一の隣地方式を考える。 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

1月30日日曜日 午前2:30
アジア大会 日本優勝!バンザイ!
李よくやった!長友、川島・・・皆よく頑張った!今晩は寝られないぞ!
・・・mo-asadattarisite



皆さんおはようございます。本日は、1月29日土曜日朝。
いよいよ今晩ですヨ。オーストラリア戦。
川平慈英ばりに「負けられない試合がそこにある」
本日も朝早く起きて新聞、ネット、TVでサッカー情報を取得。
香川をもっとみたかったけど他のメンバーも楽しみな選手がいっぱいだ。

今週も先週同様JCBAの解説セミナーを行った。韓国戦の翌日とあり、お疲れの様子。

2回目の今回は前回の資料に若干補足した。補足分は、今回の講座で発表します。前回の皆さんもぜひご参加下さい。

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今週は会場を若干広くした。皆さん熱心だ。休憩時間、セミナー修了後も各人の抱える問題を質問頂いた。

 今週は、正月に沖縄に帰らなかった比嘉を気遣い、沖縄の石川康がサーターアンダギーを大量に送ってくれた。

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そうおいしいアンダーギーを作る「FuMiおばさんのアンダギー」 だ。
なぜかキャンベルの缶スープも。ポーク缶詰とともに沖縄から送られる定番だ。
ありがとう!おいしかったヨ。寒い日が続く東京で心が温かくなりました。
でも・・・sabui

とブログらしく書いたあと本日も早速天空率講座を開催しよう。なんせ今晩に備えねばならない為。
サクットいくヨ。

それでは講座開始!

前回までは、屈曲した道路において、「現況道路で考える」という事を解説した。
若干復習しよう。
現況で考えるという事は、微少に道路巾が異なる場合でも道路の中心線が敷地側から120度を超える場合、一の道路とする。その際、その道路の認定幅員を確認する事から始める。現況で考えるのは算定位置を現況の道路の反対側に設定する事だ。微少に異なる場合に安直に2の道路としない事だ。

 今回は、屈曲隣地を一にまとまる方法を解説してみよう。
この方式は比嘉ブログでも何度か解説してきた。
マンション用地取得が盛んに行われている為か、整形でない敷地形状の相談が多い。


 たとえばこの様な土地だ。

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敷地は広いのだが境界点が多く凸凹している。道路側のCの隣地用地が取得ならずといった敷地形状だ。

 道路斜線に関しては南側に20m道路があり適用距離を超える。その2Aの範囲で高層の建物を想定する。

つまり隣地天空率を利用して高層建築物を計画したい。

この事例では、敷地境界点が細かく屈曲し、従来の「敷地区分方式」では天空率利用が困難になる。A側の敷地境界点間が狭い為だ。


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算定位置の左右に広い空地がありながら、その空地が天空率に考慮されない不合理な事例といえる。

この様な状態では、土地の有効利用がならず、その結果、税収にまで影響が及ぶ。
日本の国債の格付けが下げられたばかりだ。Hottokenai!
国債の話は、私も疎い。明るい天空率の部分を解説するとしよう。

 今回と次回2回のシリーズでこの様な土地の天空率の利用法を解説する。

基本はJCBAのHp で発表された資料に基づき考える事だ。

JCBAでは、隣地の天空率では3種の考え方を示した。


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「敷地区区分方式」「一の隣地方式」「近似方式」だ。
さらに最も安全側の手法が「一の隣地方式」だと解説する。


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理由は、適合建築物が簡便法である「敷地区分方式」に比較し、「一の隣地方式」では全ての隣地境界線から隣地斜線に適合する。それ故、適合建築物天空率が大きくなる為だ。



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敷地区分方式の片流れ形式の適合建築物の想定法は、簡便法で算定位置に面した位置からのみ適合する様に想定する。つまり下図の様に


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算定位置から見えるのは、赤で示した前面の壁面だけになり、それ以外の側壁などが視界には入らない為にその算定位置からのみ適合する事になる。簡便法だ。
天空で確認しよう。

