「高さの緩和の適用は、天空率の為に追加された56条の7において
・・・・・そして、天空率を規定する135条の5天空率において」
みなさんおはようございます。
本日は雨の土曜日。今週も新JCBA方式の解説セミナーの追加セミナーが入り、連日忙しい毎日です。株価は昨日9500円をやっと突破した様です。
株を運用しているわけではありませんが
景気の動向を示す指標として気にしております。
「日本の夜明けは近い」皆さん、ともに頑張りましょう。 今は我慢の時、勉強の時です。
さて、IMAさんお待ちしておりました。おたより頂きました。
飲み会の後に書いてますので失礼な部分があるかもしれませんので先に謝っておきますが
の書き出しで始まっております。私も時々ありますが、アルコールの影響か文章が過激になっております。
掲載可能な箇所および質問の部分を掲載し解説したいと思います。
第4弾になりますが、法文解釈を共にトライする事で、
天空率を掘り下げる事ができます。
この形式の講座の場合、時間をおいて、吟味できますので、当方も資料を用意して語れるので、楽しみでもあります。
ただ投稿の方の質問には画像などがないので、質問の真意がわかりにくいのも事実です。
今日は、しばらく使用していなかったスキャナーでバックデータを収集する事から始めました。(国交省編集の「平成14年建築基準法改正の解説」です。)
なぜ適合建築物の定義に「同一の地盤面」が含まれていないのか。比嘉さんのおっしゃる通り定義する必要がないからでしょう。ではなぜ定義する必要がないのかを考てみましょう。
複数地盤面の場合でも、隣地、北側同様に地盤毎に区分するのでは無く、れぞれ地盤毎に適合する適合建築物を区分する事なく設定する事には納得された様です。ネ
適合建築物を設定するために必要な条件を確認ましょう。</span>
1.適合建築物を設定する平面的な範囲 2.適合建築物の基準となる高さ 3.境界線までの水平距離ですね。
1.と3.については条文の中で明確に書いてありますが2.については条文には書かれていません。
私は、2.の条件が明示されていないのは、道路中心の(みなし)高さはすでに決定されていて、
適合建築物の設定によって変わることがないからだと考えています。
天空率の比較を行う上で計画建築物と適合建築物の高さの基準となる位置を異にするメリットがあるとは思えません。
順々に解説します。
まず「建築物の基準となる高さの条件が明示されていない」に関する反証から開始しましょう。
従来の斜線規制においては、一般的に地盤の有無に関係なく、IMAさんの指摘される様に、道路中心の高さで、前面道路反対側の境界から規定の勾配で斜線を描き、その線分より下側に計画建築物が収まっていれば、可とします。
その際、高さの緩和を適用しない事はいわゆる安全側になり、問題ありません。
斜線規制は規定の勾配線以下であれば良いわけですから。
しかし天空率は違いますよ。算定位置から眺めた建築物の影の大小を比較するわけですから、斜線規制で安全側とされている事が、天空率では、必ずしもそうではありません。
以下より追加
「高さの適用は、天空率の為に追加された56条の7において
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限
された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定め
る基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
赤で表示した箇所の解釈が重要です。
赤で表示した箇所の解釈が重要です。
政令で定め る基準に適合する建築物は、天空率比較で可とされる建築物の事でしょう。
当該各号に掲げる規定は、適用しない。道路の場合、下記1で規定されます。
1.第1項第1号、第2項から第4項まで及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
赤字部分の「・・規定を適用しない」は
.第1項第1号、第2項から第4項まで通常の道路斜線の規定は、適用しない。
前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。この部分は56条の6の事です。
確認しましょう。
6 建築物の敷地が2以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
前各項の規定の適用の緩和に関する高さ制限を適用しないと
・・建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における措置は、政令で定める。
となります。
その場合の政令とは
「2以上の道路は令132条、」「公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合は」は134条
そして「建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合」は道路の場合135条の2が下記です。
第135条の2 建築物の敷地の地盤面が前面道路より1メートル以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1メートルを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなす。
念の為地盤面は
面積、高さ等の算定方法)
2 前項第2号、第6号又は第7号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が3メートルを超える場合においては、その高低差3メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
念の為地盤面は
面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
となります。従来は緩和であったが、天空率では適用法と解釈します。事実、2以上の道路がある場合、132条で区分する事は天空率の常識です。
以上追加しました。
そして、天空率を規定する135条の5天空率においても
第135条の5 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)/(As)
この式において、Rs、As及びAbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章において「想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投影面の水平投影面積
天空率の計算には、建築物およびその敷地の地盤を投影する事が記述されています。つまり、天空率を算定する場合、地盤を建築物と同様に考慮する必要があります。
