16方式により異なる結果シリーズ 3 用途越え道路 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 今週は、忙しい毎日を過ごしております。セミナー、操作指導の毎日です。
明日は大阪日帰り、新JCBA方式セミナーです。

 会社のエントランスの脇にアカバナー(沖縄では、ナーを伸ばす:ハイビスカス)を発見。・・・・懐かしくて思わずパチリ


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 でも、ハイビスカスって感じダナ。ちょっと上品。沖縄のアカバナは素朴でかわいい。

 さて、本日は、用途地域(勾配)が異なる、道路の天空率の扱いを解説します。
まずは、解説用の敷地で、天空率の処理法を解説します。
(前面道路幅員は充分広いとし容積率低減は無いとします。)
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まず法文から確認しましょう。適合建築物は政令135条の6-2

前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等)
第135条の6 法第56条 第7項の政令で定める基準で同項第1号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。

 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる 地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第1号の規定の適用については、同号中「限 る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの 部分の」とする。

 適合建築物は、勾配が商業地域1.5、準住居1.25で勾配が異なる為、それぞれの領域で区分されます。この場合に注意を用するのは按分容積率が261.42%となった為に準住居地域では、適用距離が25m、商業地域の場合は20mとなります。

 この事例でのポイントは用途境界線が準住居側に傾斜している事です。適用距離は前面道路の反対側の道路境界線から垂直方向に適用される為に、準住居の領域の前面道路の右端からの垂線は用途境界線をまたぎ、商業地域の領域に達します。適用距離は政令130条の11より当該前面道路に接する敷地の部分の用途地域で決定します。

第130条の11 建築物の敷地が法別表第3(い)欄に掲 げる地域、地区又は区域の2以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用については、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあ るのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。


算定位置は135条の9に

法第56条第7項第1号の政令で定める位置)
第135条の9 法第56条 第7項第1号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。
1.当該建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置
2.前号の位置の間の境界線の延長が当該前面道路の幅員の2分の1を超えるときは、当該位置の間の境界線上に当該前面道路の幅員の2分の1以内の間隔で均等に配置した位置
 当該建築物の敷地が道路制限勾配が異なる地域等にわたる場合における前項の規定の適用については、同項第1号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごと」とする。

つまり「道路制限勾配が異なる地域等ごとの前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置

 その為、上図の例の様に用途境界が前面道路に斜に交差する場合、算定位置は、前面道路全体では無く、用途地域の異なる領域毎に設定されます。

 今回はこの基本パターンのバリエーションとして前面道路が、準住居の領域に突き込んだ事例を検証してみましょう。


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 まず新JCBAによる全体の区分です。
この事例の場合、準住居側に前面道路が突き込んでいる為に、円弧状に商業地域側に回り込んだ領域も適用距離は同一になります。(この例では25m)
 
 解説用と同様に勾配の異なる、準住居側と、商業側で区分されます。
準住居側では


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商業側では、
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 突き込んだ前面道路の反対側の道路境界はみなし道路境界になりますが、基本パターン同様に
異なる地域等ごとの前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置になると、算定位置はわずかな幅2点だけの算定位置となります。

 用途境界線が商業側に傾斜すると、みなしの道路境界の反対側には算定位置が発生しない事になります。(この場合、前面道路に面する部分を議論する必要はあると思います。今回は基本パターンと同様に解釈します。これは技術的助言における隣地の解釈からその様に判断されているのが一般的です。)

 新JCBAでは用途地域つまり勾配の異なる区分の数、区分されます。基本パターン同様に理解する事が可能です。

 では東京方式ではどうなるでしょう。トライしましょう。

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 東京方式においては、入り隅はその角度の半分まで当該の境界線に加えさらに各算定位置から可視範囲を適合建築物として設定します。

 厳しいのは
突き込んだ前面道路の反対側のみなし道路境界の部分です。準住居、商業地域共にNGです。

 商業側をさらに検証します。

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 クサビ状に適合建築物が区分され、天空率が機能しません。

 商業側の側面に面した前面道路側は

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 充分余裕があります。無駄に余裕があると言うべきでしょうか。
全体の敷地と計画建築物の状況を再確認してみましょう。

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 この場合、道路の突きこんだ周りには充分な空地があります。その空地の領域は天空率に影響を与える事は間違いありません。

例えば、昭和62年の道路斜線の改正で外壁後退が導入されたのは、「外壁後退した空地があたかも道路幅が広がった効果がある為に緩和する。」趣旨だと理解します。

 東京方式のクサビ状の適合建築物の領域は、道路周辺の空地が機能しません。

 この様な事例を考えますと、入り隅部を一体区分する新JCBA方式は合理的だといえます。道路の場合、区分される政令は、勾配、2以上の道路で充分ではないでしょうか!。

 さて今晩は遅くなりました。明日は大阪です。本日はこのあたりでおしまいにしましょう。昨日のオーストラリア戦の悔しさが若干残る比嘉です。中沢がいたらケーヒルは抑えられた! カナ・・・・・。


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