三次創作小話「忘羨その後」(3-16)




温チンは、母のおおらかな愛と、父のどこまでも優しい愛に包まれて成長し、芯が強く、思慮深い、美しい娘となった。


その顔は、母似だと言われるが、見る角度によっては伯母の温チンにも似ている。

体つきは伯母にそっくりだ。


今は医師を志し、母の手医者に付いて猛勉強している。



ジャンチョンは、もう五十代半ばだ。

いくら若く見えても、もう結婚は無理だろうと思っていた。


(愛したいと思える人に出会えなかった。

あの人以外には、、、)


ところが、雲夢の街なかで、ある娘を見かけた時、いきなり若い頃に引き戻されたようで、その頃のときめきが、苦しい思いが蘇った。


ジャンチョンは恋煩いなのだが、周りの者たちはそうと分かるはずもなく、どんどんやつれていく様子にとうとう医者が呼ばれた。


その医者と一緒に付いて来たのが、思いを寄せる、あの時の娘だ。


ジャンチョンは貧血のためか、衝撃のためか、気を失ってしまった。



気がつくと、あの娘が手首の脈をとっている。

間近に顔を見て「温チン殿」と思わず、口にしてしまった。


温チンは、驚き、訝しむ*が、厭う*気持ちはなかった。

その声に懐かしささえ感じて、戸惑うばかり。



何度か診察に訪れ、ジャンチョンの体調が見る見る良くなるので、医者の方が驚いている。


ジャンチョンは、その娘の名は温チンで、父親が温ニンだと分かると、ますます運命を感じた。



二人は自然に会話する様になり、惹かれ合っていった。

もともと魂同士が結びついていたかのように。


周囲は、初めこそ驚いたが、やがて受け入れた。

二人の仲睦まじい様子に反対などできるはずがなかった。



もちろん『魔道祖師』狂信者*の温チンの母、スーチンが大喜びしたことは言うまでもない。



江家宗主の婚礼という華々しい式典に、雲夢の街は、活気に満ち、大勢の人で溢れていた。


皆が心から祝福し、二人の幸せを祈っている。美しく暖かいひとときだった。



二人は手を繋いで船着き場まで歩いて行く。


「いい式だったな」ウェイインは先程までの笑顔とうって変わって、しんみりと言う。


「酒宴に出なくてよかったのか?」

ランジャンの問いに、


「俺たちに晴れやかな席は似合わないからな」ふふっと笑う。

「お前と二人で呑む方がいいんだ」


「では、帰ろう」

御剣に乗って、ふわりと空中に上がると、


「あっ、忘れるところだった」

と言って、懐から呪符の束を取り出した。

念を入れて、空高く飛ばした。


すると、パーン、パーンという大音響と共に、大きな花火が夜空にいくつもいくつも広がった。


二人はすうっと暗闇に消えて行った。



*狂信者…大ファン

*訝しむ(いぶかしむ)

*厭う(いとう)…嫌って避ける、嫌がる





Q1はシャオジャンくんでした!

さすがです拍手


 


Q2は、イーボーくん、ですよね?

一枚の写真だけで、付いていた言葉が、

「シャオジャン?イーボー?どっち?」

だったので、断言はできませんが🙇





UNIQのイーボーくん、アイドルっぽい!

当たり前ですが笑い



 ちなみに、、、

2015年7月に、日本初公演

2016年12月には、東京にて公演