泉房穂元明石市長の言葉 | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

 

兵庫県明石市の泉房穂市長が、2023年4月30日をもって市長の任期を終えた。

 

2011年の初当選の選挙は69票差であったが、2019年のパワハラ発言の不祥事後の出直し選挙では得票率70%以上で圧勝した。

特定の政党の支持を受けず、多数の市民の支持を受け続けた政治家だった。

その明石市は、10年続けて人口増加している。

次の選挙で出馬しても、きっと圧倒的多数の市民の支持を受けて当選したであろうが、「59歳」での勇退である。

 

その泉元市長がインタビューのなかでこのように話している。

 



公務員の思い込みは、基本的に3パターンに分類できます。

まずは「国の言う通りのことをしなきゃいけない」という思い込み。

国が言ってないことは禁止されてると思っている。「お上至上主義」ですね。

それから「隣の市ではやっていません」も彼らの常套句。

今でこそ明石市が「全国初」となる施策が増えましたが、基本的に役人は他の自治体がやってないことはやったらいけないと思っている。「横並び主義」です。

3つ目は「前例主義」。

何か変えようとすると、すぐに血相を変えて飛んできて「これまで20年、このやり方でやってきました。変える必要ありません」と言う。

そのたびに「時代は変わってるのに、何を20年間同じこと繰り返してんねん」と思いました。 

市役所というのは、この3つをほぼ全員が確信的に信じ込んでしまっている組織で、一種の宗教に近い。

 

なかなか過激な発言で、噂通りの泉元市長らしい。

もっともこれは役所だけではなく、学校もとてもよく似ている気がする。

 

その泉本市長は、その著書のなかでも繰り返し語っているのは、

 

「行動すれば政治は変えられる」

「どうせ変わらないではなく、行動しよう」

 

である。

 

学校のなかで、教育を変えたい、働き方を変えたいなど変革を志す先生はきっとたくさんいるであろう。

生徒の中にも、もっとこんな風に学びたい、自分の学びがしたいなどと夢見る者もいるであろう。

 

しかし、学校の中の「お上至上主義」「横並び主義」「前例主義」は恐ろしく手ごわい。

泉元市長もなんども脅迫を受けたそうだし、公務員から嘘をつかれたこともあったそうだ。

でも行動すれば、いつかきっと徐々に変化は起きる。

 

私は教育の世界で、AI時代には「クリティカルな思考を育てる」ことこそが、新しい教育の基盤になるべきだと思っている。

かつてアルビン・トフラーが提唱した「第三の波」が実現した社会である。

 

「第一」は農業革命、「第二」が産業革命の社会である。

農業化の変革を受けて土地に縛られていたのが、産業革命で工業が発達し、規格化・分業化・同時化、集中化とともに、都市に人口が集中した。これに合わせて企業も軍隊でも規模を大きくすればいいということになる。

しかし、トフラーは「第三の波」として情報化社会の出現すれば、情報革命によって、規格化・同時化・極大化・中央集権化の原則から脱し、効率的で無駄のない社会になると予測した。

その社会こそがAI社会である。

その社会で行われる教育の根本的な理念が、30年、40年前と同じであっていいはずがない。

少なくとも未来志向ではない。

 

泉元市長は、市長職は引退だが、今後も政治に関わっていくという。

もしできることであれば、泉氏が懸念する「受け身では変わらない」のそもそもに日本の画一的な教育の在り方があり、そこには公務員と同じ世界があり、単なる授業料の無償化だけでどうにもならない、教育の「変わらない」ことへの挑戦をしていただければ思う。

泉氏は、私と同学年の同級生だ。

立場や地域が異なっても、ともに未来のための「変化」への挑戦をともにする同志でありたい。