレーの線がみなしの敷地境界線となる。

 

(日影による中高層の建築物の高さの制限)
第五六条の二
3 建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するもの
に接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

 

 

第一三五条の一二 法第五十六条の二第三項の規定による同条第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、次の各号に定めるところによる。
一 建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合においては、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するもの
に接する敷地境界線は、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅の二分の一だけ外側にあるものとみなすただし、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの十メートルを超えるときは、当該道路、水面、線路敦その他これらに類するものの反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離五メートルの線を敷地境界線とみなす

 

「幅が10mを超えるとき・・」とあり敷地の頂点から道路の反対側までに放射状に作図された線分の延長距離が10mを超えた際、その延長上にある道路境界線から敷地側に5mの線を敷地境界線とみなす。(みなし敷地とする。)その延長上に5m(道路の反対側の境界線)が5mライン、さらに5m、が10mラインが点状に存在しそれらの点状の位置を結線したのが10mラインとなる。

 

 そのため住環境でない道路上には、日影規制は存在しない事になる。これが発散規制の基本的な考え方。

 

高層型で逆日影チャートを設定すると

 

閉鎖方式と比較すると可能空間が広がる事が円弧で示した逆日影チャートによる高層幅の広がりでわかる。解析すると

可能空間が広がった。閉鎖方式と比較すると

 

明らかに左側発散方式による可能空間が広い。ブロック図では

高層部の面積が470㎡超となり閉鎖方式と比較すると70㎡以上広くなった。日影図で精度を確認すると

 

西側道路上が発散規制ラインで有効に機能した事がわかる。

 

ここまでが敷地形状からおおよそのボリューム感をつかむ手法を解説したが現実的には共同住宅の計画ゆえ南側の隣地境界線からは採光斜線の有効距離を考慮すると4m上方に計画しなけばならないよりキープランを配置しその範囲で逆日影計算を行いたい。プランニングツールでプランを作成する。今回は45㎡程度の共同住宅。

 

このキープランを仮想建物に変換し逆日影計算を行ってみる。

 

どうやら逆日影計算をするまでもなく3時間の時間幅に収まっている様だ。この範囲内(仮想建物内)に建物を計画した場合、日影規制では階数をどれだけ高く設定した場合でもクリアーする事がわかる。

 

容積率が消化できるまで階数を上げ、エントランスなどを作成した結果

15階で容積率400%に対して398.85%で残り7.75㎡。まずまず

日影をチェックすると

問題なし。ただしキープランをこのように南側に移動し建物幅を限定するとどうやら閉鎖方式でもクリアーしそうだ。

 

西側道路上10mラインの位置で3時間幅でクリアーしている事がわかった。

 逆日影計算のポイントは建物範囲を限定する事でより精度の高い解析結果を得る事ができる。

 

 さて高さ制限を確認してみよう。南側東西方向隣地境界線側からカットすると

道路、隣地ともに高さ制限を超えている。さあ天空率だとなるが本日も長くなった次回にしよう。次回までお元気で!

 

 

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