三次創作小話「忘羨その後」(7-1)
(6-15)の続編です。
あれから十年後です。
ウェイインとランジャンは七十を過ぎて、なお心身共に健康です。
見た目は、まだまだ、三十代。
周囲は、二百年、いやそれ以上、何百年も生きて仙人になるのでは、と揶揄されています。
今朝は、昨日からの激しい雨で、辺りがまだ薄暗く、(まるで斜日*のようだ)ウェイインは気が重い。
昨夜、ジャンチョンから伝文が届き、
〜スーチン殿**が危篤です。なるべく早く来られたし〜
しかし、その後すぐ、
〜スーチン殿が亡くなられた。葬儀など分かり次第、連絡します。〜
スージュイは昨夜のうちに、温ニンに会っているはずだ。
ランジャンは、ぼうっとしているウェイインに「少しでも、食べて…」
何を言ったらいいのか分からず、口ごもる。
「俺は温ニンに何をしてやれるというんだ?
行きたくないよ」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
「あんなに明るくて、他人の世話をやくのが大好きで、周りから愛されてたのに…」
ランジャンは黙って聞いていたが、
「君の顔を見るだけで、慰めになるはずだ」
やっと言葉を絞り出した。
雨も小降りになって来た。薄日がさしている。
ウェイインを抱きかかえる様にして、二人で御剣して行く。
温ニンが営む医院に着いた時には、大勢の人が中に入りきれず、外に立ったままで、悲しみを語り合う低い声と、啜り泣く声だけが、流れてくる。
ウェイインたちに気付いた誰かが、二人を家の中に案内する。
スーチンの亡骸に、手を合わせ、温ニン、温チンに頭を下げる。
ウェイインは温ニン達の顔を見ることもできない。逃げるように、部屋を出る。
スージュイは忙しく立ち回っている様子だ。
沈痛な表情で、こちらを見ようともしない。
この重苦しい雰囲気に耐えられず、
ウェイインは「外の空気を吸いたい」出て行こうとする。
スージュイが追いかけて来た。
「宿をとってあります。そちらで休まれて下さい」
気丈に振る舞っているのが分かる。
翌朝、ウェイインとランジャンは、もう一度、温ニンを見舞った。
温ニンはまるで死人のように、語らず、食さず、ただただ、来る人来る人に頭を下げるだけ。
温チンは泣き続け、ジャンチョンに抱き支えられている。
二人は、逃げるように雲深不知処へ帰って行った。
つづく
*斜日…入り日(夕日)の時刻
**スーチンは温ニンの妻です。
生まれつき心臓が弱く、これほど長生きできたのは、ひとえに両親と温ニンの愛情によるものです。
温チンは、温ニンとスーチンの一人娘で、ジャンチョンの妻です。
詳しくは、こちら
この格好はゲームのキャラクターだそうです
『天官賜福』にも出演してました?
CMですか???
「沧海一声笑」と言えば、これ
沧海一声笑 肖战&王一博①
— 漆櫻花樹Qi ying (@xzwyPeace7) 2021年3月25日
日本語字幕をつけてみました pic.twitter.com/ZzTjRLM6ve