【file 2】 育児支援で少子化は解消するのか | 軍師たるもの物申す (世界で唯一の正しい少子化対策指南)

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まじめに少子化問題の解決を提案するブログです。
「少子化問題=未婚問題」
未婚問題は恋愛慎重派(日本人の2/3)の問題です。
その特性に合った婚活環境がなければ、効果は上がりません。
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 大きな課題は山ほどあるが、少子化問題に話を戻そう。日本の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子供の数)は1.4台で推移している。東京都では1.1台と、極端に低い数字となっているが、その対策として、待機児童対策を第一に取り上げる風潮が強い。仮に東京都の待機児童が1万人いたとして(2016年7月で8,466人)、それを解消したら、子供の数が1万人増えるのか。答えはノーである。理由は、受験に落ちて浪人する可能性があったとしても大学を受けない理由にはならないのと一緒である。子供が欲しければ、そんな事はお構い無しに作っている。現実には保育数を1万人増やしても、更に多くの待機児童が沸いて来る。原因は、元々保育所入所率の低い0、1才児の入所希望が増えるからに他ならない。仮に待機児童対策で1万人/年の子供が増えたとして、出生率に換算すると(2016年8月で東京都の人口1362万人)、10%程度増える計算となる。1.1台が、1.2台になるだけである。目標の2.1には遠く及ぶはずもない。全国で見れば、待機児童が0の県もあり、平均で1%以下であるので、更に効果は期待出来ないという結論になる。実際問題、政府が目標としている出生率が1.7でしかないのは、元々十分な効果が期待出来ないという事を認めているからに他ならない。
 乳幼児保育には更なる問題がある。0才児の保育は一人の保育士で3人まで、1才児は6人までと決められている。公的認可保育所の場合、公的補助(税金)が9割、自己負担1割が標準となっているが、0才児の1年間の保育費用は500万円かかっており(東京23区)、母親が400万円の収入があっても、公的補助がそれを上回ってしまう。母親がパートで100万円働くために0才児を保育所に入れると、公的補助と収入の逆鞘が400万円近い。自己負担分が月4万円前後あるので(東京23区の年収400万円世帯モデル)、手元に残る収入は月5万円にしかならない。これでは子供を保育所に預けてまで働く意味はほとんど無い。実際問題、低所得世帯ほど乳児保育は利用しない傾向が強く、住民サービスによる所得の再配分効果に逆転現象(高所得世帯ほど補助金額が高い)が発生している。

 

『0才児は年100万円給付するから、保育所にはいれないで!』

 

 こうアナウンスした方が、余程現実的ではないかと提案する。
 東京都の数字(平成22年「東京都における保育の状況」)のデータによると、0才児の保育所入所率は47%である。この数字は4月1日付で入所している人数で、待機児童がいる限り、年度途中の入所は「無い」とみて良い。産休を最低2ヶ月取ると考えると、入所した0才児の平均育児月数は5ヶ月となる(2・3月に生まれた子供は0才のうちに保育所に入るのはレアケース)。入所した0才児一人当りの平均保育費は208万円となり、0才児全体では98万円の計算になる。これは、0才児の公的保育を廃止して、年100万円の給付に切り替えても保育予算自体はほとんど変わらない事を意味する。年度途中で生まれても、新年度にならなければ保育所に入れられず、その間、子育て支援が受けられない現状を考えれば、生まれてすぐに給付が貰える分、親には大きなメリットがある。
 現状で0才児の公的保育を廃止した場合、1才児の保育枠は0才児の2倍空く事になるので、待機児童問題は完全に解消する。よって1才になった時点での順次入所が可能になる。結果、年度初めの入所数が少なく、年度終りで最大の入所数となり、年度終りの手間(人手)が増えるようにも思われるが、実際は途中で1才児が2才児、2才児が3才児となるため、保育制限が緩和されて実質的に手間は変わらないメリットがある(現状が年度初めが一番大変なのだ)。保育所を探す手間も、保育所の入所時期を考えて何月に産まなければならないといった無駄な苦労も不要となる。
 このような現状を見る限り、公的乳児保育の廃止を前提にした制度の再構築が有効と言える。そのための前提条件として、子供一人につき2年以内の育児休業の職場復帰の保証と、半年以上の子育て経験者に保育ママの資格を認定して0才児3人までの保育を委託出来るようにするなど、周辺環境の法整備が必要である。この育児支援改革は、同時に貧困母子家庭の救済効果も期待出来るメリットも大きい。

 話が少子化問題から逸脱してしまったが、次からが本番である。

 

2016/10/23更新