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学びながら呑みログ

酒場で学び、酒を楽しむ。
呑んでいる酒を楽しく学ぶブログ


酒呑み散歩 高円寺・馬力(後編)

高円寺を呑み歩く。

大衆酒場「馬力」で「馬力ハイ」と「ばくだん」のソーダ割りを頼む。

「馬力ハイ」はガラナエキスで割っている。

ガラナは、種に、カフェインやタンニンが豊富に含まれて、疲労回復や滋養強壮に用いられる。だから「馬力ハイ」。

ガラナエキスを使った炭酸飲料(ガラナ飲料)は原産国のブラジルではよく飲まれる。

1958年にアメリカから入ってきた「コカ・コーラ」。危惧を感じた中小の清涼飲料メーカーの組織「全国清涼飲料協同組合連合会」は、ガラナ飲料に目をつけた。コーラに対すべく、ブラジル大使館の監修のもと、日本人の味覚にあうようなガラナ飲料を作った。「コアップガラナ」。「Co-operation(協同)」と「up(昂揚)」の造語。日本の気概だ。

だが、コーラに負けてしまった。ただ、コーラの製造、販売が他の都府県より遅れた北海道では勝った。おかげで、現在でもコーラより飲まれている。北海道人愛飲の飲料だ。

2010年に、50年を迎えた「コアップガラナ」が、当時のボトルで再発売。少しずつだが、健康飲料として目だつようになった。

ウイスキーをソーダで割るとハイボール。コーラで割るとコークハイ。焼酎をソーダで割ると焼酎ハイボール、酎ハイ。なるほど、焼酎を「コアップガラナ」で割るとガラナハイ。とっても旨い。

あと、「ばくだん」は前回に書いたが、「ばくだん」という酒は京都以外にもある。

東京で、「バクダン」というと焼酎のビール割り。韓国で「爆弾酒」というとウイスキーのビール割り。まあ、京都も東京も韓国もただのちゃんぽん。

あと、戦後に「バクダン」という酒があった。

戦中、サツマイモを原料にした航空燃料のエチルアルコールを作った。焼酎と同じ蒸留製法で作ったので呑める。だが、大事な燃料なため、呑まないようにメチルアルコールを混ぜた。さらにまちがわないようにピンクに着色。戦後、この燃料が流れて、脱色、気化、メチルアルコールを除いて作った焼酎。まあ、そこまでして呑みたいわけ。ここまではいいが、うまく除けなかったり、めんどいから除かなかったりした「バクダン」を呑むと、失明。

でわでわ。

酒呑み散歩 高円寺・馬力(前編)

高円寺を呑み歩く。

「一徳」と「バクダン」が火曜定休のために入れなかった。残念。火曜定休って多いのね。また時間が余ったのでぶらぶら。駅前で、神田の大衆酒場「馬力」を見つけたので入る。色々と楽しい酒が多い酒場だ。

「バクダン」つながりで「ばくだん」のソーダ割りを頼む。

「ばくだん」は、その赤色から「あか」とも呼ばれる、京都下町で有名な地酒(?)。赤ワインと甲類焼酎(ホワイトリカー)を混ぜて作る。地元のサントリーの「赤玉スイートワイン」でないといけないらしい。昔はビールも混ぜていた。酒場によってオリジナルレシピがある大衆酒場の酒。

ストレート以外に、サイダーなどで割る。けっこう甘い。ストレートで呑むときは、「デンキブラン」と同じようにビールをチェイサーに呑むらしい。

2008年にサンムーンというメーカーが商品化。京都以外でも呑めるので、ぜひ。

ちなみに「赤玉スイートワイン」は、サントリーの創業者が1907年に「赤玉ポートワイン」という名で出した。ラベルに赤い丸(太陽)が描かれているので「赤玉」。なぜ「ポート」から「スイート」に?「ポートワイン」は「ポルトガル産ワイン」という意。揉めて「スイートワイン」に改めた。

全国にもあるのだろうか、下町の地酒。あったら、ぜひ教えてほしい。

でわでわ。
CANチュー

学びながら呑みログ タカラCANチューハイの件

「11種類の樽貯蔵熟成酒」という缶に書かれた謳い文句どおり、自社の焼酎「純」を使ってる。

「純」は1977年発売後、ロングセラーの甲類焼酎。

焼酎は、戦後のバクダンやカストリ焼酎(粗悪な密造焼酎)の悪いイメージ、その後のウイスキーブームによって虐げられていた。そのなかで宝酒造が、焼酎メーカーの意地で作ったのが「純」だ。サントリーの「樹氷」とともに、「純」は、焼酎の呑み方を変えた。甲類焼酎は、その製造方法から無味無臭だが、「純」は、大麦などの蒸留酒を混ぜて作っているので、ほのかな甘味がある。ストレートで呑んでも旨い。

