もちろん、人それぞれには適した場所というのがあるのかもしれないし、この話は、全員の小学生に当てはまる話でもない。
それでもなお問われれば、中学校は私立中学、中高一貫校をお勧めする。
それには理由がある。
その理由とは進学実績とか偏差値、カリキュラムとか校舎が綺麗とかではない。
もちろん教育理念でも、校長先生の話が良かったとか、校長先生が有名だったとかでもない。
それは小学校卒業した12歳から18歳までの6年間、心も体も急激に大きく変化するその6年間、それを共に過ごす仲間と出会い、自分の良いところも悪いところも含めて受け入れてくれる友人と出会えることだ。
もちろん、残念ながら、そうした友達と出会えることがなく、場合によっては6年間の中途でその学校を去る生徒もいる。
しかし多くの生徒たちは、かけがえのない6年間を過ごし、生涯の友人を得る。
小学校の6年間とはすごく違う。
身体的にも大きく変化し、考えや生き方もどんどんと変化して、行動範囲も広がり、経験値も格段に上がる。
大人のように、自分を隠す術に長けているわけでもなく、それでも6年間に大きく大人に向けて変化をする。
その途中に人に見せてしまう短所や失敗、涙や怒り、笑いや感動、そうしたものを共有できる6年間だ。
その6年間は高校受験で別れや中断することもなく、ずっと継続していくのである。
そんな時間が中学受験の先にある。
もちろん、先生方との関わりも6年間の長い時間の中で濃密となる。
もちろん叱られたり、ときには相性の悪い先生だっている。
それでも6年間の長い時間と12歳から18歳の付き合いと言うのは、先生との関係を深い関係とし、ときにはその関係が見直されたり壊れたりを繰り返しながら、やがて素顔の付き合いになる。
普通の中学校の3年間、次の高校の3年間がダメということではない。
それでも12歳から18歳の間の6年間を共に過ごすと言う濃密さは、なんともすごいものである。
私の塾には、名古屋市内、さらには、名古屋近郊のほとんどの私立高校の生徒がやってくる。もちろん、私立中学の子たちをやってくる。
彼らは学校への不満もあるし、先生への愚痴も話してくれる。
それでもなお、高校3年生と深い話をすると、その6年間の濃密な時間を感じ取ることができる。
そんな6年を過ごした高校3年生たちは、「安定」「安心」の人間関係を話してくれる。
私立中学の受験をする保護者の方は、ついつい進路実績や設備の素晴らしさ、偏差値の高さなどに注目する。
それはそれで当たり前のことかもしれないが、そうした数字や目に見えるものではない世界がそこにあるのではないだろうか。
そこで、出会う友人とは、ある意味、偶然の出会いかもしれない。
しかし、6年間と言う時間は、その友人をかけがえのないものにし、人生に大きな影響を及ぼす。
だからこそ、私は、私立中学からの6年間と言うものをお勧めしたくなるのである。