【file 17】 第4次少子化社会対策大綱(案)に対する意見 | 軍師たるもの物申す (世界で唯一の正しい少子化対策指南)

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第4次少子化社会対策大綱(案)に対する意見募集について、意見を出した。
(2020年05月11日受付締切)

少子化社会対策大綱(案)
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000201873

【意見本文】

目標出生率1.8は、人口減少社会(=民族滅亡)を容認しており、容認出来ない。目標出生率は人口維持のための最低ラインである2.1を保持する。

各施策の数値目標に出生率寄与率が入っていないのは何故か。やってるからOKという評価でいいのか。これで15年もやってきたのか。

目的が少子化対策である限り、数値目標には各施策の限界利用率を推定した上で、計画が100%実施出来た時の出生率の改善見込みの数字が入っていなければならない。それらを積み上げた結果、現状の1.4が目標の2.1を越えなければならない。全ての項目の達成率が100%になる事は有り得ないので、平均達成率が50~70%で目標が達成されるのが望ましい。

「有配偶出生率の低下」は、55年前に比べて2.1が1.9に下がった程度であり、これは毎年晩婚化が10%、つまり1年で1.2ヶ月分晩婚化が進行しているだけでこの数字になるのであって、この点を除けば、既婚者ベースの出生率は実質的に下がっていないとも言える。よって、対策としては、未婚問題の解決、晩婚化の改善という2つの結婚支援に絞る。

項目の8割以上が子育て支援になっているが、「子育て支援」として取り組めば良く、少子化対策としては全て不要な項目である。
肝心の未婚・晩婚対策は、自治体の成功例待ちで具体策が無い。これはどういう事か。

未婚・晩婚対策としては、子育て支援のような大きな財源は必要なく、過大な出費にならない程度の自己負担で、イベントではなく日常的に利用出来る結婚を前提とした出会いの場をくまなく構築する事が肝要である。場の運営は未婚者自身が行い、その手助けを行政が行うべきである。

文字数が全然足らない。


【添削内容】

P1「一旦は1.45まで回復した合計特殊出生率」とあるが、晩婚化のペースが鈍っただけの事であり、実質的に出生率が上がった訳ではない。

P1「有配偶出生率の低下」は、55年前に比べて2.1が1.9に下がった程度であり、これは毎年晩婚化が10%、つまり1年で1.2ヶ月分晩婚化が進行しているだけでこの数字になるのであって、この点を除けば、既婚者ベースの出生率は実質的に下がっていないとも言える。
よって、対策としては、未婚問題の解決、晩婚化の改善という2つの結婚支援に絞る。

P3「子育て世帯への臨時特別給付金の支給」はバラ撒きであり、必要ない。
少子化対策と子育て支援は、各々が重要な別テーマとして扱うべきで、分けて考える必要がある。

P3「希望出生率1.8」は、人口減少社会を容認した目標値であり、却下する。目標とする出生率は、人口維持のための最低ラインである2.1を保持する。

P3「将来の子供たちに負担を先送りすることのないよう」とあるが、現在までに積み上がった財政赤字は負担の先送りが前庭となっているので、この目標は明らかに実現不能である。

P4「働き方改革」によって出生率を上げるというのは、回り道にも程がある無理難題である。財政出動を伴うものは出来ない。世帯主の最低賃金(全国一律1300円にするなど)を定める程度が関の山である。
「長時間労働の是正」では、残業規制の厳格化により、平日にも婚活出来る時間的余裕を確保するのは有効であるが、具体的な指標が示されていない。
36協定で定められた年間残業時間の上限は720時間(月平均60時間)となっているが、このレベルで平日のアウター5で婚活するのは全く不可能である。360時間(最大でも480時間)を上限とする事。