戦後は、安いが旨くない焼酎を呑むために、梅のエキスやシロップでごまかしていた。ごまかさないで、安くて旨い焼酎「純」によって酎ハイのブームが起きた。焼酎を炭酸水で割る。ウイスキーが高くて呑めない、庶民の呑みもの、焼酎ハイボール。

その「純」を出した宝酒造が、1984年1月に、気軽に呑める初の缶入り酎ハイ「CANチューハイ」を出した。商品としての酎ハイは、実は東洋醸造の「ハイリキ(当時はハイリッキー)」だ。瓶入りで1983年に発売。その後に「CANチューハイ」が1984年1月発売。缶入りの「ハイリキ」が1984年7月発売。ややこしいが、缶入りは「CANチューハイ」が初。

最近の缶チューハイはウォッカばかり。ウォッカは外国からの大量輸入で、国内製造の焼酎より、はるかに安い。だが、だが、酎ハイを呑むなら、やっぱり焼酎がいい。ウォッカと違って濾過してないぶん、味わいがある。

糖類が入ってるのに、さっぱり、甘くなく、最後に「純」の味が残る。ほんとうに酎ハイという名が合う。アルコールが高めなところもいい。ぜひ。

レモンが定番だが、プレーンも勧める。カットレモンを添えて、ぜひぜひ。

タカラCANチューハイ(レモン):
原料:焼酎・レモン果汁・糖類・香料・紅花色素
アルコール:8%・果汁:3.3%・分類:リキュール

バクダン:
戦中、サツマイモを原料にした航空燃料のエチルアルコールを作った。焼酎と同じ蒸留製法で作ったので呑める。だが、大事な燃料なため、呑まないようにメチルアルコールを混ぜた。さらにまちがわないようにピンクに着色。戦後、この燃料が流れて、脱色、気化、メチルアルコールを除いて作った焼酎。まあ、そこまでして呑みたいわけ。ここまでいいが、うまく除けなかったり、めんどいから除かなかったりしたバクダンを呑むと、失明。


酒呑み散歩 高円寺・きど藤(後編)

高円寺の立ち呑み屋「きど藤」では、東京下町の地酒(?)が呑める。

最近、酒場で呑めるようになった「ハイッピー」。

「ハイサワー」で有名な博水社のビアテイスト割材飲料だ。実は、博水社も、「ホッピー」のようなビアテイスト割材飲料を出そうとしたが、色々とあってやめた。その後に「ハイサワー」を出してサワーブームを作った。

2006年に、改めて「ハイッピー」というビアテイスト割材飲料を出した。呑み方は「ホッピー」と違って、氷を入れて混ぜるように勧めている。つまりサワーの一種。ビアテイストのサワー。「ホッピー」とコンセプトが違う。正しくは「ハイサワーハイッピー」という。

いまいち酒場で見なかったが、最近は店頭にノボリが立って、呑めるようになった。

そして最近、酒場でやたら呑む「バイス」。

清涼飲料メーカーのコダマ飲料が出している割材飲料だ。赤シソの味。「梅酢」という意。だが、酢は入っていない。あらかじめ炭酸の入ってるコダマサワー、炭酸の入ってない原液がある。原液は炭酸水を混ぜて作る。

昔は酒場だけで呑めた。業務流通のみで一般では買えなかったが、今は通販で買える。家で呑めるので、ぜひ。

昔の大衆酒場で呑まれていた酒。今は、懐かしいのか、新しいのか、また呑まれている。チェーン酒場「加賀屋」が「ホッピー」の後に押してるのが、「バイスサワー」と「クエン酸サワー」。ブームになるか。

でわでわ。
ワンカップ

学びながら呑みログ 乾杯条例の件

呑み席に座って、まず一言。はじまりはビール。とりあえずビール。

ビールで乾杯ではなく、地酒で乾杯を勧める、いわゆる「乾杯条例」が全国に広がっている。地酒の普及と地域文化の継承が目的ということで、始まりは2013年1月の、京都市の「京都市清酒の普及の促進に関する条例」だ。京都市は施行後に日本酒出荷量が増えたらしく、忘年会、新年会の前に、あちらこちらで条例が決まった。

