こんにちは!
田舎暮らしを断念した過去があるものの、
また半自給自足生活を目指して
自然栽培的農業や微生物、
DIY(軽トラキャンピングカーや家作り)などの
學びを続け奮闘しているニモです!
よろしくお願いします
麻
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麻 第 三
あさを植ゆる法、先たねをゑらぶ事、白きが雄麻なり。
白しといへども、齧みて心みるにかるくうるほいなきは粃(シイナ、くずの事)なり。
白く堅きをよしとす。
これはいかにも良々田(キワメテヨキタ)を好む物なり。
中分以下の畠には作るべからず。
いかほども深く耕こなす事、力の及ぶほど塊少しもなき様に委しくこしらへたるにし
かず。
十耕蘿蔔九耕麻とて九度も耕しこなす物と云ふなり。
(※蘿蔔は大根の事)
又竪橫(タテヨコ)七遍づゝ犂き(スキ、耕す事)かきすれば麻に葉なく、本末なりあひて節少しもなく、 皮うすくながく出来ると云へり。
凡種子を一段(反)に七八升ほど蒔くを中分とするなり。
厚過ぐれば細くして長からず。
薄ければ皮あらく、枝さきて苧(オ、麻で作る糸)あしし。
蒔く時なげうつべからず。
節高しと云ひ習はせり。
地のぬれたるに蒔きたるは生じて瘠せる物なり。
地の白くかはきたる時蒔くべし。
又蒔く時分に旱せば、先たねを水に漬けをき、 芽生じて蒔くべし。
但雨水をためをきて漬くれば早く生じ、井の水に浸せば遅し。
水より上げて場にむしろをひろげ、たねを置き、上に又莚(ムシロ)をおほひ置けば、一夜の間に芽出づる物なり。
たねに早晩あり、早きは二月下旬三月上旬雨を見かけて麻を蒔くべしと云へり。
又きは麥(麦)黄なる時、麻を蒔き、麻黄なる時麥を蒔くとも云ふなり。
早麥の色付く時が麻を蒔くべき最中としるべし。
蒔きて牛馬糞を多くおほひ、土をかけ三日は雀を追ふべし。
又麻地は大根畠の跡を耕し、牛馬糞のよく熟し枯れたるを多く入れ犂かやし、塊少しもなく細かにかきこなしをくべし。
若し塊あれば枝さきて節高し。
中をかき芸る(クサギル、草刈りの事)事、苗四五寸の時まで二遍にしてやむべし。
豆は花を芸り、麻は地を芸るとて、麻畠は、草の未だ目に見えぬに早芸る物なり。
同じく大麻を作る法あり。
子を多く収めて油にし、甚だ厚利の物なり。然るゆへに油麻(ユマ)とも云ふなり。
是は女麻をうゆる物なるゆへ、黒まだらなるたねをゑらぶべし。
深く耕す事二三遍、いかにも薄く蒔くべし。
三月上旬を上時とし、四月を中時とし、五月初を下時とす。
糞し芸り、其外手入前に同じ。
苗ふとるにしたがひて間引くべし。
肥地ならば一尺五寸二尺ほど間ををき、 雄
麻のあるを悉くぬき去るべし。
常に畦中をきれいにすべし。
しからざれば子多くならず。
是土地によりて過分に實りて油の多き事、からしにおとらぬ物なり。
燈油にして光りことによし。
五穀を作る畠の畔、道ばた、牛馬などのおかす所に胡麻、白蘇、油麻を作るべし。
麻は取分き心葉を牛馬くらへども、却ってかぶふとりさかへ、子多き物なり。
又大麻をうゆる畦中にかぶのたねを
まぜて蒔けば根甚だふとし。
又油麻を作る事、常の麻地に同じ。
こゑは何にても多く入るべし。
雄麻をぬき去りて一本づゝの間、凡五尺地の肥瘠によりて少しの見合はあるべし。
麻生じて五六寸の時、蠶(カイコ)の糞又は鶏の糞を多く入るべし。
なき時は人糞もよし。
力の及ぶ程肥し、後は一本づゝ培ひ、風雨にたをれずしてさかゆれば、一本の實二升もある物なり。
旱せば流水を汲みてそゝぐべし。
流水遠き所ならば井の水を汲曝し、熟しをき、冷気を去りてそゝぐべし。
さのみさいさいは澆ぐべからず。
實裏て切取る事は霜の下るを見て甚だふとくば鋸を以て引切るべし。
枝を落し干乾し蕎麥や胡麻をうつごとくしてこなすべし。
又小豆の跡にうゆれば、よくさかへ取り實多き物なり。
又夏至(五月の中なり)の前十日にうゆるともあり。
山付の土地の深きをよく耕し廣く作るべし。
鹿鳥も付かず、作りよきものなり。
意訳、現代語訳
麻を植える方法について、まず種を選ぶことが重要です。白っぽい種が雄麻です。
白く見えても、かじって試してみて、軽くて乾燥しているものは中身が詰まっていないくずなので注意が必要です。
白くて硬い種を良いとします。
麻はとても良い田畑を好む作物です。
中等以下の畑には植えない方が良いです。
できる限り深く耕し、力の限り土の塊が残らないようにしっかりと耕すことが重要です。
『大根を十度耕すなら、麻は九度耕せ』という言葉があるように、麻を植えるには九度も耕すべきだと言われています。
縦横に七回ずつ耕して土をならすと、麻に葉がなく、茎が均一に成長し、節がほとんどなく、皮が薄くて長く育つと言われています。
おおよそ種子を一反(約300坪)の土地に七〜八升ほど蒔くのが適量とされています。
種が厚く蒔かれ過ぎると、麻が細くなり長く育ちません。
