妻の役割(22) | 夫の知らない妻

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官能小説「他人に抱かれる妻」別館です。

ゴルフコンペから2ヶ月後、私は隣国への出張に赴いた。

 

「あなた、気をつけてね」

 

「1週間も不在になる。くれぐれも気をつけて過ごしてくれよ」

 

「大丈夫よ。橋口さんたちが毎日付き合ってくれるって」

 

「そうらしいな。あまりはしゃぎすぎるなよ、佐和子」

 

「ええ」

 

私の言葉をどんな風に妻は受け取ったのだろう。

 

出張に行くという私を前にし、妻はどこか楽しげな雰囲気を漂わせていた。

 

あの男たちにいやらしくいじめられることを、どこかで待ち望んでいるのだろうか。

 

この国に来て既に3ヶ月が過ぎようとしている。

 

日本にいたときと比較して、私には妻の色気が増したような気がしていた。

 

控えめな化粧に変わることはないが、男好きがする妻の魅力は、明らかに高まっている。

 

スリムだが誘うような肉付きの持ち主である妻。

 

盛り上がった胸元。

 

くびれた腰から張り出した美尻に漂う官能的な気配。

 

胸やヒップの曲線が目立つような服を着る機会が増えたように感じるのは、気のせいだろうか。

 

3人の男たちに、敏感な肉体を何度も刺激されたからに違いない。

 

私はそう確信していた。

 

私とは違う男にあんなことをされた経験など、妻にはもちろんない。

 

これまで知らなかった何かを妻は知ってしまったのかもしれない。

 

それが妻の魅力を高め、そして夫が不在になるという1週間をどこかで楽しみにしているのだ。

 

まあ、いいさ。

 

楽しみなのは俺のほうだ。

 

私は不安と同時に、何かが起こるかもしれないというワクワクするような気分さえ感じていた。

 

「行ってくるよ」

 

「気をつけてね」

 

早朝、妻に別れを告げ、私は空港に向かう車に乗り込んだ。

 

「ハネス、これを渡しておくよ」

 

運転席にいるドライバーに、私はあるものを渡した。

 

「ボス、OKです」

 

流暢な英語で答える彼はハネスという名前で、まだ20代前半の若者だ。

 

180センチを軽く上回る長身の彼は、漆黒の肌を美しく輝かせたハンサムな男である。

 

アフリカ系だけに、陸上競技でもやらせたら抜群の跳躍力を見せるのではないか。

 

そんなことを思わせるような敏捷で、鍛えられた肉体の持ち主でもある。

 

この国に来た時から、彼はドライバーとしてだけではなく、あらゆる場面で私を助けてくれる実に頼もしいスタッフだった。

 

この出張が決まった後、私は彼に一つのリクエストを与えた。

 

「任せてください、ボス」

 

戸惑ってしまうような難しい要求だ。

 

だが、彼ならきっとうまくやってくれるだろう・・・。

 

近づいてくる空港ビルを見つめながら、私は彼に言った。

 

「頼むぜ。お前だけが頼りだからな、ハネス」

 

「本当にいいんですね、ボス」

 

「ああ。覚悟はできているさ」

 

「わかりました。やってみましょう」

 

私が渡した自宅の合鍵を握りしめ、彼もまた何かを期待するように笑みを浮かべた。