各自治体によって、条例内容は色々で、罰則はない。

いずれも議員提案が多く、あきらかに業界へのアピール。

日本酒の消費量が減ろうと、地場産業が減ろうと、条例で、議会で個人嗜好を決める前に、他に考えられないのか。ゆるキャラの次は乾杯条例。こういうことで議会が盛り上げるのはどうかと思う。なぜ、ビールを呑むのか。なぜ、日本酒を呑まないのか。なぜ。もうちょっと考えてみたらと思う。

こういうことをやると、もっと日本酒は嫌われる。

でわ。



写真の「大関」と内容は関係ないので。

酒呑み比べ 名酒センター編(再配信)

名酒センターは、全国の40の酒蔵が共同で営むアンテナショップ。

色々な清酒が1杯(60ml)200~円で呑める。3杯(1合)で100円引きの500円。15杯(5合)を呑んで旨かった清酒を買う企画。

収録時の情報のため、現在はない清酒もあるので。
ハイサワー

学びながら呑みログ 分野調整法の件

「ハイサワー」「ハイッピー」の博水社は、創業当時はラムネなどの清涼飲料メーカー。1961年のコカ・コラーの国内発売によって打撃を受けた。そして試行錯誤の結果、1980年に割材飲料の「ハイサワー」を作った。

1977年に、宝焼酎が安価の甲類焼酎「純」を発売。「養老の瀧」、「つぼ八」、「村さ来」などのチェーン酒場で、「ハイサワー」がたくさん呑まれた。

ちなみに、当時、ガラス瓶だった「ハイサワー」の大量製造、全国流通を考えていた博水社のところにペットボトルでの製造下請を申しでたのがジャパンフーズ。あの「ハイサワー缶」を作っている最大手のメーカーだ。ここまで縁が続いた。「ハイサワー」も、「ハイサワー缶」も、こんなに売れると思わなかっただろう。

割材飲料がこんなに売れると、大手のメーカーも続くだろうが、なぜか続かなかった。

1977年施行の「分野調整法」のおかげだ。正しくは「中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律」という。中小企業保護と、共存共栄のため大企業に配慮を求める法律だ。

中小企業によって成り立っている、ラムネ、ジャンメリー、チューペット、瓶のコーヒー牛乳、瓶のクリームソーダ、そして割材飲料の6種商品に限って、全国清涼飲料協同組合連合会と全国清涼飲料工業組合連合会の申出で大手のメーカーは作れなかった。

博水社も、ホッピービバレッジも、「ホイス」の後藤商店も、「バイス」のコダマ飲料も、この法律のおかげで今がある。

酒好きにとって、ありがたい法律もある。

でわ。

酒呑み散歩 高円寺・きど藤(前編)

高円寺を呑み歩く。

11時開店の「きど藤」が、開いてない。

「きど藤」は2012年開店の新しい立ち呑み屋。赤羽の「いこい」、武蔵小杉の「晩杯屋」のながれを受け継ぐ有名な立ち呑み屋。

ようやく14時開店。

中生と中瓶(赤星)390円。酎ハイ250円、サワー270円。他に「バイス」と「ハイッピー」のセット310円。「ホイス」と「ホッピー」のセット350円など。ナカは190円。肴は100~250円。だいたいが100円台。渋谷の富士屋本店の「ハムキャ別」がある。

東京下町の地酒(?)の「ホイス」と「ハイッピー」を頼む。

ウイスキーをもじって、ホイスキー。転じて「ホイス」。

漢方薬に使われるトウヒ、チンピ。コンズランゴウ、チラータ。そしてリキュール、ワイン、ズブロッカなどが入った割材飲料だ。焼酎に「ホイス」と炭酸水で割ると、ハイボールっぽくなる。

東京の後藤商店が1955年頃に作った。当時、ビールやウイスキーは高く、庶民は安い甲類焼酎を呑んでいた。当時の焼酎は粗悪で、香りも味わいも良くなかった。体にも悪いだろうということで、安くて体に良くて旨い酒を呑んでほしくて「ホイス」を作った。

