山の神は女性。
でも、大山咋(おおやまくい)神は男神です。
比叡山の地主神で、ときに大国主(大物主)と同一視されますが、このあたりの山は吹き下ろす風も冷たく、厳しい印象ですから、「母」というよりは「父」の印象なのでしょうね。
『秦氏本系帳』によれば、上賀茂神社の神である別雷(わけいかづち)の父親が、大山咋だとされます。
山城国風土記逸文には、賀茂建角身(かもたけつのみ)の娘である玉依姫に懸想した神として登場します。
賀茂建角身はいわゆる八咫烏。
神武天皇が大和入りする際、道案内をした功績で、現在の下鴨神社のあたりに土地を授かったんですね。
ある日、玉依姫が川遊びをしていたところ、丹塗りの矢が流れてきました。
姫がそれを持ち帰り、寝床の近くに挿しておいたところ、身ごもってしまいます。
特に詳しい描写はありませんが、夜のうちに美しい男が訪ねてきて云々っていうエピソードが隠されているかと思われます。
それがなきゃ、面白くないやんかっ!!
そして生まれた男の子が成人を迎える日。
祖父である賀茂建角身は、たくさんの神々を招いて、盛大な酒宴を開きます。
そして男の子に向かって、
「おまえの父親にこのお酒を飲ませなさい」
と杯を渡すと、男の子は天に昇ってしまった。
そこで男の子の父親は火雷(ほのいかづち)であると知れたというわけです。
その神は乙訓神社の祭神。
この神の場合は、まったく女性の要素がないですね。
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