地盤は、地盤面以下の部分を指します。その適用の方法が、多分IMAさんが思われる様に「明瞭でない」と国交省も判断されたのだと思いますが、
「平成14年建築基準法改正の解説」で解説しております。
お手元にあれば確認して頂きたいのですがP67の最下段に次の解説があります。
ない方の為にそのページをスキャナーで取りました。
②天空率の算定位置が建築物の敷地の地盤面よりも低い場合には、建築物の地盤を含めて
天空率を算定すること。
と、解説しています。さらに次のページでは図解しております。
計画建築物の地盤面から道路面の下がりの位置をHで表現し1m以上低い場合は緩和の適用を行い、地盤面から下の部分を地盤としている事がわかります。
高さ制限適合建築物も緩和された位置から、適合する事の意味を解説しています。
もちろん1m以内の場合は、その位置つまり、地盤面からの下がりの位置です。
135条の6から考えると、IMAさんご指摘の様に設定した適合建築物の外周から、地盤面を算出する可能性を残します。が、適合建築物を、計画建築物より小さく設定した場合に、領域的に比較できない可能性があります。
それに、なにより 適合建築物をあえて小さく設定し、適合建築物の天空率を必要以上に大きくする意味は、天空率で緩和する目的から合理性がありません。地盤を設定する際に計画建築物から設定する事が天空率緩和を適用する場合、もっとも合理的です。
その意味でIMAさんの
天空率の比較を行う上で計画建築物と適合建築物の高さの基準となる位置を異にするメリットがあるとは思えま
せん。
とは、同意見です。
念の為ですが、上図は適合建築物と地盤面を解説する為の図示だと言う事を確認しておきます。P75の算定位置の解説の項では、別途断面図が記載されている事より明白です。下図です。
第135条の6 法第56条
第7項の政令で定める基準で同項第1号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
1.当該建築物(法第56条
第7項第1号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「道路高さ制限」という。)が適用される範囲内の部分に限る。)の第135条の9
に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、・・・・
と、ある様に算定位置との関連を考慮しても計画建築物で高さを設定する事の合理性は充分あると思えます。下記補足参照。
下記補足追加 6月1日PM3:00頃
第135条の9 法第56条
第7項第1号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。
1.当該建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置
・・・・・4 当該建築物の敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1メートル以上高い場合においては、第1項に規定する前面道路の路面の中心は、当該高低差から1メートルを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなす。
4項において、「当該建築物の敷地の地盤面」と記述されております。当該建築物は135条の6冒頭の記述からも計画建築物である事がわかります。したがって算定位置の高さは、計画建築物で確定する事がわかります。ここまで補足
次に進みましょう。
また、適合建築物の地盤面を算定することもできないと考えられます。ボリュームしかないものに、建築物の部分と地盤とを区別することはできないと考えられるからです。また、計画建築物にあわせて切り盛りを行った地面をもとに適合建築物の地盤面を算定することもナンセンスではないでしょうか。「計画建築物の敷地の地面の高さと同一の地面の高さにおいて・・・」という条件があるわけでもありません。
この項での問題点は、、「適合建築物の地盤面を算定することもできないと考えられます」です。冒頭、記述しました。従来の斜線規制の場合、道路面からの立ち上がりからの勾配線が全てだから、地盤面の有無は意味が無いとのご意見だと判断します。適合建築物で地盤を設定する場合の不合理の可能性は前述しました。
「適合建築物の地盤面を算定することもできない」の部分ですが、敷地内の地面に高低差がある場合、適合建築物を設定した場合でも、その外周の平均高さで、やはり地盤面の位置は確定します。地盤は存在します。
法解釈は、文理解釈が唯一の方法ではなく、時には制度の趣旨や目的を優先した解釈をするほうが適切な場合があります。あまりに文理解釈に固執すると、特に建築基準法では「木を見て森を見ず」状態になることがありますのでそのさじ加減を見極めるのも重要だと思います。だからといって区域区分ごとの天空率を算定すべきだといっているわけではありませんよ。念のため。
天空率は、新しい概念です。(7年もたちましたが)従来の斜線規制との運用法が異なる事、あるいは天空率の特性を理解しない事などで、審査サイドも含めた、設計の現場の混乱は未だ解消されておりません。その場合、拠り所は、法文です。
設計者の皆さんのサポートを業務として行っている当方としましては、この現状を憂えております。その為、このブログ講座、あるいはセミナーを通じて、明確になった事を解説しております。質問には徹底して回答していきたいと思います。
文理解釈云々に関してですが、私が法文を解釈する上で参考にしている書物がありますのでその一文を紹介し、本日は終了と致します。お疲れ様でした。
「法律学入門 その作法と常識 」井口茂著 法学書院 \1,751
P126から
さて、学理的解釈には大別して文理解釈と論理解釈という方法がある。解釈の必要は法律がいかほど具体的に明確に規定されていても生じてくる。法律にどれほど定義的規定を置いて、立法的に解釈をほどこしてもなお、学理的解釈の必要がなくなるものでもない。成分法の解釈に当たっては、まず法律の文章が手がかりとなる。規定をかたちづくっている文字を素直に、常識にしたがってあきらかにしていくこととなる。規定の文章も文理にしたがい、忠実に文法に即して解釈するよう努めなければならない。
このページの後半では物語の一休さんの話を例に「このはし渡るべからず」の立札を一瞥した一休が橋の真ん中渡ってきた例で文理解釈を解説しています。
臨機応変、相手が立札にはしと書いていた弱点を巧みに突いて危機を切り抜けた一休の知恵は面白いが、一休の読み方が文理解釈として合格であったとするには疑問があろう。橋のたもとに立てられている立札に「このはし渡るべからず」と書いてあるのだから、ここでいうはしはやはり橋の意にとるのが条理にかなった解釈のしかたというものであろう。