香料、酸味料、調味料、着色料、保存料も入ってるので、ほんとうに体に良いか…。

ただ、「ホイス」は酒場でしか呑めない酒だ。後藤商店の方針で一般小売はしてない。また、置いてる酒場も少ないので、「幻の酒」「謎の酒」と呼ばれている。

でわ。続く。
ビール

学びながら呑みログ クラフトビールの件

地域ブランドを名のるので、地ビール。

1994年の酒税法改定で、ビールの最低製造数量基準が下がって、ビールが作りやすくなって、地ビールのブームとなった。観光地で色々な地ビールがでてきた。高かった。旨くなかった。

しばらくして、クラフトビールと名を変えて、再びでてきた。外国のクラフトビールを参考に、個性の出しやすいエールビールが多い。やっぱり高いが、旨くなった。外国でも、その旨さは認められている。

だが、日本では、まだまだ呑まれてない。

日本ではビールといえば、ラガービール。ラガービール(正確にはピルスナー)がもっとも呑まれてる。ビールメーカーの作っているビールのほとんどがラガービール。

ラガービールとは熱処理したビールではない。ラガービールは下面発酵のビール。対して、上面発酵のビールがエールビール。酵母と、醸造の温度や時間の違い。歴史はエールビールのほうが長い。

ラガービールはアルコールは低く、すっきり、シンプルな味わい。料理を食べながら呑む、水のようなかんじ。エールビールは、アルコールが高く、個性のある、ふくよかな味わい。

だが、そこまでの味わいをビールに求めているか。

クラフトビールは、小規模製造のため、数量が少ない。酒屋もあまり扱ってない。こだわって造っているので保存方法に気をつけたい。賞味期限も短い。

だが、そんなにめんどうなビールを求めているか。

発泡酒、第3とか第4とかのビールっぽいモノもでてきた。ビールは水のように呑む。気軽に「とりあえずの一杯」がビールに求められている。

だが、まあ、たまには。

でわでわ。

酒呑み散歩 高円寺・エルパト

高円寺を呑み歩く。昼食でビールが呑みたりなくて、時間もちょっと余ったので。

「高円寺麦酒工房」は、今日は火曜で定休。

ということで、クラフトビールの置いてある「エルパト」に入る。2010年オープンのアメリカ料理と、クラフトビールが楽しめる酒場。在米15年のオーナーがアメリカ料理をふるまう。

「志賀高原ビール・IPA」と「鬼伝説ビール・金鬼」を頼む。

昔は地ビール、今はクラフトビールと呼ぶ。1994年の酒税法改定で、ビールの最低製造数量基準が下がって、ビールが作りやすくなって、クラフトビールのブームとなった。観光地で色々なクラフトビールが呑めた。最近は見かけない。ホッピービバレッジの「日本橋ビール」を呑んだくらい。

「志賀高原ビール」は長野のクラフトビール。製造は、清酒「縁喜」の酒蔵・玉村本店。1805年創業の古い酒蔵だ。2004年にクラフトビールを造り始めた。「IPA」は定番銘柄。その香り、味わいは濃い、苦いビール。

自家栽培のホップと大麦に、長野の酒米「美山錦」を加えたビール「山伏」もある。無濾過なので瓶内の酵母は生きている。瓶内二次発酵のビール。750ml2500円(笑)。

「鬼伝説ビール」は北海道の登別のクラフトビール。製造は、北海道銘菓「わかさいも」のメーカー・わかさいも本舗。1930年創業。銘菓「わかさいも」の製造、販売事業の他に、開店寿司などの外食事業、有珠山ロープウェイ、スキー場、ゴルフ場などの観光事業など、地元では有名。1998年にクラフトビールを造り始めた。ピルスナーの「青鬼」、レッドエールの「赤鬼」、そしてペールエールの「金鬼」がある。

「金鬼」は、インターナショナルビアコンペティションのアメリカンペールエール部門で金賞受賞。クセのない軽いビール。

「エルパト」はアメリカ料理以外に酒のこだわりがすばらしい。焼酎、清酒、ワイン、カクテルなど、めずらしい酒が置いてある。ちょっと高いが、旨い。ぜひ。

…そういえば、アメリカ料理を食べなかった。

注記
IPA(インディア・ペールエール):ホップの苦味と高いアルコール。香りも味わいも濃いエールビール。イギリスから、その植民地のインディア(インド)まで、過酷な気候下でビールを運ばなければならなかった。耐えうる保存、冷蔵技術もなかった。考えたのは、ふつうのペールエールよりも、アルコール高めにするため、麦芽を、耐菌性のあるホップを多く使った。
現在はホップの種類で、イングリッシュスタイルとアメリカンスタイルがある。アメリカのクラフトビールといえば、「IPA」というくらい。