10 つき込み道路における天空図と天空率の関係 2 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 寒い日が続きます。皆さん風邪ひいてませんか?。私は例年、正月休みに暴飲、暴食がたたり風邪をひく事が多いのですが今年は大丈夫です。
風邪などひいてられません。天空率講座もまだ基礎編です。

今回は前回に引き続きつき込み道路における天空図と天空率の関係
、天空図の見え方をいっしょに考えていきましょう。
 今回の敷地は前回凹型の突き込み道路に対して道路の左右部に敷地が無い事例です。

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算定線は円弧状で作図するいわゆるJCBA方式で解説します。
前回突き込み道路で道路の左右部に敷地があり計画建築物が配置されている時天空率がもっとも厳しくなるのは道路が突き当たった最も敷地に近い側でした。
 ところが今回はどうでしょう皆さん!道路の反対側に配置したみなし道路の算定線が最も厳しくなり前回と逆の傾向を示しております。前回もP16ではNGでしたが最後にNGが残るのは道路が突き込んだ奥になります。しつこい様ですが前回の算定線を円弧をやめて道路の反対側のみの算定位置で解析した結果で念の為確認すると

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この様になり最後までNGなのが突き込んだ左奥の算定位置です。右奥がOKなのは対面の空地が近いからです(大丈夫ですネ、ついてきて下さい。ガンバレ)
 円弧状の算定線をやめたのは、この道路反対側のみの算定線の場合、確実に左右部の奥の位置(前面道路に面する両端から最も近い位置)に算定線が配置される為です。
 どちらにしても奥側の算定位置が最もきびしい事が再度確認してイタダケマシタネ。

 さて本日の事例を再度確認してみるとみなし道路上に配置した算定線がNGです。
つまり前回のNG位置から最も遠い算定位置がNGです。今回はこの原因をいっしょに考えながら天空率計算の特性を学習してみましょう。

 それでは検証を開始します。
まず検証の手始めは天空図を確認する事です。そうです適合と計画を合成して確認する事からデスネ。

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 目の位置(算定位置)は天空図の中心にあります。算定位置から適合建築物と計画建築物を眺めて考えて見ましょう。高さ制限を越えた領域、赤線分から天頂側は計画建築物だけです。ほぼ真下から見上げる状況になり計画建築物のみの出っ張りが大きくみえません。

 一方適合建築物に関しては外壁後退の空地が間近に有り、適合建築物のグリーンが大きくみえます。面積の小さい方が天空率は大きくなります。この場合グレーつまり計画建築物の天空率は適合建築物を上回りクリアーします。

 さてみなし道路上の算定位置ではなぜNGでしょう。天空図で早速確認しましょう。

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算定位置(目の位置)が両建物から離れる為に適合建築物、計画建築物ともに小さくなります。幅が狭くなるのがひとつの要因ですネ。いずれも小さくなる場合両者同様の比率で小さくなれば奥同様にクリアーするはずですが結果から考えると計画建築物の図の大きさの低減率が低かったといえます。ナゼデショウ 天空図をよく眺めてみて下さい。
・・・・・・・・・・・・thinking time・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
天空図の同心円は建物の高さを仰角で表示します。天頂上から平面に投影した天空図の場合建物の高さにより仰角が確定します。仰角の位置により面積(同心円の開き)が異なります。天頂90度に近い建築物ほど同心円の幅が広くなり合面積が大きくなります。目の位置をみなし道路の位置で眺めてみると高さ制限を越えた計画建築物の出っ張りが顕著になったといえます。(仰角約60度から80度程度の位置にあります。)

対策は計画建築物の高さを変えたくない場合幅をせまくし幅を変更したくない場合高さを低くします。

 2回にわたる「つき込み道路における天空図と天空率の関係」をとうして現在の審査制度を考えてみたいと思います。実は以下の事をお伝えしたい為に2回を要してしまいました。

①建物の側面が見えると天空率が下がる要因になりました。
適合建築物の側壁が見えた場合、正面に比べ大きく天空図に表示され天空率が低くなります。
 東京方式の入り隅処理においては当該の算定線越しから見通せる範囲を適合建築物としているのは適合の側面を見せない事が目的です。側面をみせない事で適合建築物の天空率をより大きく評価したい。いわゆる安全側の配慮という事でしょう。
 しかし適合領域を作成する135条6,7にはその様な記述はありません。
東京方式の場合入り隅を構成する境界の一方がせまい場合、計画建築物が対象外になり比較されない領域が発生します。その意味では危険側です。

②算定線、算定位置に着目して天空率制度を考えてみますと今回サンプルとして使用しましたJCBA方式の円弧状の作図法の場合。円弧部以外で計画建築物の形状は確定します。円弧状に描いた線分は手間のみ多くて計画建築物の最終形状には影響が少ない事がわかります。一方円弧の算定線作図は天空率計算を面倒にします。
さらにいえば政令135条9-1「・・・・当該前面道路の反対側の境界線上の位置・・・・・」にも反します。

おそらく適合建築物を作成する為に円弧状にまわり込む事を算定線にそのまま適用したのでしょう。ただし適合建築物は135条の6-1、算定線は135条-9で別の設定になっており基本的にそれぞれで考慮すれば良い事になります。

①②いずれも現状の審査制度は課題を残しております。それらをクリアーした統一した仕様の策定が望まれます。


今回もまた長くなりました。天空図の見方、対処方法になれてくれば基礎編は卒業でしょうか?いやまだ隣地、北側の講座が残っています。
次回は隣地編を開始する予定でしたが今回解説した天空図の作図方法同心円の意味を解説致します。今回、天空図を解説しておりましたら審査におけるRcosθによる位置確認表の意味合いをはさみたい気分になりました。隣地北側の解説はその次からにします。次回もおつきあい下さい。

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