今日は高校1年生のクリティカルシンキング講座。
「PBL」(問題解決型学習)の実践のための教材を作成し、取り組んでもらった。
PBLは、「正解の決まった課題に取り組み知識と技能を身につけること」ではなく、「正解のない議論(課題)を通して問題解決へのアプローチ方法を身につけること」である。
その「過程」で知識は身に着けるが、暗記ではなく「過程」であることが重要である。
今回は「課題発見能力」と「問題解決能力」のトレーニングだ。
まずはこの写真を見て「課題」を見出す。
残念ながら、最初は、
「木が倒れて危ない」
「車が多い」
と言った、まさに「見たままの描写」が多く、とてもじゃないが思考的とは言えない。
そこで、考え方を伝え、各自が疑問を重ねる。
原因を究明した話し合いを続けると、1時間後には、
「弱者に優しくない町」
「火災に弱い町」
「環境問題に取り組んでいない町」
などの課題が見出される。
「課題発見能力」である。
さらにその問題の解決策を生徒同士で相談しながら模索する。
面白いところでは、
「町全体に確実に繋がるfreeWi-Fiを広げる」
「弱者のためのサポートシステムを構築する」
「町全体を車両乗り入れ禁止エリアにする」
などであろう。
これは「問題解決能力」である。
最初の「見たままの描写」とはケタ違いに違ったものになり、本人たちも「見えない世界」の発見に驚く。
そして思考の過程はこうなる。
「すべての人に優しい町なる」
こうした思考のなかで、ネットで調べたことが「知識」となっていくし、それは「暗記した知識」ではなく、「生きた知識」になる。
最後に、この内容を各グループにプレゼンしてもらう。
「調べ学習」の発表とは異なり、そのプレゼンが「論理的」になるように、教材は作られている。
「とにかく考えろ」
では何も発見できないし、解決もできず、単なる「コピペ」に陥ってしまう。
さらには、
「とにかく覚えろ」
では、もはや思考停止に陥る。
私は学校で32年間、自分でも心から反省するような「日本史」や「現代社会」の指導をしてしまった。
それはとにかく「知識」を増やすことであり、その指導中、間違いなく生徒は「思考停止」だった。
だからこそ、いまになってではあるが、生徒に「課題発見能力」や「問題解決能力」を身に着ける教育、それはクリティカルシンキングの育成やPBLを使った教育に取り組むことを生涯の使命としている。
こんな教育をしている塾はないとよく言っていただける。
そして、それを評価していただける事は、本当に嬉しいことだ。
1月21日の大人のクリティカルシンキング講座でもこんなことをやろうと思っている。