少し数字を見てみる。
平成20年度の大学を受験した延べの総数=362万5,031人(男子219万6,510人、女子142万8,521人)
これによれば女子の割合は39.4%
平成20年度の大学に入学した総数=60万7,159人(男子34万9,608人、女子25万7,551人)
これによれば女子の割合は42.4%
つまり、単純な数字だが、女子の方が合格した率が高いと推測することができる。
よく、「男子の方が、受験勉強で底力を発揮できる」なんてことを聞く。
確かにそういう男子もいるであろう。
しかし、一般的に男子のほうが受験に向いていると考えるのは一種の偏見ではないのか。
実際、多くの難関私立大学では、すでに在学生の構成は女子学生の多くなっている。
しかも、全受験生の比率は圧倒的に男子のほうが多いにも関わらずである。
これは関東のMARCH、愛知の南山、関西の関関同立などで、よく見られるケースである。
国公立の在学生のうち女子は33.4%である。確かに少ない。しかし、これも女子の私学志向の強さもあり、男子は受験者の数ほど在学生が多いわけではない。
一部の医学部でも、女子の数の方が多い国公立もある。
ではなぜ男子のほうが受験に強いといった印象があるのか。
最後の頑張りが男子はすごい、という人がいる。いうまでもなく、正確にはそういう女子もいくらでもいる。
つまり、あくまで個人の問題である。
この伝説は、やはり過去の男尊女卑、女性蔑視の負の遺産、それは言いかえれば、女子の進学率が低く、女性の中で優秀な生徒でも、社会の慣習に従い大学受験をしなかったケースが多かったからであろう。
しかし、その負の呪縛が徐々に解け、頑張るか頑張らないかはあくまで個人の問題であり、男女の差の問題でははないはずである。
残念ながら教員でもいまだに、「男子の方が踏ん張りがきく」などと考える教員がいる。女子校にすら、そういう教員はいる。
伸ばせなかった教員側の責任を、そんな男女間の差があるがごとく説明し、ごまかしてはならない。
今の時代、女子の進学率も伸び、社会で活躍する女性の方も増えつつある。本来、体力的な面などの差異はあるが、学習・受験においては男女差などは存在しない。
現に読者の方のなかでも、330代、40代、50代でも30年前とは比較にならないほど、様々な分野がご活躍されている。
10年後は必ずそれがもっと進むはずだ。
この妙な伝説は、単に女子が、受験や大学という分野に、参加する機会が少なかっただけである。
男女としてでなく、それぞれの個人の努力や能力を正しく評価する、それが男子校、女子校が数多く存在する、私学の教員の、当然のあり方である。