【file 9】 東京の未婚率が5年で下がった? | 軍師たるもの物申す (世界で唯一の正しい少子化対策指南)

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きっかけは、東洋経済オンラインのこの記事。

茨城県が1位!「ニッポン男余り現象」の正体

 

 2015年10月の国勢調査の速報値を用いた、独身男女の人数の比較である。首都圏で、東京都だけが「男余り率」が周辺県の半分というデータに疑問を感じた。東京には地方から優秀な若者(男)が大勢集まって来ているイメージがあるので、全国平均(10.2%)に対して65%という数字は、「そんな事はないよ」と言っているのに等しい数字だ。

 

 自分で計算してみると、東京は13.4%。やはり、近隣の神奈川・埼玉・千葉と変わらない。いや、よくよく確認してみると、神奈川・埼玉・千葉は22%前後もあるではないか。なんでこんなに数字が違うのか。どうやら、元記事の計算方法が、「余り男数/独身男女数」になっていようだ。

 

『何で男女の合計で割るの?』

 

 コメントで散々指摘したが、未だにデータが修正される事はない。そこで、正しいデータを作成して、こちらにアップしてみた。

 

 東洋経済の記事に対して、日本人の30代の未婚率と生涯未婚率を合わせて表示してみた。主要な政令指定都市のデータもランキングとは別に順に並べて入れてみた。ちなみに、画像の作成段階までエクセルで加工している。デザインを真似ている点はあるが、エクセルにしては良く出来たデザインだと我ながら思う(笑)。

 

 さて、データの中身であるが、東洋経済の記事とは、トップとビリこそ同じであるが、途中のランキングが随分と入れ違いが激しい。2位の福島は1ランク下がった9位だし、5位以上ずれているのも珍しくない。一体どんな精度の計算機で計算したらこうなるのだろうか。(2017/1/7 元データを速報値から正式版に入れ換え再計算)

 正しいデータでは、ランキングが上位の県は、女性の数が少ないので流石に倍までは行かないが、下位の県は倍を越えているのもある。上位の県は30%近い数字になっており、合コンで言うなら、女10人に対して男14人強という割合になる。これは流石に厳しい。
 興味深いのは、政令指定都市や県単位で、5%以上数字が動いている所もある点だ。特に男余り率が低いのが福岡市で、ダントツの-12.1%-8.3%それも5年前に比べても7%も下がっている。女性の方が圧倒的に多いという事だ。この数字は、男性の方が年上の傾向がある点と、年々生まれる子供の数が減っている事を考慮すれば、その異常さは数字以上に深刻である。未婚率は、全国平均では女性が5歳プラスした男性とほぼ同じ数字になるが、福岡市は同じ年齢層でも男女が逆転している。
 30代の未婚率の傾向としては、男余り率の大きい県の男性未婚率は高く、女性未婚率は低い。逆に、男余り率の小さい県の女性の未婚率は高くなる傾向が判る。ただ、県単位で見る限り、極端に高い・低い数字は存在しない。東京区部については、5年前は最悪レベルの数字だったが、男性で10%6%以上、女性でも7%近く一気に3%下がっている。東京都の数字だけで、男性の全国未婚率を0.5%下げているが、全国的にも1%下がり、合わせて1.5%改善している。女性の未婚率は横這いやや上昇傾向である。

 

『東京の未婚率が5年で大きく下がった』

 

 他の県と比較して数字だけを見る限り、そう結論付けざるを得ない。
 大都市圏だけで見れば、男性の未婚率の改善は比較的大きいが、女性の未婚率の改善はバラツキが大きく、目立った改善が見られない。

 

『なぜ東京だけが下がったのか』

 

 5年前までと何が違うのか。
 世代別の特長としては、以下のものが上げられる(年齢は2015年時点)。

 

・就職氷河期:1993年から2005年(33歳~45歳)
・ゆとり世代:1987年生(11~28歳)

 

 時期的な要因としては、以下のものが上げられる。

 

・アベノミクス(円安誘導)による経済の回復

 

