先日、ひらパーこと枚方公園で開催中の「ゲゲゲの妖怪100物語」へ行ってきました。
さほど新しみはないというか、100の妖怪についての解説があるほかは、妖怪の像などが展示されているくらい。
どっきり要素があって、これがなかなかスマートなどっきりだったので、
「まぁ、1700円払ってもいいかなぁ……」
と思えましたが、水木しげるの妖怪図鑑のたぐいを何冊か読んでいる人にとっては、今更感が強いかもしれません。
さて、100の妖怪の中に、「一つ目小僧」がありました。
一つ目小僧といえば何を思い出します?
たとえば、大阪府南部にある神社では、一つ目小僧が出るという噂があります。
柳田国男翁は、一つ目小僧は神職が霊力を得るために片目をつぶした風習が妖怪になったものではないかとおっしゃってます。
そのほかは?
こんな話はご存知でしょうか?
小島屋喜右衛門がとある武士に鶉を売ったところ、「手持ちでは足りないので」と、麻布にある武家屋敷へ呼ばれます。
座敷は古びていて、ふすまは破れており、雨漏りの跡もあちらこちらにありました。
「ちゃんと支払ってもらえればよいが」
と思いながら待っていると、床の間にある掛け軸を、小さな人が上げたり下げたりしはじめました。
いつまでも上げ下げしているので、
「掛け軸が傷んでしまうからやめなさい」
と声をかけると、その人は
「黙っていよ」
と言いながら、振り向きました。
……目が一つしかない……
喜右衛門はワッと声をあげて気を失ってしまいました。
その後、鶉の代金を支払われ、屋敷の人が送ってくれたのですが、その際、
「この家では、年に4~5回、怪異が起こるのだ。あなたが見た怪異は『黙っていよ』と言って消えるだけで、何も悪いことはないから黙っていなさい」
と口止めされたというのですね。
いろんなところで読む話ですが、原典が書かれていないことが多い。
「ゲゲゲの妖怪100物語」展でも、この話が紹介されていましたが、原典が書かれてな~い!!!
調べたら、江戸時代に書かれた『怪談老の杖』に載せられた怪談だそうです。
Kindleで購入できたので購入しました(笑)
さて、もう一つ、「原典が知りた~い!!」と思っている怪談があります。
ご存知の方は教えてほしい。
夜中の0時に、口にロウソクを加えて井戸を覗き込むと、将来の結婚相手が映るという話です。
井戸じゃなく厠だった気もするんだけど……。
ある娘が、将来の結婚相手を知りたいと、試してみるのですが、実際に男の顔が映ったので、
「あっ!」
と叫び、咥えていたロウソクを落としてしまいました。
その数年後、見合いに現れたのがまさしくその男性。
でも、額にやけどをしています。
なんだかひどくいやな予感がして、
「そのやけどはどうしたのですか?」
と聞くと……
「あなたがロウソクを落としたんでしょう?」
とまぁ、よくあるオチなんですけど、これ、よく似た話があちこちで語られてるんですよ。
その原典はどこにあるんだろうとずっと思ってて。
井戸を水を張った洗面器、ロウソクをカミソリに置き換え、現代の話しとして都市伝説にもなっています。
私が10歳ごろ、「なかよし」のお便りコーナーに、井戸を洗面台に変えて、「将来の結婚相手がわかる占い」として紹介されていました。
中国でも、北宋(960~1127)の『太平広記』に、似たような話があるんだとか。
月下老人に出会った男が、自分と赤い糸で結ばれた相手は誰かと尋ねたところ、醜い幼女を指さされます。
男は腹を立て、幼女に斬りかかりますが、殺害は免れました。
その後十年以上ののち、上司の美しい娘を紹介されて結婚するのですが、その娘の額には傷がありました。
お察しの通り、その娘はかの「醜い幼女」だったのでした。
この話しから「月下老人」が仲人を意味する言葉となったわけですが、「月下氷人」という言い方もありますよね?
これは「月下老人」+「氷人」の造語だそうですが、「氷人」の逸話も「映る」と関係あるんですよ。
精選版 日本国語大辞典で「氷人」をひくと、
「〘 名詞 〙 ( 中国、晉の令狐策が、氷上に立って氷の下にいる人と話をした夢を見たところ、索紞が、陽である氷上から陰である氷下に語ったのであるから、誰かのために仲人をするだろうといって、その通りになったという、「晉書‐芸術伝・索紞」に見える故事から ) 婚礼の媒酌人。なこうど。月下氷人。また、仲立ちをする人。」
とあります。
つまり、氷に映った誰かと話をした人が「結婚の仲立ち」をするわけで……。
何かこう、通底するものがあるように思うわけです。
だから、原典を知りたいのだけど、誰も知らないのよね~……。
誰かご存知だったら教えてください!
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