妻の役割(8) | 夫の知らない妻

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官能小説「他人に抱かれる妻」別館です。

男たちは妻と一緒にゴルフコースを回ることを想像して、すっかり陽気だ。

 

指をマッサージされて我慢できない風に悶える彼女に、橋口が好色な視線を送っている。

 

「奥さん、柔らかい手ですね」

 

「もう橋口さん・・・、お強いんですね、お酒」

 

かなり酔った様子の妻は、彼の望みを叶えてあげるかのように橋口と指を妖しく絡め合っている。

 

「橋口さん、ずるいなあ、奥さんとそんな仲良くして」

 

他の二人がそんな言葉を吐きながら、自分たちの椅子をもっと妻に近づけていく。

 

橋口に負けるものかという雰囲気で、北原が妻の背中から腰を撫でるように手を動かした。

 

「いけませんよ、北原さん」

 

「いいじゃないですか」

 

「駄目ですってば。主人が見てます」

 

彼の手を払いのけるも、別の方角から宮野の手が妻の手首を掴むように動く。

 

「いやんっ」

 

「細いねえ、奥さん」

 

「そんな風に掴まれたら、私、動けないです」

 

ふざけた雰囲気でそう漏らす妻は、欲情を隠そうとしない男たちとの時間を楽しんでいるようにも見えた。

 

そんな風に夫以外の男性に言い寄られることなど、結婚してからはもちろんない。

 

久しぶりに女性であることを思い出したのだろうか、今夜の妻は妙に色っぽく見える。

 

そんな妻の肢体に遠慮なく伸びてくる男たちの手。

 

3人の手が妻の躰に触り、愛撫するような不審な動きを加速させていく。

 

「駄目っ・・・・、いけません・・・・、もう飲んでください、もっと・・・・」

 

男たちにビールを勧めながら、妻は私のほうにさりげなく視線を向けた。

 

もうこれぐらいでいいだろう。

 

上司たちも満足したはずだ。

 

そろそろお開きとするか。

 

私が立ちあがろうとしたとき、誰かが肩をたたいた。

 

「中川さん、少しいいですか?」

 

私と入れ替わりで帰国する林君だった。