14方式により異なる結果シリーズ1 突き込み道路 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 ワールドカップ出場が決定し、来年の楽しみがキープできた事を喜んでいる今週の比嘉です。報道によりますと、少しずつ景気も良くなっている様ですヨ
 中々実感しがたい面もありますが前向きに頑張りましょう。 

 さて天空率実践編では本日より、処理法(指定方式)により結果が大きく異なる事例を中心に実例で解説していきたいと思います。

 新JCBA方式発表に合わせたかの様に、当方サポートセンターには突き込み道路など、方式の違いで結果が異なるケースの問い合わせが多く寄せられております。

 本日はその中から、高低差を有する突き込み道路の事例です。従来の処理法の不合理と、新JCBA方式による対処法を、解説致します。

 物件は下図です。(当然、実際の案件を大幅に変更したモデルケースです。)

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 2の道路で狭い前面道路が突き込んでおります。今回問題になるのは、せまい前面道路の道路中心10mの領域です。今回は外壁後退距離は無しで検討比較していきます。

高低差が0の場合で、まず旧JCBA方式で、天空率比較します。

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 今回は、敷地に接する算定位置P17,P26に着目して解説します。問題なくクリアーしておりますが、天空図を確認してみますと不合理な事がわかります。


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 左側が適合建築物、右側が計画建築物の天空図です。おかしいと思いませんか!
そうなんです。適合建築物の天空率が50%です。外壁後退距離を設定していない為、左側の適合建築物は前面道路境界上にある為に算定位置(目)の半分が適合建築物の影に隠れて天空率が50%になります。計画建築物は算定位置との間に若干距離があります。その分天空が広く判断され(63%)で13%の差分でクリアーです。

ところが、突き込んだ前面道路が地盤面から20cm下がっている事がわかりそれを考慮し再計算しますとNGになりました。

 
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 適合建築物は、同様に50%ですが、計画建築物も算定位置が20cm地盤面より下がった為に地盤部分が適合建築物同様に算定位置の半分を覆ってしまいます。その為計画建築物の天空率も50%で適合建築物の天空率と差分が無くなり、NGという事です。

 13%のクリアランスから
地盤が20cm下がっただけで差分0%です。結果がドラスティックに変わってしまいました。

 地盤が算定位置の半分を覆う為に建物の形状を小さくするなどの対策はまったく効果がありません。

 その際、その事を理解する審査の方であれば「適時算定位置を移動してかまいません」など適時というファジーな扱いで対処してくれますが審査の基準としてはなんとも頼りない限りです。

 
 新JCBA方式で処理してみましょう。

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 突き込み道路の場合はみなしの道路境界の位置に算定位置が設定されますので、算定位置が地盤の中に食い込む事がありません。135条の9「・・・道路に面する部分に最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置」に準じて作成した位置です。

 東京方式の算定位置は、このみなし道路の反対側の位置でチェックしておりその意味で合理的です。ただし、この事例の様に食い込む事なく接した状態の付きこみ道路はいわゆる出隅道路と同じ扱いになります。

 
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 出隅道路と同様に処理された場合、道路に面した左右の空地は、天空率計算の対象になりませんので、高さ制限を越えた領域に対する空地が無い事になりNGです。

 一般的に東京方式においては、前面道路が突き込んだ正面に計画建築物がある場合、天空率利用が困難になる傾向があります。

 突き込んだ左右の領域からの通風、採光は有りや無しやなど、現実的な事象検証も仕様の策定検討には必要かもしれません。

 この様な突き込み道路で、単に算定位置の半分が覆われている事でNGとしていた案件ありあませんか?! あるいは、東京以外の地域で東京方式でNGとしていませんか(東京地区の場合は行政に確認して下さい。)念の為、再チェックしてみてはどうでしょう。

 しばらくこのシリーズ、天空率仕様により異なる天空率計算結果を続けます。
ご期待下さい。

さて本日はカタール戦、早めに仕事をすまし、ビールを片手に応援ダ!

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