逆に、薄く蒔かれ過ぎると、皮が粗くなり、枝が多く出て、糸にするための繊維が良くありません。
種を蒔く際に、雑にばらまいてはいけません。
これは、節が高く育つと言われています。
湿った土に蒔いた場合は、育つことは育ちますが、ひ弱なものになります。
土が乾いて白くなった時に種を蒔くべきです。
また、種を蒔く時期に日照りが続いている場合は、まず種を水に浸しておき、発芽させてから蒔くべきです。
ただし、雨水をためておいてそれに種を浸せば早く発芽しますが、井戸水に浸すと発芽が遅くなります。
水から取り出した種は、広げたむしろの上に置き、その上にさらにむしろをかぶせておくと、一晩で芽が出ます。
種には早蒔きと晩蒔きがあり、早蒔きの場合は二月下旬から三月上旬にかけて、雨が降るのを見計らって麻を蒔くべきだと言われています。
また、麦が黄色くなり始める時期に麻を蒔き、麻が黄色くなり始める時期に麦を蒔くとも言われています。
早麦が色づく時期が、麻を蒔くのに最適な時期であると知るべきです。
種を蒔いた後は、牛馬の糞を多くかぶせ、土をかけてから三日間は雀を追い払うべきです。
また、麻を植える畑は、大根を栽培した後の畑を耕し、よく熟成して枯れた牛馬の糞を多く入れてから耕し、塊が少しも残らないように細かく砕いて準備するべきです。
もし土の塊が残っていると、麻の枝が多く出て節が高くなります。
草刈りは、苗が四、五寸(約12~15cm)になるまでに二度行い、それ以上はしなくてよいです。
『豆は花の時期に草を刈り、麻は地面に草が生える前に草を刈る』と言われるように、麻畑では草がまだ目に見えないうちに早めに草刈りを行うものです。
また、大麻を作る方法があります。
大麻の種子を多く収穫し、油にするのは非常に利益のある方法です。そのため、この麻を『油麻(ゆま)』とも呼びます。
これは雌麻を育てるため、黒まだらの種を選ぶべきです。
深く二、三回耕し、できるだけ薄く種を蒔くべきです。
三月上旬が早蒔きの時期で、四月が中蒔きの時期、五月初めが遅蒔きの時期です。
肥料を与え、草刈りをするなどの手入れは、通常の麻と同じです。
苗が太くなるにつれて間引きを行います。
肥沃な土地であれば、一尺五寸から二尺(約45~60cm)の間隔をとり、雄麻があればすべて抜き去るべきです。
常に畝間をきれいに保つことが大切です。
そうしないと、種子が多くならず、十分な収穫が得られません。
この麻は、土地によっては非常に実りが良く、得られる油の量はからし油に劣らないほどです。
灯油にすると非常に明るく光ります。
五穀を作る畑の畔(あぜ)、道端、牛馬などが通る場所には、ゴマ、白蘇(シソ)、油麻を植えるべきです。
麻は特に心葉を牛や馬に食べさせても、逆に株が太り盛んになり、種子が多く実るものです。
また、大麻を植える畝の間にカブの種を混ぜて蒔くと、根が非常に太く育ちます。
油麻の栽培は、通常の麻畑と同じです。
肥料は何であれ多く与えるべきです。
雄麻を抜き去り、一本ずつの間隔を取り、畑の肥沃さに応じておよそ五尺(約150cm)程度の間隔を調整します。
麻が五、六寸(約15〜18cm)ほど育った時には、カイコの糞や鶏の糞を多く施すべきです。
それが無ければ人糞でも良いです。
力の及ぶ限り肥料を与え、その後は一本ずつ丁寧に土寄せを行い、風や雨で倒れないように育てれば、一株から二升もの実が収穫できることもあります。
旱魃(かんばつ)の際には、流水を汲んで水を注ぐべきです。
もし流水が遠い場所なら、井戸水を汲んで天日で晒し、冷気を取り除いてから水を注ぐべきです。
ただし、あまり頻繁に水をやるべきではありません。
収穫の際には、霜が降りるのを見計らって切り取ります。非常に太い場合は鋸を使って切り取るべきです。
枝を落として乾燥させ、蕎麦やゴマを打つようにして処理します。
また、小豆を収穫した後に麻を植えると、よく成長し、収穫量が多くなります。
さらに、夏至(五月中旬)の前十日(つまり五月上旬)に麻を植えることもあります。
山沿いの土地で深く耕せる場所であれば、広く作るべきです。鹿や鳥も寄り付かず、栽培しやすい作物です。
感想など
繊維や紙用の「麻」と油を採る「大麻」「油麻」とで少し栽培方法も違うようですね
また自然農法家YouTuberの高内さんも仰っていましたがよく耕すと言っても今のようにトラクターなどは無いのである程度で良いと思われます。
また「耕す」事と「犂く」事は微妙に違い
耕すは深く耕転させるイメージ
犂くは細かく砕くイメージが近いと思われます。
肥料に関しても重要で、C\N比や吸収の速さで考えると現代の化学肥料を大量に与えるのと
江戸時代の牛糞、人糞などを少々多く与えたのでは全然効果が違うと思われます。
その辺りも気をつけながら参考にしていただければ幸いです
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