1)敷地形状、敷地境界条件(道路幅員等)、用途地域が確定した時点で2以上の道路の場合132条で最大幅員の領域、道路中心10mの領域の最大の領域が一義的に区分されます。
2)1)で「最大の領域」としましたのは、計画建築物の配置が確定しますと高さ制限適合建築物の形状は計画建築物の外壁後退幅を最大とする中で任意に設定する事が可能になりますので1)の最大枠の中でその区分区域の形状は適用距離が変化する事、高さ制限適合建築物の絶対高さも外壁後退距離により変化します。
3)設計者は高さ制限適合建築物の天空率が最も小さくなる位置を外壁後退位置として計算します。
今回はこの手順の確認を行います。この手順は何度も解説しており、またかと思われるかもしれません。この手順を徹底する事は重要です。
まず外壁後退この場合広い道路側から3.5mの位置に計画建築物がありますが高さ制限適合建築物においては外壁後退距離を0≦3.5mを採用した例です。これは前回基礎講座7で解説した区分区域と同一形状です。外壁後退距離を利用しなかった為適合建築物が低くなり計画建築物より空が広くなり(天空率が大きくなり)NGです。
外壁後退距離を計画建築物と同様3.5mに設定した場合です。高さ制限適合建築物の前面の高さが高くなり空を遮蔽し天空率が小さくなり計画建築物の天空率より小さくなりクリアーします。
外壁後退3.5mを採用した分最大幅員側の区分区域は適合領域が3.5m手前になる為に計画建築物の前面の領域との比較になります。
次に4m道路側の最大幅員の領域を比較します。
4m道路側からの外壁後退距離は5mあります。この場合外壁後退距離を0を採用しております。道路の中央部においては両再度の空地(緑)部が視界から遠く小さくなり高さ制限を越える計画建築物の空の遮蔽分をカバーできません。その為NGです。
この事例では5mの外壁後退距離を適用しました。高さ制限適合建築物の前面が高くなり空を大きく遮蔽します。計画建築物の天空率は変化しない為高さ制限適合建築物の天空率が低くなった事によりクリアーします。
外壁後退距離はその道路の外壁後退距離を採用します。
この領域は最大幅員8mを越えた領域で4mの道路中心10mの領域(この場合は4m道路から6m:前回解説参照)には、けして作成されないと言う事です。4m道路側の外壁後退距離が5mより、計画建築物を1m上側に移動すると外壁後退距離が6mになり4m側からの最大幅員の高さ制限適合建築物は132条の2項の領域道路中心10mに入ってしまう為消滅し比較の必要がありません。
最後に道路中心10mの領域(132条2項)4m道路側の天空率です。
上段が外壁後退距離を採用しない場合でNG、下段は外壁後退距離5mを採用しクリアーしております。理由は最大幅員と同様に高さ制限適合建築物の高さが外壁後退距離により変わった事によります。重要な事は道路中心10mの領域はこの場合4m道路側から6mの位置で変わらない事です。(もちろん4m道路側からの適用距離がその距離以内であればその位置で打ち切られます。)
天空率基礎講座3では最適外壁後退距離を解説しました。道路中心10mの領域で比較しますと3.586mが最適外壁後退距離となりました。最適後退距離に設定しますと
となり最も差分の少ない中央部においても外壁後退距離5mにおいて0.078%から最適外壁後退距離を採用すると0.365%となり5倍近くの差分が確保可能になります。容積が確保されてない場合計画建築物の規模を拡大する事が可能になります。
さて本日も長時間のお付き合いありがとうございました。明日はつき込み道路のある132条の解釈法を解説し今年の天空率基礎講座の最終とします。
質問等ありましたら可能なかぎりお答えします。
では次回まで(明日カナ)