 ゆとり世代が影響して来るのは、次回(2020年)以後である。30代は就職氷河期がまだ多数を占めるので、経済的マイナス要因が未婚率にプラスに作用するという事は考えにくい。残るはアベノミクスという事になるだろうか。仮にそうだとして、今後、経済が持続する保証はない。むしろ、量的緩和の弊害が出て、一気にドン底へと落ちる可能性が高いのだ。だとすれば、東京の未婚率低下は一時的な現象に過ぎないという事になる。いずれにしても、東京の未婚率は、経済次第で動くという事である。ただ、それで未婚問題が解決するレベルには程遠い。

 

 生涯未婚率(50歳時点での未婚率)については、全国平均では男性22%、女性13%であり、増加傾向にある。男女の差は僅かずつではあるが、縮まりつつあるようだ。東京都では5%しか差がなく、区部では更に差が少ない。男性は減少、女性は増加しているので、次回は区部の平均で差がほとんど無いかも知れない。

 次に、東京都内の自治体毎の数字についても調べてみた。残念ながら2015年の国勢調査のデータについては、まだ一部の自治体のものしか公開されていない。そのため、2010年のデータをベースにして、2015年の数字があるものについては増減値だけの表示をするに留めた。(2017/1/7 元データを速報値から正式版に入れ換え再計算)

 男余り率に関しては、自治体によるバラツキが想像以上に大きい事が見て取れる。区部に極端に低い数字が集中し、多摩地区西部になるほど高くなる傾向が見られる。トップの羽村市については、都道府県別トップの茨城よりも遥かに悪い数字であるが、あくまで5年古いデータであるため、八王子市の最新データの改善幅と同じだけ(5%)差し引いてみたが、やはり茨城よりもかなり悪い数字であると思われる。多摩地区の多くの自治体が20%前後と、全国平均と同レベルである事が予想出来る。
 区部では独身女性の方が多い区が6あり、目黒区と港区が10%近く5%以上の男性不足になっている。これらの区では、30代未婚率の男女差が僅かしか無く、女性が相当な苦戦を強いられているようだ。
 30代未婚率については、男性の差があまり無いのに対して、女性の差が男余り率に反比例して高くなる傾向が見られる。ただ、男性不足の区については、改善率が大きい傾向があるため、ほとんどは35%を下回っているのではないかと思われる。それにしても十分悪い深刻な数字である。
 生涯未婚率については、男性は減少傾向、女性は増加傾向であるが、男余り率が低い区部では男女が完全に逆転しているものと見られる。

 

 東京の数字が自治体によって大きく違ったり、大きく変化する原因については、転入・転出による影響が大きいようだ。国勢調査の5年前の居住県のデータを見る限り、5年間での東京都への転入が100万人あり、これに加えて300万人近い転居状態「不詳」者がいる。「たった5年の間に何回引っ越ししているんだよ?」と突っ込みたくもなるが、不詳者の半数以上が他県からの転入と見ると、総数は300万人近くになる。その6割が20代~30代である。転入元は神奈川、埼玉、千葉で4割を占める。転出数も転入数の90%程度あるので、転入数の10%程度が純増分となる。地方からの転入は男性の方が多いが、近県からの転入では男女差はほとんど無い。転出の割合が男性の方が多いため、結果的に独身女性が増えているものと見られる。

 

 以上、記事批判のための「男余り率」の訂正だけの予定が、日本の未婚者の状況についての総括となったのは大きな成果である。未婚問題を「解決」するには、30代未婚率を男性20%以下(現在の半分)、女性10%以下(1/3)にしなければならない。「結婚しよう」と思ってから5年も10年も婚活していたのでは、到底達成出来ない数字である。
 景気が良くなったからと言っても、改善するのはせいぜい数%である。10%以上となると、根本的な解決策を実行しなければならない。地域によっては男余りなどの物理的な障害もあるが、カフェ・ジャパンは2年で半数以上が結婚出来るシステムを目指している。「期待」するのではなくて、積極的に加わって応援して欲しい。でなければ、全てが絵に描いた餅で終ってしまう。日本民族はこのまま滅亡するしかない。