20歳、アメリカ・アリゾナ州での1ケ月の語学研修参加を決めた時、すごく不安でした。
アメリカでは、市民が銃を持つことができ、殺人、強盗、誘拐、レイプなど凶悪事件が日本より格段に多い。
初めて外国に行くことが現実的になってきて、治安面で怖気づくようになりました。
今よりは、搭乗時の荷物の量も中身チェックもルーズだった34年前(ホント、テロ前はゆるゆるでした)。
防犯スプレーも考えましたが、まずは心構えだ!と思って、近所の武道の先生に、約1ケ月間、護身術を教えてもらうことにしました。
先生は、どんな屈強な男性でも鍛えられないいくつかの急所を、実践を交えて教えてくれました。
私は、武道初体験で、先生の言葉が衝撃的過ぎて、今でも鮮明に覚えています。
「私が教える技は、あなたの心、身体、命が絶体絶命の時だけに使いなさい。
但し、相手が一人で、武器を持っていない時だけ。
闘うと決めたら、手加減をしないで、相手を殺すつもりで攻撃しなさい。
その後は、決して振り返らずに、人通りの多い、安全なところまで全力で逃げなさい。
相手が武器を持っていたり、複数人の時は、中途半端な抵抗はかえって最悪の事態を招く。
その時は、全面降伏して、命を守ることだけ考えなさい。」
幸い、今までその技を海外でも国内でも使っていないけれど、見えない武器は持っているだけで随分心強い。
そして、危険に対して敏感になります。
今でも、ひとりでフリー海外旅をする時は、毎回先生のところにおさらいに通って出発します。
武器は、使わなくても、持っていることに意味があると実感しています。
ただ、私が人生で一番死を身近に感じるのは、飛行機の離陸と着陸の時。
毎回、息を止めて懺悔しながら祈っています。
どうしても、あの重いジェット機が空を飛ぶことが納得できなくて、死んでも悔いなしと覚悟を決めて搭乗しています。
理系の下の子には笑われますけれどね。