五泉で発車時刻を待つ
こんにちは。
本日は蒲原鉄道にご乗車いただきます。
蒲原(かんばら)鉄道なんて聞いたことない?
新潟県にあった地方私鉄ですが
位置的にも、車両や運用でも
目立たない鉄道でした。
信越線の加茂と磐越西線の五泉を結ぶ
延長22㎞の電化路線でしたが、1985年
五泉・村松間4.2㎞を残し大部分が廃止。
かくいう私も、残念ながら
残りの4.2㎞にしか乗れませんでした。
訪問したのは1990年、1993年の2度です。
五泉を発車すると大きく右にカーブし、
あとは終点の村松まで直線です。
カーブを曲がり終わってちょっとで
唯一の中間駅、今泉です。
五泉からは1㎞しかありません。
村松まで行った電車が戻ってきました。
わずか4㎞、8分しかかかりません。
列車本数は意外に多く
朝夕は1時間に2往復、
日中は2時間に3往復走っていました。
写真の奥に見える跨線橋は
磐越西線の五泉駅のものです。
ほとんど全線、国道が並行しています。
村松は加茂まで路線があった時代でも
沿線唯一の町であり、
唯一の交換可能な駅でした。
名物は鯉くらいしかなく
鯉が名物ということは他に何もない、
ということと同義でもあります。
架線柱の看板も鯉の釣堀です。
運転士のシルエットしか見えませんが
回送ではありません。
村松に電車が到着しました。
ホームは島式で両側に線路がありました。
かつての交換駅の名残ですが
既に片側しか使われていませんでした。
先ほどからご乗車いただいている電車は
モハ61型です。
1958年、西武鉄道から移籍しました。
このときから旧西武色が採用されましたが
オレンジと茶色の塗分けを見て旧西武色と
判る人はマニアですね。(または古い人?)
私も西武時代は見たことありません。
さて、村松まで来ましたので、
構内を見てみましょう。
ED1型です。
どう見てもアメリカンですが国産です。
(日車+東洋電機)
見る角度で表情がちがうのは
ボンネットが片側に寄り、乗務員扉が
設置されているせいですね。
この写真、後ろに写っている観光バスが
とても古くさいデザインですね。
前面窓にピラーがあり、車体の途中から
ハイデッカーになっています。
私はバスファンではありませんが
ちゃんと撮っておけば良かった。
後方の車庫内に魚電車が見えます。
モハ31か41ですがどっちだろう?
この日は動いていなかったので
別の日に撮影したものをご覧ください。
モハ31型 1993.4.29
ゴールデンウイークですが
山に残雪が見えます。
ちょっと庫内を覗いてみましょう。
この日はモハ61が納まっていました。
クハ10
一見してもと気動車と判る車体です。
台車も特徴的です。
唯一のクハで、朝のラッシュ時に
2連で運用されていました。
モハ71
ルーツは西武の前身、武蔵野鉄道です。
クハ10とペアを組み、
朝に1往復していました。
モハ11形
村松~加茂廃止で廃車になりました。
どこか公園にでも展示してあったのかな?
ドア上の笠付きの電灯がおもしろいです。
晩年の車両たちは
だいたいこんなもんですが…
地方私鉄の車庫の裏は
マニアにとってのワンダーランドです。
もう原型がなんだか判りませんが…
こちらは雪国の必需品ですね。
時のたつのも忘れて遊んでいると
発車のベルが聞こえました。
モハ31が五泉に向けて走っていきました。
蒲原鉄道が忘却の彼方に走り去ったのは
1999年10月でした。
もう18年も前のことなんですね。
本日もご乗車ありがとうございました。