9 つき込み道路における天空図と天空率の関係 | 比嘉ブログ

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本日は天空率の基礎講座です。基礎講座の8までは天空率比較の方法を道路における天空率の比較法で解説してまいりました。道路の場合2以上の道路に接道する場合132条で区分区域を設定し比較する事より132条の正しい運用法がポイントになります。

 ところで現在の天空率の審査の現状は行政により区分区域および算定線の設定方法が異なります。道路においては入り隅部の適合建築物の作成方法および算定線の設定方法が異なります。どの様に異なるのかはhttp://www.com-sys.ath.cx/modules/tenku/henkeishikichi/ を参照して下さい。
 
さて本日はつき込み道路における算定位置(この場合は横浜市などが採用している円弧状の作図)による天空図の見え方と天空率の関係を算定位置2例の対比で解説します。


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凹型のつき込み道路の天空率計算を行ったら5箇所でNGになりました。その原因を特定し対処法を検討してみましょう。
この場合NG箇所は5箇所ですがその原因は2に分類されます。凹型の敷地の奥側の右下からP3、P4、左側上側からP12,P13に算定線があるグループ上側4ポイントと左部の下側P16に分けて考えられます。

上側グループを代表してP13における天空図を確認しましょう。

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天空図からNGの原因を特定する場合はこの様に適合建築物(緑)と計画建築部(グレー)を合成して考えます。視点位置(算定位置)は天空図の中心(天頂の位置)です。赤線から天頂側は高さ制限(緑)を越えたグレーのみの領域を表示します。
凹型の敷地に計画建築物が上部、左右部に配置されています。上のグループの視点位置からみえる空地(緑の面積)は高さ制限を越えたグレーのみの面積より小さい。その為適合建築物の天空率が計画より大きくなりNGとなります。算定位置から空地までの距離がありすぎたといえます。算定位置は変えられません。計画建築物の高さを低くするか高さを変えない場合左右の空地幅を広くします。天空図ではグレーの面積を減らすか緑の面積を増やす方策を考えます。

次にP16においては空地に接近しているにもかかわらずNGです。その上側にあるP15,P14がクリアーしているだけにその意味するところを検討してみましょう。天空図では下図の様にやはり適合建築物と計画建築物を合成して考えます。


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原因わかりますか?。空地の大きさは算定位置から近いだけに大きく見えています。
・・・・・・・・・・・(thinkinng time)・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうなんです。上部の算定位置との違いは計画建築物の左右部の側面(幅)が見える事です。(赤線を越えた天頂側に側面が見えています。)その幅が計画建築物の天空率を下げる要因となりました。左右部の敷地幅が広く計画建築物の幅がさらに広くなるとその傾向はさらに顕著になります。その上部のP15,P14の2点から計画建築物の側面は見えません。(計画建築物側面の面積が小さく見える為には左右部の幅をせまくするか空地を広げる事です。)
 本日はここまでとしましょう。次回はつき込み道路で左右部の敷地がない場合の算定位置における天空率の見え方を検証します。では次回までさよなら

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