今年の夏に発売されて結構話題になってますね。
読む前は近畿地方にまつわる怪談話を集めた本なのかと思っていて、文庫化されてからでいいかと思ってたんですが、そうではない独特の構成になってると知って買いました。
本作は実録を装ったフィクションである「モキュメンタリー」という手法で書かれてます。ですのであくまで作り話なんですが、かなりゾワゾワしました。むしろフィクションでよかったって感じです。
有名オカルト雑誌の別冊の編集の仕事をしている小沢は企画のヒントを得るための過去の雑誌や取材資料を集めます。そうするとその中に近畿地方のあるエリアにまつわる話がたくさんあることに気づきます。さらにネットの匿名掲示板の投稿や出版社に届いた読者の手紙にも、その場所が登場していることが判明します。
そこで小沢はフリーライターでオカルトに詳しい「私(背筋)」に協力を依頼してきます。
背筋主観のパートがいくつかあってその間に小沢が集めた記事等が多数掲載されてます。
ひとつひとつの取材記事や読者からの手紙、ネットの書き込みなどが非常にリアルで不気味な雰囲気が出ていてよくできてたと思います。
未解決事件、都市伝説、ネット怪談等の要素がふんだんに盛り込まれていて読み応えもありました。
バラバラに掲載されてる時間軸を整理したり、各記事を連動させて考察することでだんだん真実が見えてくるみたいな感じで考察好きの人にもかなり楽しめる作品だと思います。
巻末に取材資料と書かれた袋綴じがついてます。ある程度読んだ段階で開封して見たらより本文の気持ち悪さが増すと思います。