◆映画 「闇の子供たち」 | のんほい BANGKOK

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生粋の東三河人がタイの首都バンコク郊外、バンボー郡から綴る。

 タイを舞台とした幼児売買春や臓器売買をテーマとした映画「闇の子供たち」。昨年のバンコク国際映画祭で上映される予定だったのが、直前に何らかの圧力で上映中止となった作品です。日本では一部の映画館で昨年から上映されています。また2月にDVDが発売となりさっそく購入して来ました。原作の本は昨年すでに読んでいます。本と映画の間でいくらかの表現の違いはあるものの、本を読んだ時と同じように衝撃を受けました、、、。

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 ドイツ人やアメリカ人、日本人が子供を買ってプレイする場面。原作どおりに表現出来ないことはわかっていても、ギリギリのところで「よくぞここまで!」といった感想です。日本でPG-12(12歳以下の鑑賞には不向き)指定となっていたのはこれらの描写のためでしょう。特によくもまあ、あんな(原作どおりの)ブタのようなドイツ人を探して来て出演させたものです(喝采!)。日本人はまたひと目でわかるメガネをかけたおぼっちゃま風。
 子供が犯されるシーンはことに難しい撮影だったと思いますが、本人や親にちゃんと説明、納得してもらったうえでのことと聞いています。
 原作と映画の違いといえば、細かいことですがまず「空港」。日本から心臓移植を受けるため来タイする梶川親子。本には「ドンムアン空港」とは書いてないけど「JALだから第2ターミナル」と書かれていてドンムアンとわかります。もっとも原作の初版が出た2004年当時、まだスワンナプーム空港はありませんでした。私は当然、あの懐かしいドンムアンの薄暗い到着ホールをイメージして本を読んでいました。
 そしてクライマックスシーンは、生きたまま心臓を取られるセンラーという女の子が病院へ入るところ。 本では夜11時頃のことで、タイトルどおり「闇」の中を病院へ連れ込まれる。黒塗りの乗用車で到着し、迎えるのは天使のような?看護婦さん。センラーは赤いフリルのついた白いワンピース姿で闇の中にあっても目立つ。日本人記者とカメラマンは草陰に隠れてこの様子を見、カメラに収める。私のイメージした病院は、たまにお世話になるバンナーのタイナカリン、、、(ごめんなさい!)あそこの救急窓口を想像してしまいました、、、。
 映画では真っ昼間にグレーのワゴン車で到着し、迎えるのは執刀する男の医師「チャワリット先生」自身。センラーの服はピンク地に白の水玉のワンピース。ちょうどこれから取られる心臓あたりに花の刺繍が。記者とカメラマンはタクシーに乗車、走行しながら見てシャッターを切る。ロケに使われた病院は小さな病院のようで、映りこんでいる病院の車のボディに書かれたタイ語の名前から「ロンパイヤバーン・シープラチャ」と読めます。「SRIPRACHA HOSPITAL?」どこの病院でしょうか?
 余談ですがカメラマンが使っているカメラはロジャナにあるN社のものでした。
 基本的にはタイ語で日本語の字幕スーパーが出て、日本人キャストもそれなりに指導を受けてタイ語を喋っています。ただ日本人同士や日本でのシーンは当然、日本語のみ。ここにタイ語のスーパーを入れれば日本人でもタイ人が観てもほとんど理解出来るのに、、、残念です。
 また昨年のバンコク映画祭での上映が直前に取り止めとなった理由のひとつが「撮影の許可がされていない」だったようですが、空港やスクンビット沿いのソーイ、公園、、、私たちにも見慣れた場所であり、けっして隠れて無断で撮影ってことはないと思いました。出演しているタムルアット(警察官)だって、おそらくホンモノの警察官がエキストラ出演してるんだろうし(いいアルバイトですね)。どうも上映中止の理由がいまだあいまいで釈然としません。
 出来るなら近いうちにタイの映画館でも正式に上映されるといいなと思います。もっともその前にコピーのDVDなんかが出回るんだろうか、、、?