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前面の壁のみだ。

「一の隣地方式」の場合全ての隣地境界線に適合する為に隣地適合建築物を想定する政令135条7項に完全に適合する。


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上図で示す様に角部の算定位置では適合建築物の天空率が大きくなる。もっとも安全側と言われる理由はそこにある。

 最も安全側となる一の隣地方式に加えて「近似方式」の存在の意味合いを考えてみたい。

今回の事例を再度、確認すると現実の敷地形状は一筋縄ではいかない。


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隣地がA,B、Cの3に分かれる、その為、「一の隣地方式」といえど近似方式とリンクして考える必要がある。
問題提起すると「Aの隣地を一の隣地で想定する際にBの隣地斜線の影響をどの様に考えるか!」だ。

 このテーマを解決する為にまず「近似方式」の解説を確認しよう。


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近似方式では、敷地の内側の任意の境界点間を直線で近似し、後退距離は、近似した線分からの最短距離を採用した片流れ状の適合建築物を想定する。その範囲は敷地の全ての部分が対象となる。算定位置の端部は元の隣地境界線に垂直に交わる位置までとする。

 断面図をみると本来の敷地の斜線断面の内側で適合している。
近似した隣地境界線に垂直な位置からは完全に適合している。

敷地の全ての部分を対象に片流れ状に作成した理由は下記で解説される。


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敷地の南側に円弧状の隣地境界がある事例で解説される。つまり従来行われた手法。つまり隣地境界線の端部に垂直に切断した位置までを適合建築物とした場合(赤枠内)のみに適合建築物が想定される。その際北側に接道する道路巾が充分広く適用距離外にある場合高層のZ部は斜線規制からチェックされない事になる。

 いわゆるオールフリーの状態だ。あるいは、従来から敷地区分方式で問題とされる事例

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垂直切断した場合、道路巾が充分広い場合A部分はやはり同様にオールフリーとなる。

この事より、垂直切断する事が必ずしも安全側でない事例への対処といえる。

再度「近似方式」の解説にもどろう。気になる記述がある。
P121の下側の記述だ
「・以上のような設定が合理的と考えられるが、今後の課題である。 」とあり、今一つ近似方式に関して歯切れが悪い。日本の土地需要が沸騰しつつある中のんきな事をいっておられない。
「今後の課題」にお答えしよう。


問題は片流れに設定した適合建築物が各算定位置から眺めた際に適合するか否かという問題だ。



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P7の算定位置から眺めた円弧の部分は適合していないのではないか?立体で確認しよう。

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いわゆる側壁面が視界に入る為、適合しない。

実はこの部分が最も問題となるところでこの部分を解決する事で近似方式も「一の隣地方式」同様に最も安全側といえる想定法と同様になる。

結論は、実に明快「一の隣地方式」同様に適合建築物を想定し全ての隣地斜線に適合する寄せ棟状に作成する事だ。想定して比較してみよう。



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つまりP7の算定位置から完全適合する様に作成したさらに近似した線分による2面近似、すべての算定位置間で寄せ棟状に作成した完全寄せ棟近似した例と差分を比較した。計画建築物の天空率から適合建築物の差分を差し引いた差分が少ない程、適合の天空率が大きい事になり安全側といえる。

→片流れ状の近似(次項)の P7、差分 3. 243%
2面近似            P 7 差分 1. 312%
完全寄せ棟近似      P 7 差分 1. 760%

片流れの是非はさておき、「2面近似」の差分が最小となる為に最も安全仕様といえる。近似する場合、すべての算定位置に面する適合建築物が「一の隣地」同様に寄せ棟状に作成する事で安全側の比較が可能になる。

つまり敷地に空地が充分にある場合、粗く近似した隣地境界線で「一の隣地」同様に作成し、そうでない場合、さらに細かい近似で作成する。つまり近似方式とは、任意の境界点間を一で算定位置を設定する事、適合建築物の想定においては、「一の隣地」方式を採用する事で最も安全側といえる想定法が可能になる。


オット  また長くなってしまった。あかるい話は語りたがりだ。
今回はこのあたりでおしまいにしましょう。実例の解析は、次回の講座で解説します。
それでは皆さん今晩は応援頑張りましょう! 


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