【三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔秡いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?そもそも答えは存在するの?面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。(「BOOK」データベースより)】
2009年に刊行された作品です。『読売新聞』の夕刊に掲載されていたようですね。
家電量販店に勤める遠藤二郎の副業はエクソシスト。ある日、昔憧れてた近所のお姉さんからひきこもりとなってしまった息子・眞人の悪魔祓いを依頼される。もともと他人のSOSを見て見ぬ振りができない遠藤は、しぶしぶこの依頼を引き受けることにします。
一方、品質管理担当者の五十嵐真は、300億円もの損失を出した株誤発注問題が、自社システムに関わっているかを調査するために取引先に出向くが、突然、西遊記に登場する妖怪の幻覚を見るようになってしまう。
この2つのエピソードが交互に描かれてます。
最初はこの2つのエピソードがどう関係してるのか全然見えないんですが、あるシーンで一気につながる瞬間は快感すら覚えました。
400ページ以上の長編で百数十ページたってもさほどの展開もないんですが、内容的にはすごくおもしろくて退屈は一切なかったです。結果的にこの作品で描かれてる事件はさほど大したことでもないんですが、それが文章力と構成力でここまでおもしろくなるのかと心底感心しました。
今まで読んだ伊坂作品の中で一番気に入りました。