「もっとも印象に残っている神社は?」
と尋ねられたら、この神社を挙げます。
徳島県三好市に鎮座する、賢見神社。
日本唯一の「犬神落とし」の神社です。
犬神は徳島名産の「憑き物」で、とりついた人を狂わせたり、不幸にしたりするとされます。
犬神の作り方が怖ろしい。
犬の首だけを出して、体を地面に埋め、目の前に餌を置きます。
お腹をすかせた犬は、餌を食べようとしますが、届かない。
犬が餌のことだけを考えるようになったとき、首を斬り落とすと、犬神になる。
残酷な。
でも、残酷だからこそ強力な呪物になると考えたんでしょうね。
勝手な。
そんな犬神を落とすとする賢見神社ですが、おどろおどろしい雰囲気はまったくありません。
鎮座地は山の中の、まさに「隠れ郷」といった雰囲気。
山道の参道を歩いていると、7歳くらいの、ツインテールにした少女がピョコンと飛び出してきました。
そして、私に千日紅の花を差し出して、
「賢見神社へようこそ」
と微笑みかけてきたんです。
幻想的でしょ?
しかもその後ろから、貫禄たっぷりのおばあさんも登場。
「この子は山の子じゃからの」
と、少女の頭をゆっくり撫でたのでした。
人なつこい山雀がたくさん飛んでくるしね。
行きにくい神社ですけれど、本当に良い雰囲気の神社です。
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