書籍 『高校事変 XI (角川文庫)』松岡圭祐 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

映画や本、テレビ、音楽のことやイラスト、似顔絵等をきままに書いてます。





 【卒業か死か――。本土最終決戦へ。慧修学院高校襲撃事件後、日本で緊急事態庁が発足。喫緊の問題を次々と解決に導いたことで、内閣支持率は急激に回復していた。国内が落ち着いたかに見える中、結衣の異母妹である凜香は「探偵の探偵」の紗崎玲奈の行方を追っていた。やがて結衣が帰国を果たし、緊急事態庁を裏で操っていた優莉架祷斗が本性を露わにしていく――。互いの思惑が交錯する中、本土最終決戦に向けて賽は投げられた。ついに大詰めの11巻!(「BOOK」データベースより)】

 高校事変シリーズ第11弾です。

本作は10作目で話に上がっていた「緊急事態庁」が発足して1カ月が経ったとこから話が始まります。冒頭で「宮村内閣と緊急事態庁発足後の一ヶ月」という新聞の社説で現状が描かれます。
 ・国内に溢れかえってる中古の車両、家電、精密機器などを従来のリサイクルに回すのではなく、そのまま外国に輸出する方針が確立。これによりかなりの貿易黒字を生み出す。
 ・警察庁と連携して重大犯罪を未然に防ぐ体制を強化。それに伴い刑事罰の厳罰化を実現。
 ・資源エネルギー庁を後押しし、海洋基本計画の飛躍的な進歩につなげる。資源採掘への出資を働きかけ、その結果排他的経済水域に位置する5箇所の油田から原油を掘り当てることに成功。これにより原油を自給できるようになり飛躍的な経済復興を果たす。
 などなど多くの成果を上げ宮内内閣は90%近い支持率を記録し、緊急事態庁もほぼ国民全員から評価されてます。しかしその実態は世界中のテロ組織を束ねる優莉架祷斗が裏で全ての実権を握っています。

 架祷斗は「税金を食い物にする役立たずは一掃」と日本人大量虐殺計画を立てます。対象となるのは55歳以下で年間所得百万円以下。30歳以上54歳以下の無職。在日外国人。左翼。反体制派。野党議員とその支持者。不登校の児童などなど。方法はコロナ後蔓延してるオメガウィルスのワクチンとして検出不能な毒物を含むサイル種という別のワクチンを打つというやり方。

 さらに国際手配されてる中国人のウェイ五兄弟を使って東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5大都市を原爆で破壊する計画を立てます。この計画を事前に察知して住人を避難させることによって日本政府と緊急事態庁の株をさらに上げる企みです。

 今作から一気にスケールが大きくなって日本全国を巻き込む戦いに発展します。はたして結衣たちは架祷斗の計画を阻止することができるのか?

 今シリーズは終盤に向けて松岡圭祐さんの他の作品のキャラクターも続々登場します。「探偵の探偵」シリーズや「千里眼」シリーズのキャラも登場し、松岡作品の集大成のような側面もあります。次の最終巻に向けてノンストップで話は怒涛の展開をみせます。

 ラストは完全に最終巻に続く終わり方をしてるんですが、これが最高にテンションブチ上がるとこで終わってます。一刻も早く次巻を読みたいですね。