P5子育て支援については、「保育所定員を倍にすると出生率が0.1上がる」という相関も疑わしい数字しか無く、掲げられた項目は財源の裏付けもその規模も不明で実現性はほぼ無い。
よって今ある財源の再配分を中心に最適化を図るのが得策である。例えば0才児を1年間保育すると300万円かかると言われる。これを0才児保育の自己負担率を3割に上げると同時に、保育所にいれない0才児に保育手当として年100万円支給する事で保育所の利用を最適化し、財政バランスを維持する事が出来る。

P6「地方公共団体が、地域の実情に応じ、結婚、妊娠・出産、子育てしやすい環境の整備に取り組み、国がそのような地方公共団体の取組を支援する。 」
全ての地方公共団体に対して取り組みを推進するための部署(既婚者子育て支援とは別にする)を作る事を求め、最低でも各市町村1名分、各県5名分程度の職員の人件費を支援すべき。

P7「、必要な知識や情報を学び、乳幼児と触れ合う体験を含めライフプランについて考える機会を、学校、家庭、地域、企業等の様々な場で提供する。 」
必要と思う知識はネットから得られる。
乳幼児と触れ合うというのは、子育てボランティアをしろという事か。時期尚早過ぎる。
様々な場というのが、職員や高齢者等に与えられた場になってしまっては、人は集まらない。未婚者自身により自分達が望む出会いの場を作る必要がある。

P8「高齢世代から若者世代への経済的支援を促進する 」
少子高齢化の進行により、現在の基準を維持するだけで高齢者向け社会福祉費用は増大し、若い世代へは回らない。経済的支援を伴う施策は諦めざるを得ないのが現実。経済的支援を前提とする限り、少子化対策は全く進まない。

P8「AIを活用したシステムと相談員による相談を組み合わせた結婚支援等を促進する」
AIを活用したマッチングシステムの事か?そんな事は民間でも出来る。
民間で出来ている事が効果が無いのは現在の状況を見れば明らかで、本来の未婚に悩む層にとっては効果が無いという前提で利用が敬遠されているからに他ならない。
未婚者は基本的に相談員による相談(要するに結婚相談所と同じプロセス)を嫌う。これでは利用率が上がらない。
無難に結婚出来た相談員の経験が未婚者の役に立つ程、現実は甘くはない。

P11「推進体制」
具体的な人員配置(政府/都道府県/自治体)についての言及が無い。

別添P1「若者の雇用の安定」「引き続き正社員転換等の取組を進める」
「引き続き」では効果の上積みが期待出来ない。

別添P1「非正規雇用対策の推進」「同一労働同一賃金の実現」
契約期間が定められた雇用形態については、同一労働同一賃金では正社員に対して雇用リスク分の収入が担保されないので、「有期雇用割増賃金法」の制定により、正社員よりも労働コストが高くなるようにする必要がある。
具体的には、契約残1年未満の場合は10%増し、1ヶ月未満では30%増しとする。
途中契約解除の場合は、過去の支払分に遡って割増分を精算する。
(以上、格差是正の課題であり、少子化対策としては扱わない)

別添P2「地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援」「ノウハウに乏しい地方公共団体に対しては人的支援も含めた支援を行う」
国にノウハウが無いから少子化問題が解決しない事を認識すべき。
「退職者や高齢者を始めとする多様な担い手の育成方策について検討し」
高齢者は排除はしないが、十分な人間関係が構築されていない初期段階では阻害要因にしかならない。
出会いの場は、基本的に場所だけ管理出来れば良い。
他者の手を煩わせる必要は無く、未婚者自身が運営すれば済む事である。

別添P13「結婚、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援 」「地方公共団体が行う、地域の課題・実情に応じた結婚に対する取組~優良事例の横展開を推進する」
具体策であるはずが、施策の中身は地方への丸投げになっており、成果を期待出来る要素は無い。
「具体的には、結婚・出産・子育ての支援、仕事と子育ての両立に係る国全体の制度等の活用を促進すること」
その制度を立ち上げるのが本大綱の目的ではないのか?
全く具体性が無い。

