15 方式により異なる結果シリーズ 2 用途越え隣地 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 皆さんおはようございます。
本日は、休日土曜日です。ガ、ちょいと、講習が入り本日も語りに出かけます。
来週は、大阪セミナーがありタイトな一週間になりそうです。今日しか日程がとれません。でも皆でワイワイ、語りあい(本日は天空率申請図の作成法)は楽しいです。ハイ

 来週、土曜日には、仲間の結婚式です。久々の結婚式の参加です。私の仲間ですからいかにめでたいか! (よけいな事を書きそうですのでこのあたりで止めておきます・・・)とても楽しみです。

 さて、本日も仕様により異なる天空率解析結果シリーズ第2弾「用途地域が異なる隣地斜線の処理法」です。これもサポートセンターに寄せられた質問を元にアレンジして解説します。まず本日の例題を確認して下さい。


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 今回問題にするのは赤枠の狭い隣地境界線が用途地域を越えた場合の仕様により異なる結果です。
 
 まずは法文を確認しましょう。隣地の適合建築物は135条の7

第135条の7 法第56条 第7項の政令で定める基準で同項第2号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。

 当該建築物の敷地が、隣地高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる 地域、地区又は区域(以下この章において「隣地制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第1号の規定の適用については、同号中「限 る。)」とあるのは「限る。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの 部分の」とする。

2項で「隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分」とありますので、この場合、商業地域と準住居地域で適合領域を区分し考えます。

 一方、算定位置は
第135条の10 法第56条 第7項第2号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

 当該建築物の敷地が隣地制限勾配が異なる地域等にわたる場合における前項の規定の適用については、同項第1号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分」とする。

とやはり2項で記載されており算定位置は勾配ごとに設定する事になります。
 
入り隅隣地の天空率仕様は東京方式とJCBAでは窓の設定を除き同じです。ただしこの様に隣地境界線が狭い場合、その窓が利いてしまいます。

 まず仕様を確認します。
東京方式、JCBAともに、隣地入り隅角の半分で区分しそれぞれの入り隅部は当該の隣地境界線に加えて区分します。JCBAにおける設定法はそこまでです。東京の場合、算定位置毎に当該の隣地境界線越しの可視範囲を適合建築物とします。

 本例の場合、商業地域を越えた、準住居地域側の結果の差を考察してみましょう。
まず東京方式の場合

この場合、下側の算定位置は、青破線で示す、算定線からの垂線(出隅)から赤破線で示す入り隅角半分までの範囲が適用可能範囲になります。ただし東京方式の場合、前面の隣地境界線を窓として適合建築物を設定する為、チャートで示す幅になります。窓を設定した為にチャート幅から破線までの領域が適合領域からはずれ比較されません。

 その結果、適合と計画の立体図および天空図は

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前面が用途境界線になりますので、計画建築物と適合建築物の立ち上がり位置が同じ位置で成されます。両サイドに隣地斜線の高さを越える空地が確保できないと判断されます。その結果差分は-0.25%のNGです。

 JCBA方式を確認してみましょう。



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 入り隅角の半分の領域が適合領域の対象です。敷地の上側の空地がそのまま天空率に有効に機能します。

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その差は逆に2.418%のOK差分です。東京方式で-0.251のNGだった結果がJCBAだと充分OKです。

 この場合、結果がOKだから、JCBAが良いという事では無く、敷地北側の空地が通風採光に評価された事に着目します。空地を確保した分、計画建築物が高さ制限を超えられるという天空率の原則から、納得の結果です。

 北側の空地をつぶしのその領域に高層建築物を設定した場合JCBA方式でもNGです。ただし東京方式の場合、可視範囲(窓)から外れたその領域は、天空率の計算結果に関係ありません。したがって高さ制限以下に建物形状を下げる以外解決法はありません。

 隣地斜線の定義を確認してみましょう。

第56条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。

2.当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が1.25とされている建築物で高さが20メートルを超え る部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が2.5とされている建築物(ロ及びハに掲げる建築物で、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て 指定する区域内にあるものを除く。以下この号及び第7項第2号において同じ。)で高さが31メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部 分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が 1.25とされている建築物にあつては20メートルを、イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては31メートルを加えたもの・・・

基準法では毎度おなじみの水平距離です。全ての建築物が、ある隣地境界線に対し可能な高さはその隣地境界線までの水平距離と勾配、立ち上がり高さで確定します。敷地内の全ての建築物が対象ではないかと思いますがいかがですか?

本日はこのあたりにしましょう。このシリーズは続きます。
では良い週末をお過ごし下さい。

尚、とりあえずUPしますがこの週末時間をみてチェックします。適時加筆修正もありうるかと思います。おかしい箇所の指摘もぜひお願いします。ご協力のほどよろしくお願いします。

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