現世羽黒、死後の月山
そして蘇りの湯殿
一般に、羽黒山は現世、月山は死後、湯殿山は生まれ変わった来世を守護する神社と信じられてきた。
そもそも古代日本には死の概念がなく「死」に該当する言葉はなかった。
体から魂が消える現象を「身罷(みまか)る」と呼び、身だけがこの世から罷り去り、魂は生き続けると考えたのだ。
死を象徴する月山の祭神、月読命が穀物神を殺害し、その屍骸から五穀や蚕、牛馬を生まれ出たことを思い出してほしい。
月読命は転生のための死を授ける神といえるのだ。
湯殿山神社の少彦名命は、大己貴命に温泉に漬けられて再生している。
また、開祖・蜂子皇子が出会った八乙女は洞窟を棲み家とする。
洞窟が意味するのは母の胎内だろう。
このように、出羽三山の神話には、死と再生が幾層にも表れる。生きながら仏となった即身仏が、二十一体も存するのも、むべなるかなだ。
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