別添P15「Ⅰ-4(1)結婚を希望する人を応援し、子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成 」
別添P16「Ⅰ-4(3)結婚、妊娠・出産、子供・子育てに関する効果的な情報発信」
結婚に関する内容が入っていない。

別添P18「性に関する科学的な知識の普及 」
「思春期の人工妊娠中絶やHIV感染症を含む性感染症問題」は、少子化とは無関係であり、そもそもそういった心配のある男女交際の活発な層は結婚支援の対象ではない。削除。

別添P18「妊娠や家庭・家族の役割に関する教育・啓発普及」
(教育現場で)「妊娠や不妊、家庭・家族の役割について早くから情報提供」は、抑制が目的であり、少子化対策とは無関係。
むしろ、異性との交遊頻度が少ない子供に、男女交際に対する苦手感を克服する手助けをすべきである。
具体的には、高校生以下で、男子校・女子校の廃止の義務付けをすべき。
部活等は、男女のバランスを配慮したものにするなど。

別添P19「企業経営者等の意識変革 」「イクボスや子育てを尊重するような企業文化の醸成 」
子育て負担を企業に押し付ける時点で論点が間違っている。
育児休業(転職前を含め2年以上勤務)では、穴埋めの派遣社員雇用に対する助成金の支給を行う。
育児休業からの職場復帰は、子供が満2歳まで原則として元の職場への復帰を義務化する。
育児休業した分は昇進昇給が遅れる事を認める代りに、定年の延長を義務付ける。
(以上、子育て支援の課題であり、少子化対策としては扱わない)

別添P27「(女性の活躍の推進) 」
別添P31「いじめ防止対策の推進 」
別添P31「「食育」等の普及・促進及び多様な体験活動の推進 」
別添P31「災害時の乳幼児等の支援 」
別添P32「子供の事故防止 」
別添P32「予防のための子どもの死亡検証(Child Death Review)の体制整備 」
別添P32「幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止 」
別添P32「交通安全教育等の推進」
別添P32「犯罪等の被害の防止 」
別添P33「子供の健康に影響を与える環境要因の解明 」
少子化対策としては扱わない。削除。

別添P33「(貧困の状況にある子供への支援) 」
貧困世帯が1/6とも言われるが、この層は経済発展(税収)にほとんど寄与していないのは問題であり、貧困の改善が人口が増えたのと同様の効果があるのは認める。
そもそも貧困家庭で子育てする状況が不適切であり、少子化対策に反するものである。
母子家庭などの親の貧困が子供の将来の選択肢を過度に狭める事のないよう、親の貧困対策と、貧困家庭の子供の学費等の支援は必要であるが、これは別途の重要課題(格差是正)として取り組み、少子化対策としては取り扱わない。

別添P35「(児童虐待の防止、社会的養育の充実) 」
別添P36「(障害のある子供等への支援) 」
少子化対策としては扱わない。削除。

別添P37「(ニート、ひきこもり等の子供・若者への支援) 」
ニート・ひきこもりは、自分達が要支援の社会的弱者として扱われる事に抵抗がある。
婚活が出来る「楽しい」居場所を作る事により、そこに集う事が社会の常識となる事により、「一生ニート・ひきこもりのままでいい」という価値観を是正する事が肝要。

別添P37「(遺児への支援) 」
別添P37「(定住外国人の子供に対する就学支援) 」
別添P37「(子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成) 」
少子化対策としては扱わない。削除。

別添2
目的が少子化対策である限り、数値目標には、各施策の限界利用率を推定した上で、計画の100%の規模で実施出来た時の出生率の改善見込みの数字が入っていなければならない。効果が0.02(1%)に満たないものは削除。それらを積み上げた結果、現状の1.4が目標の2.1を越えなければならない。
全ての項目の達成率が100%になる事は有り得ないので、平均達成率が50~70%で目標が達成されるのが望ましい。


