13 新JCBA方式を読み解く 132条の解釈 | 比嘉ブログ

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 さて本日は132条の解釈に関するJCBAの見解の発表の解説です。
2以上の前面道路がある場合、132条により区分されます。その対処法において、審査の現場で混乱をまねく解釈が、時折見られた為に、JCBAとして見解を発表し仕様を明確にしております。

 まず下図をごらん下さい。

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問題点を明確にしておきます。132条の2項、3項の道路中心10mの領域の区分法です。

第132条 建築物の前面道路が2以上ある場合において は、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水 平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
 前項の区域外の 区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10メートルから その幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員 の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 この講座で何度も登場した政令です。132条は2以上の前面道路を有する敷地内の任意位置における斜線規制の起点となる前面道路員を特定する政令です。

 問題となるのは2項において「
それぞれその前面道路の幅員の2倍から、上図において狭い前面道路C側から広い前面道路B、D側にも区分され、残った赤表示箇所を領域として天空率比較を行うというものです。

 結論を先に申し上げますと、JCBAでは、狭い前面道路側から広い前面道路には区分しない事を明確に記述しています。B、D側はせまいC側からは区分しません。


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 上図は外壁後退をしておりませんが正しい区分法です。

 間違えた、解釈の原因を考えさらに、「それぞれの・・」と解釈した場合でも区分されない事を解説します。

 まず、その様な解釈をされた原因を考えてみます。
国交省の技術的助言と建築申請メモの挿絵を比較してみてください。

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 建築申請メモにおいては道路斜線制限の項の挿絵の解説が、狭い前面道路側から回り込んだ、解説になっております。

 おそらく、この挿絵から、天空率においても、その様に区分する事と思われたのではと考えられます。
 技術的助言の挿絵では回りこんでいません。

 建築申請メモは「道路斜線制限の解説」となっています。
道路斜線制限においては狭い道路側から回り込んだ場合でも問題にならないので、その様な挿絵になったのでしょう。

 ではなぜ斜線規制では問題にならないのか、考えてみましょう。

 132条は狭い道路にも広い道路の2倍まで(かつ35m以内)の分は通風、採光が及ぼす意味だと解釈します。
もとより、狭い道路側から回りこむ意味は無いのですがあえて文面どおりに解釈しても問題が無い事を解説します。

 
それぞれその前面道路の幅員の2倍を文面どうりに解釈しますと、B,D側からC側に幅員の2倍で回りこんだ領域の前面道路がBDになります。
 狭い前面道路C側から広い前面道路B,D側に2倍で区分される事になります。

 ただしいずれも
「・・・これらの前面道路のうち、幅員 の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。」から、その領域の前面道路は比較大のB,Dを前面道路幅員とします。
 残りのB,Dの部分は3項になりその場合の前面道路は
その接する前面道路のみを前面道路とする。となり、それぞれその前面道路はB、Dとなります。

 
仮に狭い前面道路Cから広い前面道路B,D側に回り込んだ場合でもその領域の前面道路はB,Dを特定します。

 前面道路が同じで、勾配が同一の領域は、区分しません。技術的助言同様に区分しない事になります。

(念の為ですがC側にまわりこんだ2B、2Dの領域は
C側でも前面道路幅員は、B,Dとなります。奥行きは適用距離の範囲です。残りは3項でCが道路幅員となります。)

 斜線規制においては、前面道路の幅員が特定されればその反対側の境界を基点として規制されます。区分した場合でも、前面道路幅員は同じです。建築申請メモも、間違った解釈になりません。(
「道路斜線制限の解説」)の解説だから。

 JCBAでは、挿絵を見ただけでその様に判断してしまう審査が見受けられた為にあえて、今回狭い道路側から広い道路への回り込みをしない事を見解として発表されました。


 その他の見解の発表では、やはり2以上の前面道路の場合、「広い前面道路から適用距離内にある道路中心10m領域に広い前面道路側からも区分するという」132条を無視した区分法の間違いの指摘です。
 
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 これは、広い側の前面道路幅員からの適用距離内にあれば2以上の前面道路の道路中心10mにある場合も区分し比較する。という事なのでしょう。が、2以上の前面道路を有する際は令132条で区分される事は明白です。132条では、上図の様には区分しません。

 これは、天空率でありがちな、細かく区分する,いわば過剰な安全側配慮からくる不合理といったところでしょうか。

 この区分が見られるのは2以上の前面道路の広い側が6m以内程度の比較的狭い、道路で,外壁後退距離がせまい場合(例えば、前面道路6m、外壁後退距離0m適用距離20mでは、適用距離が敷地内に14m、2Aが12mその差、2mの領域がそれです。)敷地の端になる事から、殆どその部分で建物形状に影響が無いケースが殆どですが、余計な手間ですネ

 見解として、正しい事を表現する事で現場の混乱が改善されます。
今回は、ここまでにしましょう。

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