【総論】

未婚が問題になっているのに、未婚者に対する施策の内容が極めて乏しく、具体性が無い。ほぼ空っぽと言っても良い。
既婚者子育て支援の施策は、子育てや母子貧困問題として取り組めば良い事であり、少子化対策としては全て不要な項目である。

子育て支援と結婚支援は別物として考える必要があり、これまでの子育て支援を偏重する余り、肝心要の結婚支援が置き去りにされている本末転倒な状況は、即時改める必要がある。
「子育て支援が少子化の改善に効果がある/ない」というだけで莫大な予算が投入されている子育て支援を主題のように扱う事は、最後は「景気を良くしろ」という話になり、全く論点が定まらない中身になる。

既婚者の子育て支援の項目を残す事は、少子化対策を子育て支援課の仕事として取り組む事になり、本業を疎かに出来ない余り、肝心の(難しい)未婚問題に対する施策が後回しにされる可能性が高く、実際に過去15年間そうされてきた経緯がある。その結果が今の出生率1.4(0.1たりとも上がらず)という数字に出ている。
全面的な大綱の書き換えが必要なレベルである。

本大綱に掲げられた数え切れない程の各施策を、効果があると見込まれる十分な規模(婚活世代の半分、1000万人規模を動員)で行うための財源を想定し、全て積み上げた時の予算を計上すべきであるが、それが全く実現不可能な計画である事は明らかである。
具体的な中身が無いのであるから、計算すら出来ない。
投入された予算があっても、全て既存の民生関連事業にバラ撒かれ、それらが少子化対策という当初目的に寄与するのかどうかは、現場サイドではどうでも良いレベルの話になるのは明白である。
それでいて、評価は「やっているから良し」という追認レベルになり、中身の伴わない実績だけが積み上がる。
そもそも、少子化対策という枠での予算取りすら不可能である。
同じ事を何年繰り返せば、間違いに気付くのか。
こんな机上の空論だけを並べて委託金を貰っているあなた方はペテン師も同然である。

「第4次少子化社会対策大綱策定のための検討会」 名簿
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou_4th/index.html
<委員>
     阿部 正浩    中央大学経済学部教授
     井崎 義治    流山市長
     石蔵 文信    大阪大学大学院人間科学研究科未来共創センター招へい教授
     大日向 雅美    恵泉女学園大学学長
     奥山 千鶴子    NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長
     榊原 智子    読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員
     佐藤 博樹    中央大学大学院戦略経営研究科教授
     新谷 英子    カルビー(株)人事総務本部ヘルスケア委員会委員長
     筒井 淳也    立命館大学産業社会学部教授
     羽生 祥子    日経DUAL創刊編集長(日経xwoman編集長)
     村岡 嗣政    山口県知事(全国知事会)
【五十音順、敬称略、役職は平成31年2月1日現在】
第4次少子化社会対策大綱策定に向けた提言(令和元年12月23日公表)

私は10年以上無報酬で少子化問題を研究・発信し続けているが、専門家と言われる方には賛同も反論も戴いた事は一度も無い。このブログの施策には必ず目を通して戴きたい。

【正しい少子化対策】

未婚・晩婚対策の施策の特長としては、子育て支援のような大きな財源は必要なく、本ブログで提案している通り、過大な出費にならない程度の自己負担で利用出来る結婚を前提とした出会いの場を構築する事が肝要である。

来年の出生率は、最悪は半分程度まで下がるのではないかと危惧する。
理由は、濃厚接触が控えられるという事もあるが、医療関係を含むこのような厳しい社会状況での出産を望まないという心理状況が大きく影響するであろう事は想像出来るだろう。

婚活というものが濃厚接触を前提としている限り、しばらくはまともな未婚対策は出来そうもないのが残念ではあるが、準備は進めておかねばならない。
(ネットを使った婚活は旧態依然とした効果の乏しいものであり、期待するに値しない)